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家族は一緒がいいよね



「……兄ちゃんって馬鹿なのか?」

「いえ、馬鹿じゃないです。大馬鹿です」


って酷くない!?


「竜に謝らせるってなんですか?馬鹿なんですか?」

「いやいや、一応僕バリアの中にいるし。君たちの怪我治したの僕割と怒ってたし」

「オレらが良いんだから別に大丈夫だって言ったのにな」

「ただ、私たちのために怒っていただいて嬉しかったです。マヒロお兄さまありがとうございます」


呆れられたけど、まあ良いや。


「それじゃ、早速治療をやっていこうか」

「よろしく頼む」


了承も得た事だし、とスベスベの体をよじ登って傷口のところまで行く。

これは酷い。中の肉がかなり抉れている。

けど、指に針が刺さった後抜いたら肉が穴を覆い隠すようにして穴を塞ぐのと同じで、ある程度は穴が狭まっていた。


ルドルから手渡された上級回復薬を迷わず5本、たっぷり使っていく。

これほどの傷ならいくら竜の回復力が高かったとしても普通の回復薬なら相当治すのに時間がかかってしまうだろう。

それにこんな巨体だったら尚更のことだ。


ウゥ、と短く声を上げるブリュンヒルデさん。

上級回復薬も頑張っているのか、かかった体内の肉からジュ〜っと少し白い煙を上げている。

あとは上級回復薬が効くのを待つだけだから、取り敢えず家にあった一番大きな白い包帯を丸々一本使って、胴体をグルグル巻きにしといた。

意味ないかもしれないけどね。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「何度も言いますけど暴れないようにお願いしますよ」

「分かっておる。私と我が子を救ってくれたのだ。恩を仇で返すような真似は決してせん」


何度も、念を押しとかないと万が一なんて対応できないからね。

まあルドルも何も言ってこないからこれは本当なんだろう。


「して、何故わざわざ移動してきたのじゃ?」

「実はこの家の周辺にバリアが張ってあるんですよ。この中は僕が認めた人しか入ることが出来ないようになってますね。例外としてはこのバリアが破壊されるほどの強大な攻撃ならあるいは突破できるかもしれませんが、まず特上級のバリアですので滅多にそういう事はないと思います」


バリア、という言葉自体が聞き慣れてないように首を傾げながら家の広場に着いた。


「そういえば、ブリュンヒルデさんは何故あんなところに落ちていたのですか?」


さて、そろそろ本題に入ってみるかな。


「何故であったか……私は今日、私の子を探すために森の中を縫うように低空で飛行していたのだ。ある時、森の中で小さな灯りが見えたのでな。そこに向かって飛んでいった事までは覚えているのだが……急に目の前に何もないのに頭を強打してな。そして気づいたらこうなっていたのだ」

「あ、そうなんだ……」

「兄ちゃん、もしかしてぶつかったのってこのバリアじゃねえの?」


あー、ルドル言っちゃダメだよ!

多分そうかな、って僕も思ったけどさ。

仕方ない、怒られるのを覚悟で言おう。


「ぶつかったのもしかしたらさっき言ってたバリアかもしれないです。範囲が50メートルだから、上空にもバリアは張られてるので低空飛行だったなら当たった可能性が高いです」

「なんとそう言うことか。それならば得心も行く。……これ、そこまで怯えずとも別に怒ってなどおらんわ。こうして助けてもらったわけじゃし、そもそもそんなバリア?とやらに気づけなかった私も悪い。それより、それほど強い防衛設備があるとは思いもよらなんだわ」


かかか、と楽しげに笑って言う姿に一安心した。

ところで、とブリュンヒルデさんはフウの方を向く。


「葉月少年は私の子である、この風竜を育てる気なのだな?」

「はい、実は貴方を助けたのにはこれの報告もしようと思ってですね」

「ああ、良い良い。私の子も、いくら魔力が強いとは言え万が一というものがある。そこを保護してもらったのは感謝せねばならん」


それに、とブリュンヒルデさんは僕の肩に乗っているフウに視線を移した。

すると、頭に生えた立派な角が青白く光だし、それに呼応するようにフウの小さな角も薄い光を醸し出した。


しばらくその幻想的な空間を黙って見ていると、二人のツノは光を消していき、元の角に戻った。


「何やってたんですか?」

「我ら竜族はシンパシーと言うもので情報を共鳴させることが出来る。今それで、葉月少年が私の子を育てるに相応しい人材か見させてもらった」

「それで結果は……」

「十分だ。逆に手を出すな!と私の子に怒られてしもうたわ。まさか1日2日でここまで好かれるとはな。と言うわけでこれからこの子をよろしく頼むぞ葉月少年」

「はい、任されました」


良かった、フウはもう家族の一員だからね。

取られたらどうしようかと思ってしまった。

あ、でもブリュンヒルデさんにとってもフウは家族だから、別れるのはやっぱり寂しいよね。


「ブリュンヒルデさん、ところで貴方はどこに住んでいるんですか?」

「ヒルデで良い」

「え?」

「我のことはヒルデと呼んでくれて構わん。一々全部言うのも面倒じゃろ?ついでにその敬語も使わんで良い」


じっとこちらを見つめてくる彼女に僕は折れた。


「分かったよヒルデ。それでさっきの質問だけど」

「この森の深層にある、月影の祠という場所だ」

「そこに思い入れなどは有るの?」

「特にそう言うものはないが、何故そのような事を聞く」

「いや、もし良かったらブリュンヒルデさんも一緒にここに住まないかなーと思ってね。どうせ人化くらい出来るでしょう?」

「何故それを……竜の人化は一般には知られていない術のはずだが」

「一緒に住むなら、教えても良いよ?」


どうせ増えたなら、家族で一緒にいた方が絶対にいい。

これまでの教訓だけどね。


「ふむ……良いだろう。いや、違うか。よろしくお願いする、葉月少年」

「あ、そう言えば訂正なんですが僕の名前は葉月じゃなくてマヒロの方なんで、そっちで呼んでください。あと、少年って年じゃないんだけど……」

「千年生きてる私からしたらお主らなぞ皆少年よ。名前の件は了承した。これからよろしく頼むぞ、マヒロ少年」

「結局少年呼びなのね……こちらこそよろしくお願いします。というわけで二人も良いかな?」


ルドルとサーシャも笑ってオッケーと言ってくれた。

半分呆れが入ってたのは気づかないふりしておこうかな。




ようやく、もうすぐ(あと数万字)で真尋が街に行きます。

まだ書いて無いですがその予定。


次回の更新は明日の10時です。よろしくお願いします。


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