【80】マイムから見える景色(挿話)
僕はマイムって名前で種族はスライムなんだ。僕には親友のザハルが居るんだけど、名前も彼から付けてもらったんだ。
最初の出会いはザハルがまだ子供のときに、ダンジョンで知り合い一緒に遊び出したのがきっかけ。
今ではあれから80年近く経過するけど、未だに大切な友人なんだよ。
ちょっと危なっかしく、適当なんだけど……傷付きやすく、正義感に溢れるザハルの事を紹介するね。
今のザハルは妻子や早くに両親を失い精神的に苦しんでる。所謂PTSD(簡単に言うとトラウマ)を患ってる。普段はそんな素振りも見せないし、人前ではいつものザハル。
でも僕はそんなザハルを見ていると胸が苦しくなるんだ。
ザハルは優しいから……誰かに心配されないようにしてる。
皆はザハルが最強で羨ましいとか尊敬するというけどね、そこに至るまでに彼はとてつもなく多くのものを失ってるんだ。
僕は全てを見てきた。
ザハルは今疲れ果ててる。
だから僕はザハルの力になりたい。
そしてそれは僕にしか出来ないと思ってるから。
ここからは少し昔話にもなるかな?
昔まだね、レーニアと結婚してるときにロストと初めて対戦することがあったんだよね。
帰ってきたザハルはキアのお陰で一命は取り留めてたけど、物凄い数の骨折。
なぜあれで生きてるのか不思議でならないよ。頑丈というか、もうそんなの通り越して変態だと思うなぁ。
2回目の戦いなんてもっと酷い怪我で帰宅。あの時は助けられるか本当に危うかった。
なぜいつもいつも1人で突っ走るのか。
3回目の戦いでようやく勝利し僕もホッとしたのもつかの間、今度はヒューマン国と魔王国の全面戦争。
つまり勇者であるレーニアの命の灯火が消えようとしていた戦争だ。
僕は魔物だけど、レーニアには死んで欲しくなかった。本当に優しくて国民を誰よりも大切にし、誰よりもザハルを愛してた。
ザハルが両親を殺されたときに、ザハルの心の氷河期をとかし包み込んだのもレーニアだ。
2人とも相思相愛で子供にも恵まれて本当に幸せな様子だった。
僕はそんな2人の様子を見ることが、何よりも幸せだったんだよね。
ザハルにもレーニアにも聞いたことあるんだ。
「本当に毎日幸せそうで羨ましい。でもなんでそんなに毎日楽しめるの?」
この答えは凄く深く大きな意味があったんだ。
答えは2人とも全く同じだった。
「先がないのが分かってる。だからレーニアを(ザハルを)悔いのないほど愛したい」
僕にはこの答えは出ないよ。
覚悟の上に成り立つ愛。
切なすぎるよね……
結局レーニアはこの大戦で命を落とす。
ザハルの腕の中で手足も失い、満身創痍で力尽きた。
ザハルの悲しみは想像を絶する。
ザハルが子供達の成長を見届け、ジェンノ王国を去るまで気丈に振る舞ってたけど、僕には抜け殻にしか見えなかった。
あえて触れなかった。
触れられなかった。それは僕に彼を癒やせるだけの知識がなかったから。
でも今は僕もいっぱい頑張って、ザハルの力になれると思ってる。
ザハルが悲しい表情をするのは似合わないよ……
彼はタバコを咥えながら甘い物を爆食いし、満面の笑みを浮かべてる姿が1番格好いいんだ。
小さい頃のザハルがそうだったように。
でもヒューマンの法律ではタバコは成人になってかららしいね。
そこはまぁ……ザハルだからいいの。
キア曰くそれが栄養源だから黙認してたみたい。
それにシガレット一族だよ。
皆タバコ吸いまくり。あの優等生のエコーも5歳から吸ってたよ。
ザハルは0歳からみたいけど……
ほ、本題に戻ろっか!
今ザハルはオスクリダドの一員になって、世界そのものの歪みと戦っている。
僕もサポート担当で仲間になったけど、まさかオスクリダドの全員が敗北してしまうことを誰が予想できただろうか。
ザハルはまた無茶をして暴走モードを覚醒させ生死を彷徨うことになったとか。
本当に無茶ばかりしないで欲しいよ。
生死を彷徨うことになった為、時間のズレが生じる古代世界に留まりすぎて、今度は子供達の死を迎える。
辛うじてフィリックス王の崩御には立ち会えた。
あまりにも不憫すぎるよね。
だってレーニアの遺言を守って世界を変える為に、努力して強くなった。誰かを守るために強くなったのにザハルは失うことが多い。それにいっぱい負けも経験してる。
僕が見ても凄く頼りになる男だと想うけど、僕はザハルの心と体の方が心配。
今日もケントを鍛えると言って古代世界に潜っていった。
また怪我して帰ってきたら、僕がしっかり治療するだけ。
今度久しぶりに内緒で懐に忍び込んで、探索に同行しよう。
お互いが心を許せる。
親愛なる友、ザハルへ。
無茶厳禁だよ!!
遅くなりました。
まだまだ時間に余裕がなく悪戦苦闘の日々を送っております。
何とか月2回の更新を続けれるように精進します。




