1話 転移準備
「ふう・・・・・・。で、もう一回確認させてもらうけど、戻れないんだよ・・・ね?」
「本当に申し訳ないですが、戻れません」
「そう・・か・・・。家族は俺のこと覚えてないんだよな?」
「うん、この空間に入った時点でそうなってる。すまない」
「わかった。家族が心残りではあるけど・・・話を進めよう」
「うん、助かるよ」
「んで、チートをくれるって話だったけど?」
「うん。過去の転移の経験からとりあえず必要なものは全部まとめてあげるね。
所謂チュートリアルでのプレゼントだね!これは君たち人間が考えた物も参考にして作ってあるから、とりあえずは困らないはずだよ」
「ほう」
「まず、言葉だね。当然地球とは言語が違うから、それの解消のためだね」
「ありがたいな。俺、英語とか苦手だったしな・・・」
「あはは、何ヶ国語も操れる人もたまにはいるんだけどねぇ。まあそれでも未知の言語になっちゃうからね。サービスだね!」
よかったぜ。いまさら言語ひとつとか覚えられる気がしないからな・・・
転生とかだったら赤ん坊まで若返るから、覚えられるって話が多いけど、今回は転移みたいだしな。
「次に健康な体だね。元の体に悪いところがあっても、完璧に治してあげるよ!」
「え?それってオプションでつけるやつじゃないのか?」
「ううん。昔はそうだったんだけど、今はこれが標準でついてるね。
というのもさ、本人が知らないうちに伝染病を抱えててね。転移した先の世界でばらまいた・・・ってことがあったのさ・・・。医学も魔法もそこまで発達した世界じゃなかったから一個世界が滅んだね」
「それはきついな・・・」
「でしょ!こっちとしてもわざわざ送った人間が病気で死んで、おまけに世界ごと道連れとか望んでないからね。あ、でもこれは地球にいた時の病気を治すだけだから向こうでは病気になったりするからね」
「え・・・」
なにそれけちくさい。そこは大盤振る舞いしてくれていいのに。
「あはは、そんな顔しないでよ。一応オプションでつけることはできるんだけど、魔法がある世界だと完全健康体みたいなのはメリットが薄くてさ。そのわりに君が持っていけるリソースが減っちゃうからこうしてるわけ。それでも完全健康体がよかったら選んでよ」
「ふーむ、わかった。納得したよ」
本当に手馴れてるというか、流れができてるんだなぁ。
「最後に年齢だね。これは君たちの世界を参考にして14歳にしてあげるよ!!」
「ちなみになんで?」
「え、中二病だろ?」
煽ってんのか、こら。
「あはは、まあ冗談は置いといて、そのぐらいがちょうどいいかなってね」
この神様、お茶目すぎるぜ。
「あれ?最後は年齢ってことはチートは?このままだと速攻で死んじゃうんじゃ!?」
「大丈夫、大丈夫。
チートはチートで選ばせてあげるよ!こっちはポイント制だね」
そういうことは早く言って欲しい。ちょっと焦ったじゃないか!
「というと?」
「えーと、はい、これ一覧表ね」
神様がそういいながら指を鳴らすと俺の手元に項目がずらっと並んだ表が現れた。
スキルの名前とポイントが全部見られるようだ。
指を鳴らす必要はあったんだろうか?たぶん格好つけただけだな。
「おお、便利!」
「でしょ!500ポイントになるように選んでね。他の転移者たちがよく選んだ項目は色が変わってるからね。よくわからなかったらそれを選んでもいいよ。
でもまあ君の今後に関わる事だからね。慎重に選んでね」
「ああ」
目が釘づけになっている俺を見て神が笑った気がしたがスルーだ。
一覧はこんな感じだ
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-ステータス
+能力UP
-才能UP
体力 1段階上昇 10P 現在値:C
魔力 1段階上昇 10P 現在値:C
力 1段階上昇 10P 現在値:C
知力 1段階上昇 10P 現在値:C
素早さ 1段階上昇 10P 現在値:C
器用さ 1段階上昇 10P 現在値:C
運 1段階上昇 10P 現在値:C
+魔法
+スキル
+称号
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なんていうかすごいゲームっぽいな。そして才能が全部Cであることに打ちひしがれる。
「なあ俺の才能全部Cなんだが・・・こんなもんか・・・?」
「あーまあ人間族は大体そんなもんだね。あげればいいんだから気にしない気にしない」
くそ、ニヤニヤしてやがる。ええい、ここから強くしてやる!
能力UPは固定値上昇だったからとりあえずスルーだ。最初から最強もいいかもしれないが、どれだけ強いのがいるかわからない以上後々詰む気がする。
才能をとりあえず全部Sにしてみた。これで210Pか。
魔法の適正は5Pと安いが、これまであげてたらポイントがたらなくなりそうだ。
「なあ、魔法ってここでポイント振らないと覚えられないのか?」
「いや、人族だからどの魔法にもそこそこの適正があるはずだよ。だからあとは向こうの世界で練習すれば覚えられるよ。ただ最初からすっごい強い魔法が使いたいとかなら適性あげたほうがいいね。魔法の修行にも結構時間かかるみたいだからね」
「そうなのか」
まあとりあえず時魔法と空間魔法の適正だけあげて他の項目を見るか。
なぜこの2つかって?便利そうだからな!
スキルはざっとみただけでも有用そうなものが並んでいた。
人物鑑定 物体鑑定 賢者の瞳 アイテムボックス 魔眼
空間把握 詠唱破棄 無詠唱 マップ自動生成 食料生成
この辺がよく小説なんかでも見るようなものだな。ただし結構ポイントを使うようだ。
項目を触ると詳細な説明が出てくる。例えば賢者の瞳なんかはこうだ。
『賢者の瞳
すべてのものを鑑定することができるようになる。
魔物の弱点や魔法の詳細なども鑑定することができる 100P』
こんな感じで有用そうなものが多いがその分ポイントがすごいことになっている。
よく選ばないといけないようだ。
称号系も剣聖、賢者などいろいろある。てかありすぎだろ
「なあこれ、称号ってのはあとでもとれるのか?」
「そうだねそれは基本的に条件を満たせば勝手に取れるよ。
補正が乗るから有用だけど、あとからでもなんとかはなるね。」
そんなこんなで神様にいろいろ質問しながら、設定したのがこれだ。
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伊東 健太 14歳 男 人間族
レベル:1 経験値:0/10
HP :20/20 才能:S
MP :20/20 才能:S
力 :5 才能:S
知力 :5 才能:S
素早さ:5 才能:S
器用さ:5 才能:S
運 :5 才能:S
魔法
なし
魔法適正
火 :C
水 :C
風 :C
土 :C
光 :B
闇 :B
時 :A
空間:A
スキル
賢者の瞳 経験値上昇(10倍)スキル習得率大UP
称号
なし
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うん、まるっきりゲームだ。初期ステータスが低いが比較的安全な所へ送ってくれるとのことなので先行きを優先した。
さて、憧れの異世界だ。いろんなファンタジー生物を見れるのが楽しみである。ドラゴンとかいるかな?
「じゃあ準備はいいかな」
「ああ、解説ありがとう」
「いやいや、改めて勝手な転移になってしまってごめんね。できるだけ謳歌して欲しい。あとこれは義務じゃないけど、悪の道に走らないでいてくれると助かるよ」
「あーまあそれは大丈夫だと思うけど気をつけるよ」
「うん、じゃあいってらっしゃい!」
「いってきます!」
視界が歪んで白く染まっていく。これが転移か。さてどうなるやら・・・・・
「あれ?やばっ」