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第7章 魔王を継ぐもの

 現在倉間大和は貴族に逆らったとして国家転覆の罪で追われる身となっていた。

 大和にとってもはやクライカードを使うこと自体になんの意味もなくなっていた。かつてタートルにも言われたとおりだ。――悪魔の力でも僕としたら大した問題じゃないさ。

 女神フリイヤには止められた。

「あなたはクライカードと関わりすぎて悪影響が出ている」

 浄化すると言われ拒否した。浄化とか関係ない。浄化で現実は変わらない。タートルやホエールが王国から狙われる立場が変わるわけでもない。そして女神フリイヤは彼女たちを助けることもできない。

 だから大和はクライカードもセイントカードも両方使うようになった。元々スカルドラゴンのようにクライでもセイントでもないカードも存在している。こだわること自体が馬鹿馬鹿しくなっていた。

 魔王城の椅子に座る倉間大和。

 その様子を見てタートルは心配しているようだった。

「自分の罪を感じているのであれば気にする必要はない。魔王様は浄化され楽になっただろう。ずっと周りの者のことを考えておられたから」

「浄化で死んだら元も子もないだろ?」

 たくさんの家族を抱える魔王を倒してしまった罪。大和はそれを感じているのだろうか。自分でもよくわかっていなかった。ただ、この魔王城にいる者たちを守らなければならないという責任感が彼を動かしていた。


      〇


 魔王城に王国の騎士たちが攻め込んできたらしい。黒騎士たちやドラゴンの尻尾が生えた悪魔メイドたちが応戦している。

 なぜこんなことになってしまったのか。すべては大和自身の視野の狭さだと感じた。

 大和も応戦すべく椅子から立ち上がるが、タートルは心配して声をかける。

「待て! 出なくてもいいんだ」

「そんなことはない。俺も出る」

 魔王城のバルコニーへ出ると下で戦っている者たちを見下ろす。地上の至る所で剣がぶつかり合い鎧に剣が当たる様子が。大和は白い召喚板にデッキを装填した。カードが自動でシャッフルされる。

「……俺のターン」

 カードを1枚引き召喚板にカードを配置する。

「来い、スカルドラゴン」

 全身が骨で組まれたドラゴンが召喚される。大和はスカルドラゴンの背に跨ってバルコニーから飛び降りた。

 王国の軍は銀の鎧を身に着けて黒い騎士と戦っている。鎧に剣が当たる音、威勢の良い男や女の声が入り乱れて聞こえてくる。

 タートルは戦いに行ってしまった大和を思い一人涙した。

「僕だって、どうしたらいいか分からないんだよ」


      〇


 スカルドラゴンに跨る大和は白い召喚板にさらにカードを配置していく。

「柴犬鎧まるいちを召喚、さらに能力発動! デッキから犬カードもしくはドッグカードを手札に加えるかそのまま召喚できる。俺はセイントドッグマンを変幻召喚する!」

 柴犬鎧まるいちが召喚されさらに光の粒子となり人の形を形成し犬の耳と尻尾が生えた美青年が現れる。

「セイントドッグマン! 銀の鎧の者たちを攻撃! セイントフラッシュ!」

 光の粒子が両手に収縮され両手を銀の鎧の王国兵たちに発射される。

 うわああああああああ!!

「攻撃! 攻撃! 攻撃だ!」

 スカルドラゴンとセイントドッグマンの攻撃で王国の兵士たちが吹っ飛ばされていく。

 女神フリイヤはもうここにいない。魔王を倒し仕事が終わり神界へ帰っていった。さすがに戦争の手伝いができるはずもなかった。

「……殺さないように、撤退させるんだ。力で!」

 さらにカードを1枚デッキから引き抜き召喚していく。

「クライ二ホンオオカミを召喚!」

 遠吠えとともに黒いもやが発生し黒い煙がオオカミの形を形成していく。

 ――ワオォーーーーーーーーーーン!

