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レベルが上がりにくい鬼畜な異世界へ転生してしまった俺は神スキルのお陰で快適&最強ライフを手にしました!  作者: メバル
【オスクリダド編】

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84/84

【84】ずっと2人で……

 ザハルとケントがシガレット家に里帰りをする準備をしている最中さなか、シガレット家では遂に彼が大往生を迎えようとしていた。


 名をエコー・シガレット。


 ザハルの弟にして、ジェンノ王国の頭脳を担う天才軍師。

 生い立ちはごく平凡と言える成長過程だったろう。

 変わっているところと言えば、燻っている力が解放されず小さく幼き身体に大きな負担を掛けていた事くらいであった。


 兄の手により喜樹の実を譲り受け、彼の才能は全解放される。

 若くして天命尽きるはずの男は現在では95歳。

 男性平均寿命が60代前半の世界では、もはや記録的な大長寿を打ち立てた。


 国の頭脳でありシガレット家の柱に、その時が来ようとしていた。

 天寿全う。普通なら悔いなどあるはずもない。

 だが、エコーには心配事が1つ残されていた。

 それは愛する可愛い孫のケントであった。


「あぁプラム、ここまで本当にありがとう。子供達も今では誰も残ってないけど、僕たちにはケントが残ってる。

 ケントは無事に生きているだろうか……

 兄上、お早く。私にはもう猶予がありません」


「旦那さましっかりなさって下さい。

 まだ、まだ……今少しだけ。

 先ほど主より本日中に戻ると連絡がありました。その際にマイムを連れてくるように依頼もしてます。

 今少しだけ耐えて下さい。

 お願い……死なないで」


 プラムの悲痛な願いであった。


 そしてザハルは悟っていた。弟の死期が近いことを。

 分かっていてこの日を選んだ。

 ザハルには、ある思惑があったからである。


「ザハル、さっきプラムからエコー君が危篤だって連絡があったよ。早く行かないと」


「分かってる。直ぐにケントを連れて来てくれ。マイム!先に行っていいか?」


「勿論。僕もケントを連れて直ぐに行くから」


 ザハルが自分の感情を優先した行動をマイムは止めなかった。

 常に感情より論理で動いて傷つくことを恐れていた男が、レーニアが死んだとき以来感情を優先したのである。


 ザハルがシガレット家に到着。

 ザハルがエコーと対面したとき、エコーは既に身体を動かすことも話すことも困難な状況であった。


「主さま……」


 ザハルは無言でエコーの元へ向かう。

 じっくりと顔を見て意を決したかのようにエコーを抱きかかえ、父と母の眠る地下の霊廟へ。


「プラム、ケントとマイムが到着したらお前も一緒に来い。案ずるな、まだ死にはせん」


「はい」


 霊廟へ向かう途中、ザハルは少しだけエコーにメストを注ぎ回復させ、兄弟の会話をしていた。


「お前も95歳か。しかしよくこんなに長生きしたもんだ」


「ええ。本当に色々な物を見てきました。見たくない物も沢山。

 ですがやはり、プラムと出会えたことが私の人生に大きな意味を与えてくれました」


「そうか。お前がアイツと付き合ってると言ったときは、プラムをブチ殺そうとしたっけな」


「はは、ありましたね。そんなこと。

 でも今この瞬間まで彼女と一緒にいれた事が最大の誉れであり、彼女に感謝の思いしかありません」


「もっと一緒に居たかったか?」


「それは勿論。未来永劫ずっと一緒に居たいです。私が生涯に置いて唯一愛した女性ですから」


「そう考えると、ヒューマンの寿命は儚く短いな」


「だからこそ無駄なく己に全力で向き合い、生きていく必要があるのです。

 私もそうしました。兄上に生かされてから懸命に」


「悔いはない?」


「ありますよ。沢山。

 それでも1番は、やはりプラムを1人にしてしまう事です。寂しい思いをさせてしまうことが、大変辛い事です」


「お前は常に自分より誰かなんだな」


「だって人に関わらず笑顔は素敵でしょ?」


「そうだな。そうなんだろうな」


 兄弟の話が続く中2人は霊廟へ着き、その後間もなく全員が霊廟へ到着した。


 泣きじゃくるケント。


「お祖父様!なぜもっと早く教えて下さらなかったのですか?」


「兄上達と行動する中で少しは命の重みを知れたか?」


「はい。はい!どうかお祖父様!もう少し時間を!足りないです……恩を返すには足りないのです」


 マイムへ悲痛な顔をするケントとプラム。

 マイムは首を横に振ることしか出来なかった。

 最早、国宝の死はもう間もなくに迫っていた。


「兄上、どうやらお時間のようです。

 兄上の弟に産まれてこれて本当に良かった。ケント兄上を信じて進みなさい。

 最後にプラム、本当にありがとう。本当に本当に幸せだった。来世でも出逢いたいと切に願い今生を終わるとしようか……」


「って事はお前もう人としての終わりを覚悟できたな。よし、精神体となる儀式を始める」


「あ、兄上!?私もう……」


「分かってるって。じゃあなヒューマンのエコー。合掌。

 魂魄浄化

 肉体消滅

 基本形体ハイエルフ

 準備完了。

 再誕せよ!エコー」


 エコーはヒューマンとして確かに死んだ。

 享年95歳。

 しかし死と同時に彼は精神体の身体をゲットし再誕する。


 この日エコーは超越者となった。

 もう彼に寿命の概念はない。

 彼の頭脳はヒューマンとして使用されることはない。

 オスクリダドの一員として今後は最高の軍師として君臨する。


 この結果に歓喜したのは勿論プラム。

 いかがわしい行為が始まっちまうんじゃねーかと思ってしまうほどのベロチュー。


 やめて。キショいから。


 ケントも歓喜する。

 恩を返す時間が与えられた。


 マイムは少しぷんぷん丸。

 教えてて欲しかったって顔をしている。

 スライムの姿でその素振りは止めてくれ。

 可愛すぎで滅だ。


 エコーは精神体の身体をゲットし若返った。20代くらいの姿になったと言えるだろう。

 これから彼の力を存分に借りよう。

 オスクリダドには頭脳が必要だったからね。バカばかりで困っていた所に最高のピースをゲットできた。


 これでエコーはもうヒューマンと関わりはなくなるが、まぁリアルに死んでるしね。

 それでも彼が世界のために動くのは大きすぎる意味がある。


 アイツの口からオスクリダドに加入するとは聞いてないけど、アイツなら俺が言わんとしてることは分かる。

 上手いこと作戦が成功して良かったぜ。


 何より間に合って良かったわ。

 ワンチャン失っててもおかしくなかったからね。

 俺は正直ホッとしている。


 さて、今少しプラムとの時間を楽しませて後日迎えに来ますかね。

 ケントも置いていくか。


「マイム、一旦帰ろう」


「わかった」


 まだぷんぷん丸してんな。可愛い奴め。

 後で機嫌直しに、わたあめをあげよう。昔からわたあめだけに目がないスライムの対処法だ。


 こうして伝説の軍師エコーはヒューマン属として95年の人生に幕を下ろし、強制的に超越者として生まれ変わったのであった。


 何よりプラムとの光景を見たらこれで良かったのだ。と、誰もが思えるだろう。


かなり遅くなりました。すみません。

しかしながら可能だったら今月は2回投稿できるように頑張ってみます!約束は出来ないですが……

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p>無価値と言われた人間が異世界では絶対必須でした
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