11話 装備の新調
ひとまず市場に戻ってきたところで、確かにでかい煙突が目に入る。
「確かに目立つな」
わくわくしながら、店に入った。
「いらっしゃいませ」
おじさんの店だと油断してたよ。まさか自分より若いぐらいの女の子がいるとは。
「あーえーぶ、武器が欲しいんですけど」
「なにをお使いですか?」
「剣です。前のは折れて使い物にならなくなってしまって」
「それは大変でしたね。既製品でよければそちらの棚になりす」
「ありがとうございます。見させていただきますね」
焦った焦った。変な汗が出ちゃったよ。
「お兄さんは冒険者ですか?」
「今登録をお願いしているところです」
話、終わらなかったわ。
「なるほど。それでは武器がないと活動に支障をきたしてしまいますね」
「そうなんですよ」
んー武器はどうやって選んだらいいんだろう。
欲しいのはそこそこの切れ味と俺の力に耐えられる耐久性かな?
鑑定を意識しながらじーっと武器を見てみる。
銅、鉄、銀などなど武器の素材は分かるがどれがいいのかが分からない。
「どんな物をお探しですか?」
「えっと、比較的耐久力にすぐれた物がほしいんですが・・・」
「でしたら鋼の剣がお勧めです。これですね」
そういって一本の剣を選んでくれる。俺の体格を考慮してなのかちょっと短い。
「ありがとうございます」
受け取って構え、振ってみる。
一番最初の平原の時と比べたらはるかに剣士の動きができていると思う。
店員さんも驚いたように見ている。ちょっと嬉しい。
「あの、危ないので店内では振らないでください」
「あ、はい。すみません」
違った。超恥ずかしい・・・。
「もう少し長いものはありますか?」
「えっと・・・ございますけど、お客様の体のサイズ的にはそれで丁度良いと思うのですが・・・」
「リーチがもう少し欲しいのです」
「そうですか?ではこちらでいかがですか」
店員さんから受け取り抜いてみる。
「振っていい場所はありますか?」
「裏庭でお願いします」
店員さんの先導で裏庭に出る。一通り振ってみて満足した。
「これでお願いします。後さっきのも一緒にお願いします」
「ありがとうございます。他にご入用はございませんか?」
「戦闘に使える手袋と靴ってありますか?」
結構殴ったりけったりするからね。
「ございますよ。手袋はそちらの棚からお選びいただき、靴は寸法を測らせてください」
ううっ臭かったりしないかな・・・。
「こちらの寸法ですとそこの棚になります。もし合わない場合は一から作らせていただきますので1週間ほどお待ちいただくことになります」
「ありがとうございます。合わせて見ますね」
手袋は殴るところと手の甲に金属が入っているようだ。
重いので違和感はあるが動かすのには支障ない。さすが衛兵の隊長が勧めてくれた店だ。しっかりしたものが揃っている。
靴はかなり硬い皮でできていた。ぴったりのものがあってよかった。
なるべくお金を稼ぎに行きたい今は、一週間は長い。
「たくさんのお買い上げありがとうございます。全部で1金貨と10銀貨になります」
ついに金貨が飛んでいった。武器二本だし安いぐらいかな?
「またのお越しをお待ちしています。怪我をしないで、また来てくださいね!」
ニコッと微笑まれた。
「ありがとうございます」
営業だとしても女の子に笑顔で怪我しないでって言われるのは悪くないもんだ。
「あ、そうだ。安めでお勧めの宿ってありませんか?」
「それでしたら冒険者ギルドの前にある宿が一番かと思います」
冒険者御用達なのかな?
「ありがとうございます。行ってみます」
店員さんに見送られながら装備屋さんをあとにする。入れ替わりで冒険者と思われる集団が入っていった。タイミングよかったかな?
あ、ガンさんって人の顔すら見なかったな。
今度行った時に見てみたいな。きっとドワーフみたいな人に違いない。
ギルド前に着いた。宿屋に入る前にさっきの連中のことを伝えておこう。
逆恨みされても困るしな。
カラン
昼時だからかカウンターに並んでいる人はいなかった。
カウンターにいたのはまたしてもアンガスさんだ。ギルマス代理なのに暇なのだろうか?
