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39、目的は? 犯人は?

楓、バーバラ、アシェリ3人の人生合わせて初めての朝チュンです。

楓よりバーバラよりアシェリちゃんが1番大人でごわした。

そして素直。

素直にセルティスが欲しい、そう口にできることにバーバラちゃんは尊敬しつつも嫉妬した。自分には出来なかったことだから。楓はと言えば…3次元で恋したことがなかった。だけど2次元では恋する者たちの話を読んで色んなタイプの恋した。感情移入して楽しかった、相手の次の行動が分かっているから安心して物語の恋に夢中になれた。

だけど、アシェリちゃんとセルティス君の恋は1秒先が分からない、その分ドキドキとキュンが違う。2人の中にある信頼関係がくすぐったくて甘酸っぱい恋にスパイスを加える。

ヒャッフー! リアルは刺激が強いっす! しかもアシェリちゃんへの感情移入率100%。


セルティスの顔をマジマジと見つめる。

長いまつ毛にサラサラの髪、肌も凄く綺麗。めちゃくちゃイケメン…なんでこんなにイケメンなのに攻略対象者じゃなかったんだろう? 悪役令嬢のアシェリの側にいる、もし漫画通りハルクがいたらこうはならなかったのかな?


ホッペに触りたい。

あっ、しっとりしてぷにぷにしてる。


「くすぐったいよ」

あっ、マズイ急いでチェーーーーンジ!

「起こしちゃった?」

「ううん、起きてた。私も目覚めてアシェリの寝顔を見てた。そしたらモゾモゾしてきたから寝たふりしてた。なんかずっと見てるなって、ふふ おはよう ちゅう 体は大丈夫?」

「えへへ、ちょっと痛くてなんか違和感があるの。まだセルティがここにいるみたい。

でも この痛みも愛しい。セルティと本物の夫婦になったのね」

「私の愛しいアーシェ ちゅう 心が春の訪れを祝うかのように踊り満たされる、昨日までと何も景色は変わらないはずなのに、私には光が乱反射して輝いて見える。昨日より一層愛しく感じる。腕に中にこうして閉じ込めておくと実感できて幸せだ」

セルティスは昔からアーシェに甘いのだ。

「私もセルティが素敵に見えすぎて…顔がニヤけちゃう。だーい好き ちゅ ふふ」

「ふふ 嬉しいな。大好きだよアーシェ」

甘い朝を迎えて暫くイチャイチャしていた。



朝食の後はまた馬に乗って遠乗りをした、今は早駆けもできるようになった。

本来 女性は横座りで足を開く事は御法度。だけど90度体曲げて安定悪いって! 疲れるし! だから女性用パンツスタイルで普通に跨って乗っちゃうもんねー! ダイエットにもいいしね! ああーー風を切って最高かよ!!

馬を返し街へ馬車で向かう。


整備された街並み、憲兵とは別に自警団を組まれているのでガーランド公爵領は治安がいい。これも全て儲かっているから! 世の中金次第 なはなは。

ガーランド公爵家は元々経済を活性化させ浴びるほど金を生んでいる、そこにアシェリと言う新しい金の卵を産むガチョウが現れた。その片手間で国を支援しているのだ。パパンカッコいい!!おっと、それになんか自分が提案したことが実践されて結果を出すとかって無茶苦茶気持ちいい!


この時代にしてガーランド公爵領は上下水道完備!!

だって楓はそう言う世界で生きてたから…、臭いの無理―――――!

ぶっちゃけ王都よりも発展し、優秀な人材を育て、そこへ優秀な人材も集まってくる。給料も良い、先行投資にも金を出し渋ったりしない。スターチス国内の中枢と言っても過言ではないのだ。


それからここは馬を飼っているから、小さな小川を作って馬の水飲み場を作った。

案外川に落ちて死んだり怪我したりする馬も多い。だから普段は井戸から水を汲んで水飲み場に水を貯める。水を抜く、水を溜める…エンドレス、案外重労働なのだ。だから、馬の運動の後、川で水を飲ませて足を滑らせる、なんて事故を減らすべく、水をひいた。だって上下水道完備だからそのついでにね。お世話がかりの仕事が一つ減り、馬の怪我も減る、良き良き。我が家で生まれ調教された軍馬が王家に献上される、良き良き。


それから井戸も大変。

年取ったり、親が死んで小さい子だけでの水汲みはしんどい。それに井戸水に何か入れられれば被害が多く出たりするからね。金と権力って素晴らしい!あったらいいなが作れちゃう!

