プロローグ はじまりの出会い
書いた小説を投稿するのは初めてなので、どこかおかしなところがあるかもしれません。
もしおかしなところがあったら、感想ページにて教えてくださると助かります。
皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
王都から少し離れたアストレアという町にそびえたつ巨大な建物、「蒼塔学院」。この学校では、満十四歳の男女が身分に関係なく、誰でも専門的な魔術を学ぶことができる。その学院の一つの党の屋上で、黒髪の少年が魔術制御の練習をしていた。
少年が力を込めると、手のひらに光り輝く球が現れた。
「……うまくいかないなぁ」
その少年は、ほかの人よりも魔力量が多いが魔力の扱いが下手なため手のひらに灯した小さな光球は、すぐにふらついて消えてしまう。
その時――背後から、風に乗って甘い声が降りてきた。
「ねぇ、そんなに力んでたら魔力が逃げちゃうわよ?」
振り返ると、赤い髪を揺らした笑顔が似合いそうな女性が塔の欄干に腰かけていた。
漆黒の翼、細い尻尾、深紅の瞳――サキュバスの特徴そのもの。
「えっ……だ、誰ですか?」
「私は、通りすがりの気まぐれのサキュバスよ」
少年は驚きながらも恐怖よりも先に〟綺麗だ〝と思った。
サキュバスは微笑むがその瞳にはどこかさみしさが感じられた。
「あなた、魔力の扱いが下手ね。心が優しすぎるのよ」
「優しいと……ダメ……なんですか?」
「ふふ、世界の法則を捻じ曲げて戦う魔術師としてはね。でも……嫌いじゃないわ」
サキュバスは少年の手を取りそっと魔力の流れを整えた。
その瞬間、手のひらの光球は初めて安定して輝いた。
その時、少年とサキュバスはともに、なぜか胸が熱くなった。
「すごい……!」
「あなたが素直だからよ。素直な子は、魔力も素直に応えてくれるの」
素直に喜ぶ少年を見て、サキュバスは微笑みながらそう言った。
(何だろう? 今のこの胸の熱さは?)(なんで少年に触れただけでこんなに胸が熱くなるの?)
少年とサキュバスは人知れず心の中で胸の熱さについて考えていた。
そのせいで、沈黙が続いた。
先に考えることを諦めた少年が、せっかくだから自分の悩みを解消してくれるかもと魔術が得意な魔族であるサキュバスに相談してみることにした。
「あの!」
「ッ!! 何かしら?」
まだ考えている途中だったサキュバスは急に問いかけられ、体を震えさせた。
「どうしたら、魔族みたいに魔術の扱いがうまくなりますか?」
そう質問する少年の瞳からは、ただならぬ決意が感じられた。
咄嗟に身構えたサキュバスは拍子抜けながらも、
「う~ん。まずは、体に魔力を漂わせて魔力の流れを感じてみるのはどうかしら」
面倒くさいなと、適当に返した。
「ありがとうございます!」
少年は素直にそれを信じて、
「それではやってみます!」
サキュバスが反応するより先に、少年は体に力を込め魔力を放出した。
その瞬間、大気は荒れ狂い、突風を巻き起こした。近くでは雷が落ちた。
「ぐぁぁぁぁぁあぁぁぁ………!」
だが少年は、自身の魔力に耐え切れず血管が浮き出て体がはちきれそうになっていた。
「大丈夫⁉」
サキュバスは、少年が心配になり駆け寄…………れなかった。
少年の魔力の波動が強すぎて、魔力を吸収する能力を持つサキュバスでさえも少年に近づくことすらできなかったのだ。
サキュバスが少年に近づこうとしている間も少年は、己の魔力を感じようとしていた。
「僕の魔力の流れは荒々しく……暴れている感じだ…………そして、何かを求めている? どこかに行こうとしている…………」
(これ以上魔力を放出していたら、彼は壊れてしまう。彼を助けるためにはどうしたらいいのだろう………)
サキュバスはしばし悩み、サキュバスという種族にしかできない作戦を思いついた。
だがそれは、一歩間違えれば少年は死んでしまう一か八かの作戦だった。
「だけど、やるしかない!」
サキュバスは覚悟を決めて、少年を見据えた。
見据えたその瞬間突風は消え、大気は恐ろしいほど静かになった。そして、少年はもうどこにもいなかった。そこにいたのはまさに衝撃だった。
漆黒の角、純白の牙、金色の瞳。
それは〝鬼〟だった。
「誰………?」
恐る恐るサキュバスは近寄った。
「ココドコダ?」
「…………」
(記憶喪失!)
そしてすぐに作戦を決行した。
○
作戦を終えた後、横たわる少年に別れる際、
「よかったら、これから塔の屋上で一緒に魔術の練習をしない? 返事はまた明日同じ時刻に聞きに来るね」
そう伝え闇の中に消えていった。
……少年が鬼になった事実とともに。
これが少年とサキュバスの最初の出会いとなった。
諸事情により連載が不定期になるかもしれませんが、ご了承ください。




