表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界狩人〜ダンジョンにて、狩猟する〜  作者:
1章 狩人、迷宮を駆る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/36

六話 狩人、迷宮で相見える 其の弐

***


 【安置】には、人が生活で使う最低限の設備が整備されている。風呂場とある程度人が暮らせる生活スペースがあり、何故そこまでの設備があるのかは不明であるが【探検者】達のライフラインの一つとなっていた。


 本来の迷宮(ダンジョン)の【安置】は他の【探検者】がおり、同時に何人も押しかけたりすることがあるので睡眠などは取らずに前に進んで野宿をしたり、他の【安置】を探すのだが、【副都心迷宮(ダンジョン)新宿】の【安置】はほぼ人が来ない。


 それ故に、ほとんど現在はツカサ専用のものになっており、悪鬼(ゴブリン)を解体した際に浴びた返り血で身体中を汚していても文句は言われず、自分の部屋の様に使っていた。


「返り血は落とさないと体に悪いからな! 汚れた服はしっかりと手洗いして、今日は肉を焼いて寝るか!」


 ツカサは自分がよく使う【安置】に向かっていると初めて【探検者】の姿を目撃する。【探検者】は【安置】でツカサを待ち望んでいたかの様にその扉の前に立っていた。


(ゴトー達以外で初めて見たな)


 互いの距離が徐々に近づくにつれて何処からか緊張感が漂うとツカサはその【探検者】から視線を一切逸らさずに見つめた。


 背丈は自分よりもやや低く、ローブで自身の顔を隠しているがツカサはその体型などから【探検者】が女であることと何処か獣の様であると分析する。


 後一歩踏み込めばツカサの間合いに至ろうとした瞬間、【探検者】は突然、彼を睨みつけた。その視線をツカサはコンマ数秒たりとも見逃すことはなく、腰に差していたナイフを握りしめ、臨戦態勢に入るもそれとほぼ同時に彼の軍服に切り傷が生まれる。


「む?」


 目にも止まらぬ速度で刻まれた切り傷は深く、服以外にもツカサの肉体にまで至った。


 しかし、それよりも彼女が敵意を持って自身を傷つけたことで彼のスイッチは自動(オート)で切り替わる。


((オレ)を傷つけた得物、刃渡りおおよそ100cm、それなのにどんな物かは全く見えなかった。未知数とも呼べる対人、ここは一旦後ろに下がるか)


 【探検者】からツカサは距離を取るもその動きに合わせて、再び彼女の手が動いた。


 片手に握る得物から目にも止まらぬ速度で斬撃が放たれる。しかし、再びツカサの眼は既にその速度に順応しており、もう片方に握っていた幻狼(ガルム)の牙の苦無(クナイ)を打つけた。


 苦無(クナイ)は簡単に砕け散るもツカサはすかさず前を向き、【探検者】との距離を詰めた。瞬く間に、ツカサは自身の間合いに【探検者】を入れると漆黒の刃を持つナイフを疾らせた。


 ツカサの直線距離での移動速度は眼で捉えることは困難であり、突然【探検者】の前に現れるとそこから放たれるしなやかで鞭のような一撃が彼女に襲い掛かった。


 音を置き去りにするほどの速さを見せたツカサの全力。


 音速に至る刃に対して、【探検者】は初めてその得物の姿をツカサに見せた。


 音速の一閃に柄頭を打つけ、受け止めるとそれは100cm程の刃渡りをした鉄製の得物、ツカサは知らない武器である刀を露わにする。同時に顔を隠しているローブは風圧により、【探検者】の素顔が露わになった。


 頭上には巨大な狐の様な耳と臀部から長く伸びた一本の尻尾、そして、長く伸ばした金の髪を携え、整った顔立ちの女がその紺碧の眼でツカサを睨みつけていた。


 彼女は近距離でナイフを止めた状態から得物を振るい、ツカサへと斬撃を放つももう片方に握っていた苦無(クナイ)によって弾かれてしまう。


 ツカサは破壊された苦無(クナイ)の一部を投げつけ、【探検者】に防御を取らせると隠しておいたもう一つの苦無(クナイ)を取り出し、彼女を狩るために両手に握る得物を振るった。


 狩人と剣士、素性は一切知らずとも互いに鎬を削り合う。一太刀受ける度に苦無(クナイ)は砕けるとすぐに取り出しながら一息たりとも付く暇もなく、刃を打つけた。


(はは! 強いな! 無駄の一切を省いた極端に削がれた動きから放たれる技とも呼べる数々。(オレ)には無い()というやつか!)


 互いの得物がぶつかり合った風圧により、【探検者】との距離が生まれる。ツカサは先ほどの打つかり合いによって腕が震える程、痺れていることに笑顔を浮かべるも一度、態勢を立て直すために彼女に喋りかけて見ることにした。


「お前、強いな! 迷宮(ここ)では人も狩猟の対象でもあるのか?」


 ツカサに尋ねられたことで先ほどよりも空気がヒリ付くと【探検者】は刀を鞘に納め、意外にもその問いに答えた。


「バカを言うな。俺がこの剣を向けるのはお前のような違反者だけだ」


「む? 違反者? (オレ)がか?」


 ツカサが頭を傾げると【探検者】はそれに腹を立てたのか大きな声を上げる。


「お前以外に何処にいる?! 【探検者】登録もせず、合成獣も持たずに迷宮へ突入! 他の【探検者】の配信に入り込んでは堂々と“ホシナミ・ツカサ”と名乗る! 極めつけはあれだ、何処から見つけたか知らない合成獣キメラを持って、迷宮内で動画配信?! WDG迷宮(ダンジョン)探索規則一条、五条、十二条、全部を違反してる! お前の様な違反ばかりの馬鹿は初めて見るくらいだ!」


「ふむ、それは申し訳ないことをした」


 ツカサが頭を下げたことに【探検者】は調子を狂わされ、呆気に取られそうになるも頭をブンブンと振り回した。


「謝れば済むなら俺は要らない! 調子が狂うな、本当に! それはもうどうでもいい事だ。俺はな、お前みたいな違反者を狩る為の刃だ。自己紹介がまだだったな。死ぬ間際に覚えておけ。WDG検察庁検事総長、【原初の刃ファースト・ブレイブズ三日月風雅(ミカヅキ・フウガ)だ。これからお前をWDGの規則(ルール)に則り、死を与える」


 自己紹介を終えると同時に風雅(フウガ)はローブを脱ぎ捨てると腰に差しておいた刀の柄に手を置いた。その瞬間、ツカサの肉体が、指先から髪に至るまでの全てに於いて、強烈なまでの危機感を感じ取る。


 迷宮(ダンジョン)に来てからは感じ取れていなかった自身に迫り来る死を感じさせる悪寒にも似た武者震い。それは強者のみとの【狩り】でしか得ることの出来ない、強烈なまでの緊張感であり、ツカサは自身を奮い立たせる為にナイフを構えた。


 その一方で、風雅(フウガ)はツカサを煽るかの様な不敵な笑みを見せると自信と殺意を込めて、大声をあげた。


「見せてやるよ、迷宮(ダンジョン)での戦い方ってのをよ!」

感想、レビューいつもありがとうございます!

嬉しくて狂喜乱舞です!

続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!

評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