あー、楓平民の子だから、今は国内トップのガーランド公爵家の娘に生まれて良かったよぉ〜。目指すは引きこもりオタク生活を満喫すること!! 快適空間を構築してやるぜぃ!

ハテ…、あれれ 私ってばスタッド伯爵家の人間…その内 いや卒業したら家を出て行かなくちゃいけないのかしら? ガビーーーーン! この快適空間手放し、スタッド伯爵領で一からのスタート!? はひょーーーー、銭稼がねば! 金に物言わせてガンガン改良しちゃうもんね!ああ、でも魔法空間持ってて良かったよ! 色々持ち出せるもんねー!



「アーシェ、ここはね アーシェが新たに作らせている作物が沢山あるんだよ。コーヒーの木やカカオの木、それに薄荷とかミントとかオレンジとかレモンとかね、他にも芋とか豆とか小麦に米、それから薬草も色々あったけど 見ていく?」

「ええ 見たいわ!」

実は見にきたことがあるし、報告も受けているがそれでも見たい。

こめ! 米!! ウッホホーイ! とうとう見つけて着手したのよねー! 

以前見つけた米で酒を仕込んでみたけど、ピンと来なかったから貪欲に他の品種も探してみた。それが今回まあまあボチボチ納得できる品種と巡り逢えた…その内 品種改良もしてみたいがまずはある物で納得できて良かった。

米はいいよね!忙しい時はおにぎりにすれば片手で食べられるし、どこにでも持っていけるし、金欠の時は雑炊にして水分多めで流し込んだ…かなり前世では活用した。


「うわー! 凄い! みんな元気に育ってるわ! トトラスさん有難う!」

「おお これはお嬢様 わざわざ足を運んでくださり感謝申し上げます」

「どのこもみんな元気ににしてる、ここで働くトトラスさんと皆のお陰だわ、いつも本当に有難う!」

「ふっふっふ 嬉しいことを言ってくださる。では順番にご案内しましょう」

「お願いね」

セルティスとアシェリはトトラスの案内でアシェリが持ち込んだ植物の生育状況を確認した。その次は隣にある研究所、チーム トトラスが育てた植物たちをどう調理すれば美味しいかを研究する場所だ。これもアシェリの一言から実現した。と言うのもカカオやコーヒー豆などは調理法を知らなければ食べようと思わない食材だ、だから今まであっても売れるとは思われず放置されていた。植物園で育ててはいるがすぐには育たない。そこで他領や他国から今は買い付けたもので商品を作っているが近い将来自領で全てを賄う為のプロセス。まあ、例えばチョコレートが人気が出て自分のところのカカオが原料だと知れば、当然同じものを作るだろうし、原材料の販売価格を上げてくるだろう、まあ同じものが作れるかは難しいだろうが、研究員も陰で大金を積まれたり、人質を取られたり色々考えられる。だから安定供給のための措置だ。漫画喫茶からスナック菓子を奪わせるものか! そして私の逃亡資金! これ大事!


うーーーん、ぶっちゃけガーランド公爵領だけでなんでも出来る!

自給自足もさりながら自警団だって名前は可愛らしいけどこの広大なガーランド公爵領に配備されている自警団の兵の数と技能の高さから考えるとヤバイ。給料だって国に仕えるよりいいし、待遇もいい。それにガーランド公爵領は孤児を昔から支援してきた。支援と言うと聞こえはいいが、ある意味子飼いの密偵精鋭製造だ。私についているハルクなどもそうだ。教養や密偵術を教えている。危険なところに送り込む事もあるのかもしれないが、一生を面倒見ている。侍女や侍従、密偵や護衛、執事に植物園や牧場や職業については本人の意思に任せている。間違っても暴力によって縛り付けてなどいない(多分 今は)、それに治安も良く、仕事も多岐に渡り多くあるこのガーランド公爵領ではあまり孤児はいないのだ。だから孤児となるのは金に困って捨てられると言うよりは、突然親を失ったとかそう言った者が多いようだ。

ガーランド公爵家に対する忠誠と信頼、保たれた秩序、高い教育水準。

現在 孤児だけではなくアシェリの助言により領内各地にフリーの集会所みたいなものを作り、アシェリの作った絵本が置かれ周りには文字や計算の対比表が貼られ、アシェリの作った版画によって沢山のドリルのようなものが置かれている。子供だけではなく領民もいつでもそこへ行き勉強することができる。勿論 高価な筆記用具も紙も自由に持ち帰ることができる。24時間開いている扉、24時間消えることのない灯り。最初は好奇心を抑えられない子供ばかりだったが、子供たちがあっという間に文字を覚えて他の絵本を読み、難しい本にも挑戦している。本は本来貴重品だ、それが惜しげもなく置かれている。これもガーランド公爵領にいるからこそ得られる特権。大人たちも人に見られないようにこっそり勉強し始め、次第に学んだことを試して披露したくなり、夢中になった。そして全部が読み終わり就学を終えるともっとと欲が出る。そこには様々な本のリストがあり、領主代行に依頼すれば数日後にはその本がレンタルされる仕組みだ。これにより他領には見られない識字率高い教育水準を得た。


