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【完結】いきものたちの国〜生き物に変身できる国で、ラプトル少女とハチドリ少年が出会った話〜  作者: きろみりぐらむ
番外編

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女子会!(後編)

 「もっとなんか判断できるエピソードないのー?」


 やや気を緩ませたカレアがパンケーキを口にする。

 ナラも続いてパンケーキを頬ばった。

 イリスは真剣に考え込んでいる。


 「そう、これを撮った時……」


 ふと、テーブルに置かれた写真を手にして、イリスは思い出しながら二人に話をし始めた。


*****


 帰国し、しばらく離れる間の励みにと二人で写真を撮りに行こうと提案したのはイリスだった。

 写真を撮ることに前向きではないグレイだったが、イリスが彼にメイクをすることで渋々ながらも了承を得ることとなった。

 そうして二人で写真を撮った後で、グレイが切り出す。


 「俺抜きで写真を撮りたいが、その場合追加料金が必要なのか?」

 「かかると思いますけど……」

 「それじゃあ、その分俺が払う」

 「えっと、つまり私だけの写真を撮りたい、ということですか?」


 グレイは無言でうなずいた。


 「どうして……?」

 「財布に入れる」

 「え?」

 「この前、イリスがしばらくいなくなることをジェニスに話したら、『財布に写真入れとくと身近に感じられて良い』と言われた」

 

 淡々と、感情が見えないまま、グレイは続ける。


 「……俺もそれが良いと思った」


 グレイは至って真面目だった。

 わなわなとイリスは震え出す。


 「……ちなみに、先程撮った写真は……?」

 「部屋に飾る」


 イリスは勢い良く写真屋に向かって顔を向け、叫んだ。


 「すみません!とびきり美人に撮ってください!」

 

 グレイは眉をしかめる。


 「そのままでもイリスは美人だろ?」

 「あぁぁーーもぅっ!」


 写真屋は目を瞬かせていたが、やがてにっこり微笑む。

 そして再び写真を撮る準備に取り掛かっていた。


*****


 「えっと……ノロケ?」

 「違います」

 「じゃあ自慢?」

 「違います!」


 呆れるカレアはドリンクを口にした。


 「まぁそこそこ高い写真自腹切ってイリス単体の写真撮ったんでしょ?パフォーマンスとかじゃないんじゃない?」

 「素敵だね」


 二人の反応にイリスは顔を赤くする。


 「……なんだか大丈夫な気がしてきた」

 「良いねぇイリスも恋する乙女になってんじゃん」


 いひひ、とからかうように笑うカレア。

 イリスはきっと睨みつけた。


 「そういうカレアはどうなの?」

 「え、私?この前告白されたけど全然だね」

 「え!?」


 カレアの突然の告白にイリスはナラと声をハモらせた。

 

 「あ、ごめん話してなかったね。ナラは知ってるだろうけど、オウムのやつね」

 「えぇっ!」


 オウムっていうと、あの慰霊祭のソロパートでカレアと競ってたあの人か、とナラは思った。

 思い返したところで、確かあの人嫌味みたいなこと言ってなかった?と考えた。

 しかし、上手くいかなくても前向きに楽しむカレアを見ていたら……ときめくよな、とナラは考え直す。


 「なんかもやもやしたから断ったんだけどね。でもさー、その後アイツ『求愛の歌こそオウムの本懐ー!』とか言って更に歌上手くなってるの。余計にもやるー」


 じとっとした目でグラスをいじるカレアに、ナラとイリスは「カレアも色々あるんだね」と、当たり障りないことを言うことしかできなかった。


*****


 カフェを出て三人は露店が並ぶ道を歩いていた。


 「ねぇ、せっかくだから女の子らしくお揃いのもの買わない?」


 アクセサリーを売っている店を指差して、カレアが提案した。

 イリスは若干乗る気ではなさそうだったが、目を輝かせるナラを見て口をつぐむ。

 三人であれやこれやと言い合い、シンプルなシルバーのネームタグにすることにした。


 「本当はさ、イリスが留学する前にこういうことしたかったんだよね。でも二人なんか気まずそうにしてたでしょ?」


 タグに名前を彫ってもらっている間、ぽつりとカレアが話し出した。


 「でもさ、もう大丈夫そうだね。本当良かったよ」


 核心をつかれた二人はしばらく無言になる。

 しかし、すぐにナラとイリスは目を合わせて苦笑した。

 

 「カレアはすごいね」

 「あなた達が世話がかかるんですー」


 ナラの言葉にカレアは呆れ顔になった。

 それを見てナラとイリスはくすりと笑う。

 そうこうしているうちにタグが仕上がった。

 店員から受け取り、それを大切そうに手の平に乗せて眺めるナラに、二人は微笑む。 


 「……悪くないかも」

 「もう、素直じゃないねー」


 イリスもタグを受け取り呟いた。

 それを見たカレアがわざとらしくため息を漏らす。


 「さーて、それじゃあすごーいカレアさんがお二人をお見送りしましょうかねー」


 軽やかな足取りのカレアが二人の前に出た。

 二人はカレアに続く。

 そうして三人は温かな日が差す中を、家路につくことにした。






ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

書き溜めていた番外編もここでひとまず終了です。

この作品と向き合った数ヶ月は自分にとって何よりも宝です。


これから短編や新しい長編に挑戦した際お付き合いいただけると幸いです。

本当にありがとうございました!


最後に、評価や星などいただけたら励みになります!

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