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異世界狩人〜ダンジョンにて、狩猟する〜  作者:


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四話 狩人、迷宮を駆る 其の肆

「そうか! ゴトー達は地上? と言う場所に戻るんだな!」


 ゴトーは回復した直後、彼らは一度、この迷宮(ダンジョン)を出ると決めた。


「その、ありがとうな、ツカサさん。あんたがいなければ俺達は死んでいた。恩返しとしては不十分だが、受け取ってくれ」


 そう言うと烏の頭と羽根に猫の体、尻尾には見慣れない小さな四角い何かがついた合成獣(キメラ)をツカサに渡した。


 その瞬間に、ツカサはそれにナイフを向けた。合成獣(キメラ)はビクリともせず、そのナイフにレンズを向けており、それを見たゴトーが大急ぎで止めに入った。


「オイオイオイ! ツカサさん! 落ち着いてくれ! ソイツは敵じゃねえ!」


「む、そうなのか? 視線を向けたのとこの頭についてるヘンテコなヤツが(オレ)に目を向けたから、ゾワッとしてしまった」


「それには慣れてくれ。俺が昔使っていた合成獣(キメラ)だ。合成獣(そいつ)が居ないと迷宮(ダンジョン)で通報されて、居られなくなるから注意してくれ。それと大切な資金源になる」


「資金源? (オレ)G(ゴールド)は要らん」


 ゴトーはゲームでしか聞いたことない単位だなと内心思いつつも、ツカサに必要なものである事を理解させるために根気良く説明する。


「そうは言っても迷宮(ダンジョン)の外に出る事だってあるはずだ。合成獣(キメラ)は常に動画と言う形でツカサさんの姿を映しながら配信を行なっている。それがどんな時でもだ。今は、入り口付近だから機能が停止してるけど、迷宮(ダンジョン)の中に潜ればすぐにでも起動するし、ソイツだけはあんたが死んだ場合にも勝手に動く。さっきみたいな【安置】って呼ばれる場所では配信を自動で止めてくれる。休みの間は流石に写さないから安心してくれ。まぁ、一種の安全装置だと思えばいい。それと今から渡す【スマホ】さえあればあんたがどこの誰であろうともある程度は()()が効くからさ」


 ゴトーがツカサの手に四角い物体を手渡すと彼はそれを不思議そうに眺めていた。そして、物体の上面を指でなぞると画面が突然光だし、ツカサはそれに驚き、目を点にした。それを見てゴトーは少しだけ微笑みながら説明を始める。


「それはスマートフォン略してスマホって呼ぶ物だ。さっき話した配信ってのはいろんな人がツカサさんの狩りをするところを見ていて、それに対して視聴者が()()()()って言うもんで支援をしてくれる。そこには【カード】って言う機能も入ってて、配信中の視聴者からの投げ銭とかの支援も全部そこに纏めてあるから気が向いたら使ってくれ。迷宮(ダンジョン)の規則が決まり始めた最初期の型だから意外とレアモンで、()()()()()()ヤツだ。それさえあれば何とかなるだろう」


「なる、ほど?」


「ははっ、あまりにいっぺん説明したからわかんないか。ここでなら魔物も来ないだろうし、操作も含めて教えるよ」


 少しして、ゴトーの説明が全て終えるとツカサは頭を深く下げていた。


 先ほどまでは合成獣(キメラ)と【スマホ】に興味津々で自分達に一切興味がなかったと思っていた彼がお辞儀をした事にゴトーはビクリと体を揺らした。


「えーと、何で頭を下げんだよ! 俺達はあんたに救われた。だから、これくらい」


 その言葉を遮る様にツカサは頭を下げながら声を上げた。


「そんな事はないぞ! (オレ)は狩りをするために立っただけ、気にするな! だから、それを抜きにして(オレ)のために色々説明をしてくれた。『知恵を授けてくれる人に感謝する事を忘れべからず』そう先生から習っているからな! (オレ)には分からん事ばかりだがその好意に感謝をしなければならない」