「坊主どうした。明日の朝来るんじゃなかったのか?」
「あの坊主は勘弁してください・・・。冒険者になるんですし・・・」
「がははは、悪かったなケン。それでどうした?」
「むう」
名前覚えてるなら最初から呼んでくれよ!
斯く斯く然然でと説明をすると
がんっと
アンガスさんはカウンターを殴りつけた。
「あいつらまだ懲りてねえのか!」
まだって前科あるんですか・・・。どうりで手馴れてるわけだ。
「はあ、すまねえな。うちでもなんとかするが、もしまたそんなことがあったらかまわねえから伸しちまってくれ。」
「いいんですか?」
「ああ、あいつらはもうギルドとしては庇えない」
アンガスさんは苦悩するような顔をしていた。
あんなやつらでも人に歴史有りなのかな?
まあでも自分の身を守ることを優先させてもらおう。
「じゃあ、一応お伝えしました。よろしくお願いします」
ギルドを出て向かいの宿屋に入る。
「いらっしゃい。食事かい?泊まりかい?」
食事だけのサービスもあるみたいだ。味にも期待できそうだ。
「両方お願いします」
「それなら先に泊まる部屋を決めちまおうかね。個室は30銅貨で大部屋が10銅貨だけど、
どっちにするね?」
「個室で、5日分まとめてでもいいですか?」
「もちろん歓迎するよ。お客さん名前は?」
名前と宿泊日数を宿帳?に書き込んでいるようだ。
お金と交換で貰った鍵には208と書いてある。結構大きな建物のようだ。
看板娘に案内され食堂に行く。
「ランチは普通と上とありますけどどちらがいいですか?」
「普通でお願いします」
値段とか中身とかなにも言われなかったけど・・・たぶんこれが普通なんだろう。
出てきたのはシチューと固いパン、野菜が少し。
パンを噛み千切って食べてたらシチューにつけてふやかすのだと笑われた。
ステータスのせいか噛み千切ろうと思えば普通にできてしまうので、気づかなかったよ。
シチューはなかなかおいしかったしお腹も膨れた。お値段は銅貨3枚だった。
午後はどうしようかな?
「おかみさんここってお酒の樽売りとかってしてますか?」
「なんだいあんた、その若さでこんな真昼間から飲むのかい?」
「いえいえ、私はお酒はからっきしで・・・。昨日警備の方たちにお世話になったので御礼の差し入れをしようと思うんです」
「へーそういうことなら受けたげるよ。サイズはどうするね?」
「えっと、よくわからないので小さい樽でお願いします。おいくらですか?」
「小樽?4銀貨ってところかね」
意外と高かった。やっぱり酒代ってのは馬鹿にならないもんなんだなぁ。
夕方にとりにくる約束をして自分の部屋に向かった。
部屋は思ったよりだいぶ狭かった。ベットと小さい机あとは半畳ぐらいの面積しかない。
まあどうせ寝るだけだし贅沢は言うまい。
夕方までの時間はギルドの訓練場を借り、訓練をして過ごした。
魔法を無駄打ちしてみたり、剣の訓練をしたり。
新調した剣はちょっと重くなったが、力が増しているので関係なかった。
他の装備も問題なく使えた。よかったよかった。
剣の訓練はその場にいた冒険者の人が手伝ってくれた。
なかなか技術のある人でいい練習になった。
やっぱり剣術レベルだけ高くても攻防の駆け引きとかは本人しだいだから、こういう練習はためになる。
練習が終わった後宿屋に戻り、おかみさんから酒樽を受け取り詰め所へ向かう。
「隊長さんーこれお礼の品です!」
「すまんな。・・・ビンで言いといったのにずいぶん奮発したな?感謝するよ」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。皆さんにもよろしくです」
「ああ、なにかあったら力になるからな」
宿に戻りおかみさんにたらいを借りたらいに水を張って、宿の裏で髪の毛をきれいにする。
水が汚れすぎて3回も換えることに・・・。
一週間もせいぜい水で流すぐらいだったから油もすごかった。
体は結界を張りつつささっと洗う。見られてないはずだ。たぶん。
晩御飯も普通でお願いした。昼と同じものにお肉が少量ついた。
ご馳走様でした。
さて明日はやっと冒険者になる日だ。さっさと寝てしまおう。
おやすみなさい!




