72話
チームを組んでから、何度か一緒に迷宮に潜った。
最初はぎこちなかった連携も、回数を重ねるごとに少しずつ噛み合っていく。
ひよりは前での動きに慣れてきて、タイミングよく攻撃を合わせられるようになった。
るなも、弱点を狙う精度が上がって、確実にダメージを重ねていく。
兎見丸たちとの連携も含めて、戦いはどんどん安定していった。
(うん、いい感じ)
戦闘の合間、ふとそう思うことが増えた。
気がつけば、季節は巡っていた。
もうすぐ、2年生になる。
(早いな……)
家に帰る道すがら、少しだけ立ち止まる。
この1年のことを、思い返した。
もともと私は――
人見知りで、コミュ障で、ずっと一人だった。
クラスでもほとんど話せなくて、どうしたらいいかも分からなくて。
そんな自分を変えたくて、探索者になった。
最初は怖かった。
迷宮も、モンスターも、全部。
でも、続けていくうちに――
いつの間にか、楽しくなっていた。
(……あれ?)
当初の目的、少し忘れている気がする。
でも、それでいい気もした。
ひよりと仲良くなって、
少しずつ、クラスでも話せるようになった。
そして、るなとも出会って、
今は――仲間がいる。
(仲間、か……)
その言葉を、心の中で繰り返す。
少しだけ、くすぐったい。
もちろん、全部が変わったわけじゃない。
迷宮の外では、今でも人見知りだし、
知らない人と話すと、オドオドしてしまう。
言葉も、うまく出てこない。
(……でも)
それでも。
前よりは、確実に変わっていると思う。
ほんの少しだけど、
ちゃんと前に進めている。
(……うん)
小さく頷く。
この1年は――
悪くなかった。
むしろ。
(けっこう、いい1年だったかも)
自然と、少し笑みがこぼれる。
そして、もうすぐ2年生。
(来年は……)
今より、もっと。
ちゃんと話せるようになって、
もっと上手く戦えるようになって、
もっと――
(楽しくなるといいな)
そんな、少しの期待を胸に抱く
一旦完結。