「さらにクライ二ホンオオカミは仲間を呼ぶ! デッキから2体のクライ二ホンオオカミを召喚!」

 遠吠えが3体分となりクライ二ホンオオカミたちは王国の兵士たちへ向かって駆けていった。



      〇


 王国軍は撤退していき黒騎士やら悪魔メイドたちは魔王城へと戻り休憩に浸っていた。

 クライカードは悪魔の力とされる。今までやってきたことはクライカードを手放させるという悪魔祓いのような活動だった。だが今はセイントカードもクライカードも両方を使い仲間を守るために戦っている。

 正直なところ冒険をしていた頃よりも精神的に辛かった。

 大和は本当はもう戦いたくなかった。だが、王国軍が戦いを仕掛けてくる。命がぶつかり合う戦い、そこまでして王国は何がしたいのかまったく大和には理解できなかった。家族や友達がいれば守る。それは当然のことであり、ここの魔王城に住む者はみんな天涯孤独だった者たち。他に居場所なんてない。


      〇


 ホエールはメイドたちと一緒に黒騎士たちのけがの治療などを手伝っていた。ドラゴンの尻尾が生えた悪魔のメイドたちも戦闘に参加していたようで彼女たちも治療を受けている。

 タートルは戦闘に参加しなかった。どうやら一人で悩んでいるようだった。戦うか戦わないか。答えがでないらしい。どうやら戦争が嫌いらしいのだ。実際王国軍の兵士が戦いで亡くなった場合、戦争孤児も出かねない。自分が苦労したことを他の者に経験してほしくないというのが本音であった。

 戦闘が終わり大和はまた謁見の間の玉座に座るとふと女神フリイヤの顔が浮かんだ。

 ……ほんとうに俺の選択はこれでよかったのだろうか。

 白い召喚板を使い様々なカードを召喚し王国のたくさんの兵士たちを蹴散らした。だが本当にこれでよかったのか。それがずっと不安だった。

 玉座でうずくまる大和。

「……フリイヤ」


      〇


 一方女神フリイヤの方は神界で審問を受けていた。なぜ倉間大和を任務完了と同時に元の世界に戻さなかったのか。

「クライカードの問題が片付いていなかったからです」

 では君はなぜ一人で神界に戻ってきた?

