そんな記憶無いんですが
異世界転生をした元魔術師の俺は、赤子の俺でも魔術が使えるこの世界のすごさに感動して”最強の魔術師”と言う夢を目標にしていきることにした。
友人のカノン、恋人のアリシャ、後輩のクリームと共に日々切磋琢磨している。
そして俺は現在、国の最高戦力の1人であるアルトに土下座して”聖女を助けてほしい”とお願いされ助け出す。
その後帰宅中に、友人であるカノンが勇者の子孫だという衝撃の事実を聞かされてしまう。
「こんなやつが勇者なのかよ!?」
「こんな奴とは失礼だな」
「あと俺は勇者じゃなくて、勇者の子孫なだけだ。」
驚きの事実を聞きながら、とりあえず馬車へと入る。
「しかしへー。こいつがねー。勇者の子孫なのかー。」
「悪かったな!さわやかな好青年じゃなくて。」
「いやすまない。どうも意外過ぎてな。」
「キーダの苗字の時点で気がついてください・・・・・・。」
「俺に一般常識を求めないでください。」
「そうでしたね・・・・・・。」
確実にあきれられた雰囲気を理解して、どうにかして話題を変えようと思考を巡らせようとした瞬間。
「ウ・・・・・・。」
横でアルトが吐きかけていた。
見るからに辛そうな顔をして、吐くのを我慢しているっぽい。
「おい!吐瀉物で興奮するような特殊性癖は無いぞ!」
テンパって意味の分からない発言をする。
「そういう問題じゃないぞ!?誰か袋持ってないか!?」
「学園長の水で受け取ったらいいんじゃないですか!?」
「嫌ですよ!普通に考えて!」
「とりあえず・・・・・・袋・・・・・・どうぞ・・・・・・。」
「良くやった!アグラ!」
アグラから受け取った麻で作られた袋・・・・・・麻で作られた袋!?。
「ビニール袋じゃないから駄目じゃないか!」
「何で地球の袋前提で考えてるんですか!」
「これで受け止められるか・・・・・・?」
「受け止めれなくはないが、量によっては下に液体が漏れる。」
「とりあえず馬車を止めよう!」
「おい・・・・・・大丈夫か?」
「大丈夫・・・・・・にしたい。」
「しかしどうした急に。もしかして乗り物酔いが酷い感じだったり?」
「いや・・・・・・恐らくだが・・・・・・。」
そう言ってアルトの言葉が詰まる。
何か言いにくいことがあるのか?。
「恐らくだが?」
「仕事の状態と割り切って戦っていたが、先ほど驚いた時に素の状態と戻ってしまった・・・・・・。」
なるほど。
確かにアルトは素の状態と仕事の状態の差が大きいタイプの人間だった。
俺に助けを依頼した時の精神状態がかなりやばい状態だったことを考えると、もしかしたら仕事と割り切って強引に戦っていたと言ったところだろう。
「そうか・・・・・・とりあえずこれに吐いていいぞ。」
そう言って中身を全部出した魔術収納袋を渡す。
中にゲロを吐かれるのは普通にきついが、このまま放置するのは不味いだろう。
「感謝する・・・・・・。」
「ってか、これ戦力的に大丈夫なのか?」
「5人中3人が動けない。ってのは結構きついな。」
「特にアルトちゃんが動けないのは結構きついですね。この中だと一番護衛に向いていますから。」
「学園長って割と防御系の能力じゃないですっけ?」
「うーん。リーシェ以外がいるのであんまり自分の魔術については語りたくありませんが」
「自分は自己防御能力に特化しているんで、他者を護るのは苦手なんですよね・・・・・・。」
「そうなんですね。水を上手い具合に使えば護れそうなものですが。」
「そうすると脳の処理情報が一気に増えるんで、他者を護る場合は一面しか護れないです」
「もっと他者を護ることができる力なら良かったんですがね・・・・・・。」
そういう学園長の顔はとても悲しそうだった。
「まあつまり、今奇襲されると不味いと?」
「雑魚程度なら何とかなると思うが、二つ名持ち級が来ると3人を護りながら戦うのは厳しいな。」
「ではアルトちゃんには申し訳ないですが、急いで宿屋に戻りましょうか」
「優等生がいればまあ何とかなるでしょう。」
「(手錠のせいで結構魔力を吸われてるから現状がどうなってるかは不明ですが)そうですね。」
「なんですかその含みのありそうな言い方は!」
「さあ急ごうジャマイカ。」
重要なことをここで話すのは不味いと考えて、その後は軽い雑談をする程度で急いで宿屋へと戻る。
「さて。移動どうする?」
そうカノンに聞かれる。
「確かに。行動不能3人は厳しいか。」
「大丈夫・・・・・・だ。何とか動ける。」
アルトが言うが。どう見ても大丈夫そうではない。
「まあアルトは1人で行けると考えて。アグラはどうするか。」
アルトが運ぶのならば問題なかっただろうが、アルトは1人で行けるかどうかがと言うレベルなので運ぶのは無理だろう。
となると俺がカノンに運ばれて、学園長にアグラを運んでもらう。
逆にアグラがカノンに運ばれるかだ。
正直男に運ばれるのは普通に嫌だ。
「アグラはカノンに運ばれるのって嫌?」
アグラへ質問する。
「運ぶって言うなや。」
「運ぶ以外にちょうど良い良い方があるのかよ。」
「そりゃ・・・・・・抱きかかえてとか?」
「じゃあアグラを抱きかかえて運んでくれ。」
「抱きかかえても駄目だろ!」
「その・・・・・・できればカノンさんに運んでもらうのは嫌かな。」
「ほら。アグラさんも運ぶって言ってるし。」
「てか断られたことにショックは受けないのな。」
「そんなもんだろ。知らない男に体を触られるのは普通に嫌だろうしな。」
まあそりゃそうだわな。
「純潔をささげた相手以外が近くにいるわけで。」
「マジか。アグラとアルトってそんな関係だったのか。」
カノンは違うだろうし、俺もそんな記憶は無い。
学園長はそんな趣味が無いし、そんな趣味のあってアグラに近づけれるアルトがその相手なんだろうな。
「いや。お前だよ。」
「そんな記憶無いんですが!?」
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