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ネトゲで俺を狩り続けた伝説PK、 リアルでは学園No.1のクール美少女でした 〜リアルと性格違いすぎません〜  作者: 風白春音


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第23話 警告

白鷺美月side


 私は重い足取りで屋敷へと戻った。

 玄関には既に出迎えの専属メイドが、立っている。

 

 「おかえりなさいませ美月様」


 「ただいま。ママは何て?」


 「準備が終わりましたら、食卓に来るようにと麗華様から言伝を預かっております」


 私はわざとらしく大きくため息をついてメイドを困らす。

 ビクッとするメイドの姿が何とも滑稽に思えた。


 (そんなにストレス溜めるなら、さっさと辞めたらいいのに)


 私は専属メイドを無視してそのまま洗面室へと向かう。

 顔を洗い、鏡の自分を見る。

 

 (相変わらず酷い顔)


 いつにも増して、ストレスが心身を蝕む。

 ママに会うのが億劫だ。


 「でも、今日は久しぶりに楽しかったな」


 思わず自分でも気づかない小声でそう呟いていた。



 ────


 「ただいま戻りました」


 「座りなさい」


 大きなテーブルに向かい合うように椅子が二つ。

 相変わらず馬鹿みたいな無駄さ。


 「事の顛末は聞いているわ」


 テーブルにはシェフが作った料理が整然と並んでいた。一流シェフ✖︎高級食材。不味くなるはずがない。

 なのに──微塵も食欲がそそられなかった。


 「別に私がどこで何をしようが自由でしょ。犯罪を犯してるわけでもないんだし」


 冷酷な瞳でママに静かに圧をかける。

 だがママは意に介さず、呆れたように淡々と口を開く。


 「愚娘とはこの事なのね。美月、貴方の我儘をどれだけ聞いてきたと思っているの。本来はモデルも私は認めていないのよ。あの人が好きにやらせろと言うから」


 また始まった。ママは私がモデルを始めるにあたって最後まで反対していた。まるで執着するように。


 「あれは彼氏なの?」


 私は少しだけ動揺した。

 一瞬なんて答えるか迷ってしまった。


 「違うかな。親しい異性の友達だよ」


 「ホテルに入る寸前だったそうね。なぜ友達同士でそういう場所に行く必要があるのかしら?」


 「休みたかったからだよ。それに結果入ってないんだからいいでしょ」


 そう言って私は静かに立ち上がり、食卓を後にした。


 大きなため息が聞こえた気がした。


 ────


 自室のベッドでスマホを弄る。

 snsで今日のデートが特定されたか、確認するが、それっぽいのはない。

 

 「つまんないの」


 スマホを羽毛布団の上へと投げる。

 代わりにVR機器『シナプティア』を装着する。


 「ストレス発散しよ」


 今日もストレス解消の為、『ミラーアースオンライン』へとダイブする。


 すぐに景色が入れ替わる。

 相変わらず凄い技術だ。


 「白銀君は、流石にログインしてないかな?」


 白銀君と話すのは非常に刺激的で楽しい。

 今までの人生であんな人いなかった。


 「でも、夜桜紫苑は相当警戒してたしなー」


 私の直感が正しければ、きっと彼女も同類だ。

 何か闇を抱えてるはず。


 その時だった。


 「やーっとログインしたね。してくれないかと思っちゃったよ」


 「だ、誰!?」


 驚いて振り返ると、そこに黒髪の美少女が立っていた。

 

 (いや⋯⋯ 見覚えがある。まさか?)


 「夜桜紫苑?」


 「当ったりー。身バレしちゃった」


 「どういうつもり? 待ち伏せなんて趣味がいいとは言えないけど」


 そもそも私だとなぜわかった?

 アバターネームは本名でない。

 考えられるとすれば、アバターそのもの。


 「君の疑問にお答えしよう。その猫耳アバターはね実は世界で1つしかないんだよ。つまり君が朔夜君に白鷺美月だとバラしたのは致命的なミスだったんだよ」


 「え!? 本当なの?」


 「嘘だと思うなら、証拠を見せようか」


 「いや、別にどうでもいいけど」


 まさかこのアバターが唯一無二だったとは。

 無理を言ってお兄ちゃんに頼んで用意してもらったのが仇になった。


 「どうりで身バレするの早いと思ってたんだよね。いくら裏切られたとは言えさ」


 「裏切り?」


 「別に、こっちの話。それより待ち伏せたからには話があるんでしょ?」


 私は夜桜紫苑をじーっと見つめる。

 動じないどころか、楽しそうにしている。


 「ここじゃあれだから、プライベートルーム行こうか」


 私は大きくため息をついて、夜桜紫苑に従った。


 ────


 「それで話って何?」


 「すぐ帰るから安心してよ。結論から述べるね。朔夜君にあまり関わってほしくないんだよね」


 私は少しだけ苛つきを見せる。


 「それは、白銀君から頼まれたの?」


 「違うよ。私からの警告」


 「くだらない。不愉快だから帰って」


 私はため息を何度も吐いて、椅子に座る。


 「仮に警告を破ったらどうする気?」


 意地悪に聞いてみた。


 「そうだね。君の人生めちゃくちゃにしちゃおうかな」


 冗談ではなく、本気の目に切り替わる。

 思わず喉を鳴らした。


 「そんな事出来ると思ってるわけ? むしろ私の影響力を使えば貴方なんて⋯⋯ 」


 楽しそうに私を見つめてくる。

 初めて何かに底知れぬ怖さを感じた。


 「そんな怯えなくてもいいよ。私は君とは仲良くしたいからね」


 「私はたった今、仲良くする気なくなったけどね」


 「えーひどーい」


 揶揄うような言葉遣いを見せた後、椅子から立ち上がる。


 「最後にもう一度。朔夜君にあまり関わらないでね」


 その一言を最後に夜桜紫苑はゲームから姿を消した。



 「あー腹立つ。まじで死ね」


 夜桜紫苑を思い出すたび、虫唾が走る。

 歯軋りが止まらない。


 「あの余裕顔絶対崩してやる」


 私はこの日溜まりに溜まったストレスを、プレイヤーキル20で何とか沈み込めた。


 そしてこの日から夜桜紫苑を忘れたことは一度たりともなかった。

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