勿論 生産力も圧倒的で国をも動かせる財力も人材も軍事力もある…これってガーランド国家と言っても過言じゃないんじゃね? 厨二の血が騒ぐ! 祭りじゃ祭りじゃー!


なんちゃって。


それからも収穫物での実験という名の研究も始まり、セルティスは放置された。

「グレン、ハルク、アシェリはまだ夢中だろうから私は少しこの一帯を見て回る。少しの間出かけるからアシェリを頼むね」

「はい、承知致しました。お一人で大丈夫ですか? 宜しければ一緒に参りますが?」

「いや ここは領内とは言え警備が通常よりは手薄だからアシェリを守ってくれ」

「はい、承知致しました」

「そう、遠くへは行かないから問題ない、では行ってくる」

「「行ってらっしゃいませ」」




学園では不思議な光景に皆が驚いていた。

アレクシス王子の横でマリアが笑っている、2人が楽しそうに談笑しているのだ。

いつもならパトリシアと一緒に四阿でいるところだが、そこにパトリシアの姿はなくマリアがいるのだ。マリアが作ってきたコロコロドーナツを囲んで嬉しそうに見つめあっている。そして、ハワードとヒューゴもいる、2人に仕える騎士のように側に侍っている。


先週までは確かにアレクシス王子殿下とパトリシア公爵令嬢は仲睦まじくしていたのに、今日は2人が一緒にいるところを全く見ない。一体何があったのか?と周りも疑念を持って見ていた。


そして何よりも驚いたのはマリアがアレクシス王子殿下の腕の絡みついて甘ったるい声を出しているにも関わらずアレクシス王子殿下がそれを受け入れていることだ。今までは相手にしていなかったのに優しい眼差しで見ている。


最近のマリアは聖女として事前活動も積極的に行っていて評判がいい。

学園内は熱狂的な信者と、以前のマリアの噂を知っていて否定的な者が混在していたが、今は概ね好意的な者で占められるようになっていた。そして数日の間にアレクシス王子殿下の隣には聖女マリアが相応しいと書き換えられていった。パトリシアが泣いてアレクシス王子に訴えても虚しく素通りするだけだった。

それをドナルドは不可解に見つめていた。確かに数日前まではマリアをアレクシス王子殿下は顔には出さなかったが毛嫌いしていたのだ。それが長年の恋人のように振る舞うアレクシス王子殿下の態度に違和感を覚えた。何かが変わり始めていた、何を起点に変わったかはまだ分からないが、確かにそれは突然起きたことだけは分かった。そしてそれは恐怖だった。アレクシス王子殿下を見ていると人格が書き換えられたみたいで、自分もそうなってしまったらと思うと恐ろしく、ドナルドは魔術師たちに相談することにした。

2人の魔術師も探ってくれると言ってくれた、嫌な予感がしてならなかった。




「ふぁーーー! 凄い美味しい!!!」

「ええ、お嬢様! 素晴らしいですね!!」


「だけど、これは冷やさないと輸送が難しいわね」

「確かにそうですね。瓶に入れて運ぶでも味の劣化が心配です。お嬢様のように冷やして使えれば形も無限ですし、使い方の幅も広がります」

だけど…氷系の魔法を使えるのはごく一部 超エリートだ、私の欲望のためにチョコレートを冷やす為にうちに来てって言ったら、まず『馬鹿にしてんのか!』って叱られるよなぁ〜。製品化のためには冷蔵庫と輸送時の冷蔵車か…。


「セルティも食べてみて! あれ? セルティスは?」

「領内を視察なさっておいで…です」

「そう、どうしたの? 気にかかることでも?」

「いえ、随分お戻りが遅いと思って…、かれこれ5時間ほどお戻りになっておりません」

「誰と行ったの?」

「それが、お一人でいいと仰られて」

「すぐに探して頂戴。自警団の方にも念のため話を聞いて頂戴」

「「はっ!」」


なかなか戻らない事に不安を覚えすぐにセルティスの捜索を始めた。

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