10話 お金で手に入るもの
お金を手に入れ、冒険者ギルドをでてまずなにをするかといえば・・・そう!
お財布を買うことだ!
うん、ポケットに金貨入れて歩いてるんだ。すごく不自然。
巾着かなんかでいいから欲しい。
というわけで市場のようなところへやってきた。
露天で売っているものをあれこれ見ながら歩く。
食べ物や雑貨、服などいろいろなお店があった。今身につけているもの以外何も持っていないので、足りないものを一そろい買おう。
まずは皮や布のかばんなんかを取り扱っているおじさんに声をかけた。
「おじさん、巾着はありますか?」
「あるよ。これでどうだい?」
皮でできた巾着だった。良し悪しも分からないし、ということでそのまま買うことにした。
ついでに大きいリュックと、肩掛けかばんもひとつずつお願いした。
「それじゃ、3つともください」
「あいよ、銀貨3枚だよ」
相変わらずこれがいくらぐらいなのかわかんないな・・・。まあ必要なものだから良いか。
「はい、これ」
「お・・・?おう、丁度だ」
言い値で払ったら変な顔をされた。なんかまずかっただろうか・・・。
もしかして値切らないとだめだったかな?俺は電気屋さんでもそのままの値段で買うタイプなのだ。値切りは苦手なんだよなぁ。まあいいや。
雑貨を扱ってるところで洗濯用品をお願いしたら、木の実を出された・・・。
なにこれ・・・と鑑定してみると、これが洗剤代わりとのことだ。
変わった実があるもんだ・・・。ファンタジー物質だろうか。
ついでと言ってはなんだが鑑定したら相場が出ていた、相変わらず便利なんだか必要に迫られないと出ないから不便なのか、悩ましいところだ。
さっきのかばん達は2銀貨と70銅貨だったらしい。やっぱり高めの値段を言われたようだ。
なのでここでは相場の少し上ぐらいまで値切って買ってみた。木の実20個で銅貨7枚なり。
もともとの値段が安いから気疲れする割りに得した気があんまりしない・・・。
相場が分かっててもどきどきする・・・。だがこれが普通なのだろうから慣れるように頑張ろう。もしくは慣れなくていいぐらいのお金を稼ごう!
次は服だ。特にこだわりもないので適当なサイズのものを3着。下着は・・・パンツ?腰布?まあどっちでもいいか。これを5つ。タオル代わりの布を3枚。あわせて銀貨6枚と結構高かった。
宿屋を先に探すべきか、武器屋にまず行くべきか・・・。
悩みながらとりあえず市場を出てうろうろしていると何人かがついてくる。
おのぼりさん過ぎただろうか?
つけまわされてもめんどくさいので裏道に入ってまこうとしたのだが・・・行き止まりだった。土地勘のないところで余計なことをするもんじゃないな。
「おいおい、どこへ行くんだ?この道はどこにもつながってないぜ?」
地元の連中なのかな?にやにやしながら5人組が入ってくる。
「あー道を間違えたようですね。地理に明るくないもので。それで私に何か御用で?」
5人中4人は、粗暴な雰囲気丸出しのガタイのいい連中だ。こういうことをするのに適した見た目だ。地球だったら速攻で謝ったな。残りの一人が最初に声をかけてきた奴だ。ヤクザの・・・若頭?っぽいな。
念のため結界を張る。これがないと奇襲が不安だ。
こいつらがどれだけ頑張っても負けるわけはないと知っている。だがそれでも足が震える・・・。地球で一回ぐらい喧嘩しといたらよかったかなぁ・・・。
「なに、新人が何かの間違いで大金を手に入れて困っているようだからな。
先輩としてその重さを肩代わりしてやろうと思ってな」
「あーギルドでのアンガスさんとの話を聞いていたので?それに先輩ってことは皆さんも冒険者?」
「ああ、新人だから当然知らんよな。Dランク冒険者パーティ狼の牙だ」
「(狼?ハイエナの間違いじゃ・・・)」
「なんか言ったか?」
「いえ、なんでもないです。それで恐喝です?盗人です?」
「おいおい、恐喝だの盗人だの穏やかじゃないな。新人への、そうさな親切心さ」
「そうそう。足震えちゃって可愛いねぇ」
「先輩からの親切はおとなしく受けておいたほうがいいぞー」
他の連中も煽ってくる。
「うーむ。皆さんギルドの規約の最初の文書はお読みでない?
それにそって私がギルドに訴え出たらどうするんです?」
「物分りの悪いやつだなぁ。だから親切だと言ってるだろう?お前さんが重さに困っているようだから、俺たちが預かってやろうってだけさ」
「・・・はあ。(真正の馬鹿か。)このお金をもてないほど非力ではないのでね。預かっていただかなくて結構ですよ。で、どうするんです?殴りかかってきます?」
「いやいや、殴りかかるだなんてことはしないさ。だが重さのあまりここから動けないようじゃないか。動けない新人を置いていけないからな。動けるようになったら教えてくれたまえ。」
なるほど、くだらない事にばかり頭を使っているようだ。
真面目に相手した俺が馬鹿だった。最初から無視すればよかったな。
「じゃあ動ける私は失礼しますね。先輩方はこの路地でいつまでも過ごしててください。ではでは」
そう告げて垂直飛びで屋根の上まで跳ね上がった。屋根の反対側に身を隠し結界で奴らの姿を探る。
どうやら飛んだ姿が見えなかったらしい。右往左往している。
どこへ行った!とわめく声や、仕掛けがあるはずだ!と探し回る声がする。あほを見て笑っていたい気もするが、時間をずいぶん使ってしまった。ああいうのがうろついている以上武器屋に先に行こう。ちょっとした威嚇にはなるだろう。
冒険者ギルドに戻って奴らに会うのはいやだったので門まで戻り、警備の人たちにお勧めの武器屋の場所を聞くことにした。ついでに昨日約束したお酒の件もあるしね。
「すいませーん、昨日お世話になったケンですけど隊長さんいらっしゃいますか?」
「おう、いるぞー。売り物はどうだった?」
「お蔭様で無事買い取ってもらえました。それで昨日のお酒の件ですけどどうしたらよいです?」
「律儀なやつだな、そんなこと聞きに来るなんて。昨日の奴らが全員揃う事もそんなにないし、安酒が2本もあれば十分だよ」
「うーん、そうですか?ではあとで買ってきますね!」
さっきのことも一応報告しておこうかな?
「そういえば先ほど狼の牙とかいうパーティに、『重いだろうから金を預かってやろう』とか意味のわからないこといわれまして。冒険者ってああいうのが多いんですかね?」
「あーあいつらは悪い噂が絶えなくてなぁ。うちのやつらにも注意するよう改めて伝えておこう」
「助かります。ついでと言っては何ですが、お勧めの武器屋?鍛冶屋?さんってありますか?」
「うちで勧められるのはガンさん所だな。でかい煙突が目印で、市場の中央通りにあるぞ。」
「ありがとうございます。早速行ってみますね!」
「おう、変なのに気をつけてな」
隊長さんにお礼を言い、見送られながら鍛冶屋に向かう。
さてあいつらと会わないといいなー。