「戦争と言っても差し支えない事態です。そこで私がどちらかにつくのは問題かと」

 確かに悪魔側に着くのもクライカード生産や販売の権限を独占したい汚職のような王国のやり方につくのもどちらにしても問題だ。

 今はまだ神界では大和たちの様子を見守ることしかできない。


      〇


 玉座で一人うずくまる大和に対し声をかける者がいた。

「かわいそう、一人で悩んでいるのね……」

「誰だ君は?」

 頭を上げると傍にいたのは水着のような煽情的な格好の女の悪魔であった。ひらりとした短いスカートからドラゴンの尻尾のようなものが見え隠れしている。

「リーリと呼んでくださいませ」

「何の用だ。悪魔」

「はい悪魔です。あなたが一人で辛そうにしていたので参上いたしました」

 フリイヤだったらなんて言うだろうか。悪魔の言葉を鵜呑みにしてはいけないとか、話してはいけないとか言うに違いない。だが実際今ここにいるのは皮肉にも悪魔のみだ。

「クライカードを使った報いか。孤独感に付け入る悪魔がどっからか湧いて出てきた」

「あなたひどいことをおっしゃる。確かに私は悪魔ですよ? でもクライカードも悪魔の力も関係ないのでしょ?」

 王国の城ではっぱをかけた際の言葉を言ったので驚いた。

「お前、いつから俺のことを知っている?」

「ずーっと知っていましたよ? でもあなたが悪魔を遠ざけるから近づけなかったのです」

「心の距離みたいなこと言うな?」

「実際その通りでございます」


      〇


 王国はまた攻めてくるのだろうか。そう思う度に胸の中が締め付けられるような感覚に陥ってしまう。

 心がつらくなる度にリーリが玉座にすり寄ってくる。

「大丈夫でございますよ。私がいますから」

 そんな場面でタートルがやってくる。

「大和。また戦うのか?」

「……戦わないと。何も守れないだろ」

「でも君は勇者じゃ……」

大和は「勇者じゃないっ!!!」と叫び玉座から立ち上がる。

「もうこうなってしまえば俺はもう誰でもない! 王国に反逆するただの召喚士じゃないか!」

 タートルは「すまない」と言い頭を下げた。

「なんで頭を下げるんだよ」

「いや、こんなことになってしまって。大和は今王国側からは二代目の魔王と見なされているらしい」

「……好きなように言うがいいさ」

 リーリが大和の顎を撫でるように触る。

「良いじゃない。二代目魔王あなたにはふさわしいわ」

 大和は再び玉座に腰掛け肘置きに肘をついて顎を手のひらで支えた。

「もう、どうなってもいいさ」


      〇


 再び王国が攻めてきた。だが今回は様子が違う。白い召喚板を腕に装着した少年が前に立ち隣には聖女らしき女が付き添っていた。後ろには銀の鎧を着た兵士たちが列を作って並んでいる。

「倉間大和よ! 我々はあなたと戦う意思はない。投降して城を明け渡せ」

 バルコニーから様子を窺うが「天涯孤独な者たちの居場所を明け渡すわけないだろ」と呟く。

 大和は階段で地上まで降りて黒い騎士と悪魔メイドたちを引き連れながら外に出た。タートルやホエールも大和と共に続いている。

 城から出た大和は問う。

「投稿すればみなはどうなる? 誠実な回答がほしい」

 天涯孤独な者たちを守らなければならない。それが魔王を倒した責任なのだ。

 質問に対し鎧を着た貴族らしき者が答える。

「魔王の味方をする者たちなのだ。適切な処分を受ける」

 予想していたような返答に大和は「何も知らない下郎が」と呟く。クライカードを印刷し続ける者たちは処分されない。悪役が処分される。

 大和は少し前に出て白い召喚板を構える。

「デュエルだ」


      〇


 白い召喚板を構えた大和と王国からやってきた新しい勇者らしき召喚士。2人は40枚のデッキを召喚板に装填する。自動でカードがシャッフルされお互いの召喚板に装着された魔法石が光った。

「デュエルの前に君の名前を聞いてもいいかな?」

 大和の質問に答え「ヴァーリ・オーディオル」と答える。

「ありがとう、俺は倉間大和。じゃあ始めよう」

「「デュエル!!」」

 大和は思った。きっとヴァーリの目には自分が倒すべき魔王として映っているのかもしれないと。

 お互いにカードを初手の4枚手札を揃える。勝負を仕掛けた大和からのターンとなる。

「俺のターン、ドロー」

 大和がカードを1枚デッキから引き抜き抜くのと同時にエンジンのような音が鳴り魔法石が回転する。


※現在のデッキ枚数。ヴァーリの手札36枚。大和の手札35枚。


「俺は柴犬鎧まるいちを召喚」

 元気よく駆け巡る柴犬鎧まるいちが実体化され、さらに能力を発動する。

「柴犬鎧まるいちの能力発動。デッキから犬カードもしくはドッグカードを手札に加えるか召喚することができる」

 デッキを召喚板から外しカードを探す。一枚のカードを選択するとデッキを召喚板へ戻した。戻されたデッキはシャッフルが自動でされる。

「俺はこのままクライドッグガールを変幻召喚する」

 柴犬鎧まるいちが黒い靄に包まれ、黒い靄がそのまま人の形を形成し犬の耳と尻尾が生えた美少女が現れた。セイントドッグガールとの見た目の違いは毛の色だろう。こちらは黒い。


※現在のデッキ枚数。魔王の手札36枚。大和の手札32枚。


 コストは9だが、柴犬鎧まるいちの能力でこのカードの上にカードを重ねて変幻召喚をする場合ノーコストで変幻召喚ができる。

「所詮はクライカードもセイントカードも意味がないのだ。すべては権力なのだから」

 ヴァーリに大和は問う。

「お前は知っているのか? クライカードは魔王だけでなく、人間も作っているカードであり、さらに魔王がいなくなったことで儲けの全てを独占するべくこの邪魔な魔王城を差し押さえしようとしていることを。クライカードが売れれば売れるほど儲けは貴族どもに入るぞ?」

