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Q.エピローグ

「アンティアは幸せだと言って、子どもを産んで、この世を去っていったわけだが……俺はどうも、納得いかねぇんだよな」

 俺は夜の王城に呼び出され、見たこともない部屋へ通されて、初めて会う俺の父親の異母兄の母親の姉と俺の祖父の子(つまり俺の叔母!)と酒を飲み交わしていた。叔母は、真直ぐに切り揃えた長い黒髪を揺らして、真っ赤な唇で三日月を描いて、白い肌で月の光を反射しながら、全てを吸い込む灰色の目で俺を見ていた。

「そう? とても簡単な事よ。好いた男と自分とが関わった証をのこしたい、そういう気持ちだったのよ」

「なぜそう言いきれるんだ?」

「私にだって愛する人と過ごした幸せな時間があったわ。たとえこの身では外に出られない哀れな女であっても、王城の奥で枯れているような女ではないのよ」

 酒の枯れたガラスの杯を、テーブルに置くと、叔母は、

「エラルド・アンドレオッティ、あなたのおかげで私は自由を知って、人を愛することができた。過去、現在、未来……全ての始まりはあなた」

「叔母上……どういうことだ」

 くすくすと笑いながら、若々しい叔母が部屋の天井を指差した。

「私は時を渡った女、本物の時の魔女」

 わずかに風の動く薄暗い部屋の中、古書物に囲まれたソファに身を沈めて微笑む彼女の頭上、部屋の天井一杯につり下げられたおびただしい数の真鍮の鍋が、沈みゆく美しい月の光を反射していた。

読了、ありがとうございます。

勢いだけで書き始めた初えっちぃ作品でしたが、なんとか終えることができました。

心底ほっとしております。ようやくまともに眠れそう。

では、またの機会に、お目にかかれることを楽しみにしております。

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