いきなり登校っ!?
「・・・きなさい」
ん?
「起きなさいよ」
誰だ?母さんか?にしては声が若いような・・
「起きろって言ってんだろ!!」
次の瞬間、僕はベッドから床に転げ落ちていた。いや、正確にはベッドから吹っ飛んで床に叩きつけられていた。
まさか昨日の地獄から開放された朝がこんなにも目覚めの悪い朝だとは思ってもみなかった!・・・訂正です。正直若干思ってました。
「ッテェ~・・・、オマェっ・・美優璃!いきなり何すんだよ!!」
「私がわざわざ起こしにやって来たのに起きないからちょっと力ずくで起こしてみた。あはっ」
「あはっ。じゃねーよ。目が全然笑ってないんですけど。ってかさー、俺がいつお前に起こしてって頼んだっけ?別に1人で起きれるっつの」
「あぁ?結果1人で起きれなかったじゃん!何偉そうに言ってんの?それから別に私が好きであんたなんか起こしに来ると思う?私がそんな優し~いお姉さんだと思ってんの?」
無論思っちゃいませんが。
「あんたのお母さんに頼まれたの。ってか、命令?今日から毎日この時間に遊助が起きてこなかったら起こしてあげなさいって」
俺の母・・・なんていらないことを・・・。
明日から絶対にこいつが来る前に起きよう!そう僕は固く心に誓うのであった。
「後、覚えてるわよね?昨日の”姉弟憲法”」
「覚えてるよ。完璧だ、完璧」
「ホントに?さっき危なかったけどね」
「初めてだったから言うのに抵抗があっただけだよ。もちろん両親の前では気を付けるし」
「まぁ、いい。じゃあさっさと下降りて朝食食べに行こ。じゃないとあの人達怒らせるよ・・」
終始部屋の床で悶えていた僕だがコンマ数秒、すぐさま起き上がり朝食を食べに階段を駆け下りた。
「おはよー」
「遅い!遊助。美優璃ちゃんをちゃんと見習いなさい。あっ、美優璃ちゃん、ありがとね。遊助起こしてきてくれて」
美優璃はいえいえと軽く会釈しながら4人用テーブルの炊飯器の前の椅子に座った。
「・・・み、美優璃ご飯よそって。あっ、少なめで・・・」
”姉弟憲法 第1条”家で私を呼ぶときは姉さん、もしくは美優璃。(お姉ちゃんまたは姉貴でも可)
先程から気になっていた人もいるだろう。僕が秋瀬 美優璃をいきなり名前で呼んでいることに。
答えはこの”姉弟憲法 第1条”だ。
「はい、ご飯」
「あっ、ありがとー」
ご飯、ちょっと多いかな。まぁ、いいや。それでこの姉弟憲法 第1条は美優璃曰く、家で姉のことをあんたとかお前と呼ぶのはなんか不自然。何より、あの両親がそんな姉弟らしくないことを良しとするはずがない!とのこと。
僕は別にそんなに徹底することでもないと思うが本人がこれは絶対に外さないと言っているのだから変更の余地はおそらく、無い。
昨日の僕と美優璃のやり取りからお気付きの方も何人かいるのではないだろうか。
そう、秋瀬 美優璃・・・僕の姉は
ものすご~~~~~く、我が強い。そして自己顕示欲が高い。と言うか塊そのものである。
秋瀬 美優璃のことをうちの学校の男子は女神様だとか、天使だとか言うけれどもそれは自分自身でもわかっていることなんだって。
それは世間一般、男で言うナルシストだよ秋瀬くん。
なんと言うか・・・僕は秋瀬 美優璃という女をなんとなくだけど、なんとなくだけどどういうやつかは理解できた。
「ご馳走様でしたー!」
「お粗末様でした。偉いわね美優璃ちゃん。そんなに細いのに残さず食べて」
「いえ、お母さんの料理が美味しいからですよ」
「まぁ・・・」
「ごちそうさま・・・」
そう、秋瀬 美優璃は僕が人生で生まれて初めて出逢った、そして最後になるであろう、近年稀に見る最悪の
”悪女”だ。
こんな感じで僕はそんな姉との最悪の共同生活を、奇しくもスタートさせざる負えなかったのだ。
荷自宅を足早に済ませ学校へ
「行ってきまーす・・」
「待って!忘れたの?”姉弟憲法 第2条”弟は姉が登校してから10分後に登校するべし。でしょ?」
「ということで、行ってきま~す!」
共同生活1日目の登校から憂鬱になる僕である。
簡単 登場人物プロフィール
○春市 陽子
性別:女
誕生日:4月8日
血液型:O型
身長:158cm
遊助の母。おっとりしていて優しい
けれど怒ると恐いらしいよ
○秋瀬 貴士
性別:男
血液型:A型
誕生日:11月14日
身長:179cm
出番が少ない美優璃の父。子供にも
のすごく甘い。陽子とめちゃくちゃ
息が合う