「なんだと……」

 ヴァーリは知らなかったようだ。それもそのはず誰もいない陰で話していたような内容なのだから。

「俺はターンエンドだ。さあ、来るがいい勇者」


      〇


 勇者ヴァーリのターンが回ってきた。

「俺のターン」

 どうやらクライカードのことで動揺しているようだ。

 銀の鎧を着た貴族どもが「何をしている?! あっちの言葉を信じるのか!」と声を上げている。

「そうだ、俺は勇者なんだ。魔王となった者から魔王城を明け渡してもらうためにここまで来た」

 その独り言はどこかで聞いたようなセリフだと大和は感じた。

「俺のターン」

 ヴァーリがデッキから1枚のカードを引き、同時にエンジンのような音が鳴り魔法石が回転した。

「俺はシャムネコ鎧ひなこを召喚」

 鎧を着たシャムネコが召喚される。コストは3だ。


※現在のデッキ枚数。魔王の手札32枚。大和の手札32枚。


「さらに能力発動! シャムネコ鎧ひなこが召喚された場合、他の猫カードもしくはキャットカードを手札に加えるか召喚ができる」

 白い召喚板からデッキを引き抜き1枚のカードを選択してまたデッキを白い召喚板へと戻し、デッキが自動でシャッフルされる。

「このまま変幻召喚、シャムネコ鎧ひなこを素材にセイントキャットガールを変幻召喚する」

 シャムネコ鎧ひなこは光の粒子に包まれそのまま人の形を形成し耳と尻尾が生えた美少女へと変化した。

「変幻召喚は本来コストがかかるけど、シャムネコ鎧ひなこの能力でコストがかからない」

 セイントキャットガールのコストは9。能力は場の相手のカードが自分より多い場合、自分と同じになるように相手に休憩エリアへと強制的にカードを送らせるカード。つまり相手に2体いて自分は1体の場合2体のうち1体を休憩エリアへと送らせる強力な能力なのだ。

 だが今は場に一体ずつ。今すぐ能力が使えるカードではない。

大和は思った。――この相手初心者だ。

「俺はターンエンドだ」

 さらに攻撃してこない。コストは9同士で相打ちは狙わないということだろうか。それとも権勢のつもりなのだろうか。


      〇


「では俺のターンだ」

 デッキからカードを一枚引く大和。

「では面白いものをみせてやろう」

 手札からカードを選択し白い召喚板へ配置する。

「いでよ二体目の柴犬鎧まるいち!」

 場に二体目の柴犬鎧まるいちが現れる。

「さらに能力発動、先ほどと同じく犬カードもしくはドッグカードを手札に加えるか召喚することができる」

 デッキから一枚のカードを選び取る大和。そして柴犬鎧まるいちのカードの上にセイントドッグガールのカードを重ねる。

「変幻召喚、いでよセイントドッグガール」

 柴犬鎧まるいちは光の粒子となり、その粒子は人の形を形成し犬の耳と尻尾が生えた美少女へと姿を変えたのだった。

 柴犬鎧まるいちの能力で変幻召喚する際はコストがかからない。つまり今回も柴犬鎧まるいち分のコストがデッキから引かれるだけとなる。


※現在のデッキ枚数。魔王の手札32枚。大和の手札28枚。


 場にセイントドッグガールとクライドッグガールの二体が揃う。本来は相対する存在同士だ。

「セイントドッグガールの能力発動。場の犬カードもしくはドッグカードの数だけ相手のカードを手札に戻すことができる」

「なんだとっ!?」

「俺が手札に戻すのはセイントキャットガール。いけっ!セイントアセンション!」

 セイントキャットガールは光の粒子となって消え、カードは手札へと戻る。セイントキャットガールのカードの下に重ねられていたシャムネコ鎧ひなこのカードは休憩エリアへと送られた。