 ツカサの言葉にゴトーは笑うと彼の目の前に手を出した。


「これからも迷宮(ダンジョン)に潜っていれば何処かで会えるはずだ。その時、また一緒にあんたの言葉を借りるなら【狩り】をしよう」


 目の前に出された手をツカサは強く握りしめて、嬉しそうに答えた。


「応さ! また、この地でな!」


 そうして、ツカサはゴトー達と別れ、彼らを見送ると嬉しそうに呟いた。


「ああ! また、【狩り】が出来る! 最後に残った渇望を、(オレ)は叶えられるんだ!」


 ホシナミ・ツカサは別の異世界から来た転移人である。

 しかし、それを彼は気にしない、いや、気にかけると言う思考を持ち合わせていない。


 何故なら、死の間際に見た渇望を満たす事が出来ると言う事実のみがある故に。それが何処であれ、何であれ、いつであれど、ツカサにとって些細な事であり、【狩猟】からのみ得ることが出来る快楽と熱を求めて走り出す。


 ツカサはゴトーから貰ったカードをポケットに仕舞うとナイフを片手に握り締め、迷宮(ダンジョン)の下へと向かった。


***


 ゴトーとその仲間達は迷宮(ダンジョン)から外に出るとようやく一息つける場所まで出てこれたとため息を溢した。


「準一級探検者の名が折れるな、こりゃ」


 ゴトーはスマホからWDGが運営している迷宮(ダンジョン)配信専用サイト、Explorer tube通称E tubeの急上昇ランキングを眺めながら呟いていた。


『いざ! 魔境へ! 副都心迷宮(ダンジョン)新宿①』


 サイトTOPに載っている急上昇1位、そこにはゴトーが行っていた配信があった。


 それは、突如現れた青年が死にかけていた冒険者を救い出し、名を叫んだ瞬間の映像が話題を呼んだからだ。


 鮮やかとしか言いようがない手捌きと何故か合成獣(キメラ)を連れずに迷宮(ダンジョン)にいた青年に対して、批判と賞賛、それ以外の様々な憶測がコメント欄にあふれていた。


『何だあの手捌き!』


鉄槌(ハンマー)がそれたの原理が意味分からん』


『早すぎて草』


『動画の中じゃ動きが見えなかったわ』


迷宮牛(ミノス)の首元なんて切れるヤツいるの?』


『ゴトーさん、情けなすぎワロタ』


『やっぱり、新宿は違うんだなぁ(´ω`)』


『コイツ違反者じゃね? 今の時代、大分規制が厳しくなったのにようやるわ』


『こう言うアホが調子付くから動画削除希望』


『ルールも守れん奴が迷宮(ダンジョン)行くな定期』


『やはり、現れたな紅の眼宿せし狩人が!』


『上のヤツ黙れ。半年出てくんな』


『誰かアイツのステータス貼れよ』


『動画内のは流石に無理じゃね?』


 コメントの数々はツカサに夢中で、誰も自分が死にかけていたことに対してコメントしておらず、ゴトーは少しだけ悲しくなったが【ステータス】と言う言葉を見て、彼がどれほどの実力を持っているのか気になった。


(えーと、確か、動画の原本があればステータスを見れるはず。グレーゾーンな行為だけどね)


 ゴトーは連れていた合成獣(キメラ)に着いていたカメラからデータを抜き取ると今回手に入れた動画からツカサが一番堂々と映っていた箇所を切り抜き、それを相手のステータスを見ることが出来るアプリに読み込ませた。


(照合率70%のステータス開示アプリ。本来ならステータスは迷宮(ダンジョン)内のみでしか開示できないから、眉唾物のアプリだけど試してみるかー。えーと、名前入力ね、【unknown】で良いか! 画像の読み込みはここか。Ephonのレベルの画像解像度なら多分、行けるだろ。まぁ、新宿の迷宮牛(ミノス)を一撃で倒すからな、相当なもんだろうなー)


 そんな事を考えながらゴトーはアプリが羅列した数字をぼんやりと眺めていた。しかし、その画面を見て、ゴトーは驚愕するこになる。


 画面に映されたのは測定不能の文字と見たこともない不可解なステータス。


「ツカサさん、あんた本当に一体何者なんだ?!」


 ゴトーは自身が出会った未知数の変数に対して、ただただ驚きを隠せないばかりであった。


――――――――――――――――


【名前】unknown

【レベル】50

『HP』3000

『MP』欠陥

『腕力』600

『耐久』400

『敏捷』測定不能

『器用』90

『知力』100

『精神』測定不能

【PP】50

【TSP】1500

個性(スキル)】不明

固有個性(ユニークスキル)我、狩人たらん(プレデター・オリジン)、不明、不明、言語統制(バベル)

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