 場にはクライドッグガールとセイントキャットガールのコスト9同士がおり、二体で攻撃するとあっという間にデッキが18も削られる。

「いくぞ、クライドッグガールとセイントドッグガールで攻撃。ダブルドッグフレア!」

 クライドッグガールの両手に闇の粒子が集中し、セイントドッグガールの両手には光の粒子が集中していく。そして二体のドッグガールたちは両手のひらをヴァーリへと向け闇の光線と光の光線を浴びせるのだった。

「うわあああああああああ」


※現在のデッキ枚数。魔王の手札14枚。大和の手札32枚。


 だがまだ勝負はついていない。デュエルは最後までどうなるか分からないのだ。

 光線を受け吹っ飛ばされたヴァーリは立ち上がり「強い」と呟いた。

 ヴァーリという少年はなんだか他人とは思えなかった。過去の自分を見ている気分になる。

「俺はターンエンドだ」


      〇


 次のターンはヴァーリのターンだ。

「俺のターン! ドロー!」

 デッキから1枚カードを引き抜き、手札から一枚のカードを選択し白い召喚板に配置する。

「俺は三毛猫鎧ミミを召喚」

 光の粒子が一つになり三毛猫鎧ミミが召喚される。コストは5。


※現在のデッキ枚数。魔王の手札8枚。大和の手札32枚。


「三毛猫鎧ミミの能力発動! 自分の手札を2枚休憩エリアに送ることにより相手の場のカード1枚を手札に戻すことができる」

 選択されたのはセイントドッグガール。

「手札に戻れ! セイントドッグガール!」

 大和の手札にセイントドッグガールが戻り重ねられていた柴犬鎧まるいちは休憩エリアへと送られる。

「ターンエンドだ」


      〇


 なかなかにいい戦術だと感じた。確かに戦闘をむやみにせず能力で相手の場を空けていけばデッキが残り少なくなっても勝機はある。だが、

「ヴァーリ、君は一つ忘分かっていないことがある」

「なんだよ」

「それは変幻召喚されたクライドッグガールを素材に変幻召喚ができるということだ」

 クライドッグガールの能力は自分の場の犬カードまたはドッグカードの数だけデッキからカードを引いて手札を増やすことができるというプラスにもマイナスにもなる効果だ。能力を使わなくとも変幻召喚の素材とすることができる。セイントドッグガールの変幻召喚の場合コストが9同士のためコストもかからない。

「俺のターンドロー」

 ターンの始まりにデッキからカードを一枚引き手札に加える。

「変幻召喚! 再びやってこい! セイントドッグガール!」

 クライドッグガールのカードの上にさらに重ねる形でセイントドッグガールのカードが配置される。クライドッグガールが闇の粒子に包まれたと思うと光の粒子に変わり光の中から羽化するようにセイントドッグガールが現れた。

「セイントドッグガールの能力発動。セイントアセンション! 三毛猫鎧ミミを手札に戻す!」

 三毛猫鎧ミミが手札へと戻されヴァーリの場には何もいなくなる。

「よし! がら空きだ! いけセイントドッグガール! セイントフレア!」

 セイントドッグガールは光の粒子に包まれそのまま突進していく。

 セイントドッグガールの体当たりを受けヴァーリは後方へと吹っ飛んだ。

「うわああああああああ!」


※現在のデッキ枚数。魔王の手札0枚。大和の手札32枚。


この勝負大和の勝利である。


      〇


 王国軍は勝負に敗退し帰っていった。このまま大人しく煩わしい者を排除しようとする暴力的な発想から離れてくれればいいが、そううまくいかないだろうと大和は思った。

 貴族どもは手段を選ばずクライカードの独占的な権限が欲しく、責任転換の悪役を作り排除したいのだ。

 勝負が終わると再び考え込むように玉座に座る大和。

「俺には責任があるんだ。魔王を倒してしまった責任が」

 背後にはリーリという女悪魔。

「本当に一生懸命なのね。真面目で。す・て・き」

 大和にはリーリが苦しんでいる姿を楽しんでいるようにしか見えなかった。

 タートルはタートルで悩んでいる。みんなこれからどうするか、どうなるかで悩んでいるのだった。


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