表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポーション屋の事情  作者: Rapu
番外編:エリオット様とダンジョン攻略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/138

番外編:10 60階へ

2体同時のデーモンは、スタンピードの時に経験しているけど緊張するな……。


「デーモン、お前の相手は私だ!」


エリオット様の剣を受けてデーモンの顔が歪んだ。


『……! ……』


デーモンが口を大きく開けたと同時に、剣を持っていない左手を前に突き出すと、手から黒い霧が広がっていく。えっ、魔法?


「あれは……「『ダークミスト』!」」「不味いね……範囲『毒』だよ」「あれが『ダークミスト』……」


モリス様達の声が聞こえた。


『ダークミスト』……初めて見る魔法だ。『毒』ならネックレスが治してくれるけど、あの黒い霧がこっちまで来たら精鋭部隊の皆さんも『毒』を受けてしまう。こっちに来ないようにするには……風!


「『ブラスト』!」


素早くデーモンに魔法を撃った。


『風魔法』では、デーモンにダメージを与えられないけど、風の勢いで黒い霧を向こう側に追いやる事は出来る。魔法だから、少し時間が経てば黒い霧は消えるはず……。


「なるほど! 黒い霧を追いやるのか、『ブラスト』!」

「アリスは賢いね『ブラスト』!」


続けてオースティン様とルーカス様が、デーモンに向けて『風魔法』を撃ってくれた。これだけ風を送れば、黒い霧はこっちに来ないと思う。エリオット様とテオに『ヒール』を掛けておこう。


「シリル、エリオット副隊長は『毒』を受けた合図を出さないですね。テオ殿も……あの近距離で『毒』を受けなかった? 有り得ませんね」


「うん……ないね。モリス……エリオット副隊長達はデーモンだけじゃなく、さっきのマンティコアと戦った時も弱体を受けていないんじゃないかな? まさか、皆が弱体異常の耐性スキルを持っている……それはないよね」


「先輩方……」


「もしかして、昨日リーダー達が話していたのは『回復魔法』付き魔道具のテストか……だとすると、性能の良い魔道具だと思わないか? シリル」


オースティン様、正解です。聞こえて来る会話が気になるけど、エリオット様に集中しないと。


「……えっ? マンティコアの『麻痺』まで治せるの!? 『麻痺』が治せるのは『回復魔法C』だよ……魔道具の性能が僕と同じ? うわぁ、『回復魔法C』のままでは不味いじゃないか! 『B』に上げないと!」


シリル様がメンバーから外されてしまうって騒いでいる。


「フフ、シリル、頑張れ」


「オースティン、余りシリルを揶揄(からか)わないように。しかし、どこの魔道具店の試作品でしょうね……気になります」


うっ、モリス様、気にしないで下さい。


「先輩方、デーモンとの戦闘中ですよ……」


「ルーカス、そうでした。デーモンが2体なのに余裕で戦っているから、つい……」

「そうだったな……」

「ルーカス……僕が大ピンチなんだよ!」


ルーカス様がモリス様達を注意している……。


チラッとアルバート様側のデーモンを見ると、白い顔が黒く(すす)けている……タロウが魔法を止めているみたいで、あっちも大丈夫そう。


間もなく、2体のデーモンは倒され、その後も、大部屋に入ると団体のマンティコアや、オークキング御一行が複数体現れたり、デーモンが小部屋にいたりで、私達エリオット様のパーティーも忙しく立ち回った。


60階フロアに下りて、右壁沿いを歩くと直ぐに、一際(ひときわ)大きなワープ・クリスタルが見えた……。


精鋭部隊の皆さんが感極まって声をあげる。


「「「おおおー!」」」「「「60階のワープ・クリスタルだ!」」」「記念すべき瞬間だ!」「素晴らしい!」「フフ、やったね!」「……!」


テオとタロウも笑顔で「「やったー!」」と叫んでいる。私も感情が高ぶって来て、飛び跳ねたくなるのを我慢する……やっと着いた!


エリオット様がワープ・クリスタルの近くまで行き、ワープ・クリスタルを見上げてからゆっくり振り返った。直ぐ側にアルバート様が控える。


「「「……」」」


一瞬で静かになって、皆さんがエリオット様をジッと見ると、エリオット様が1人1人の顔を見てから、ゆっくり口を開いた。


「ここまで、皆で無事に来られた事を嬉しく思う。今から、60階のワープ・クリスタルを開通させてダンジョン前に集合!」


「「「ハッ!」」」「「「「はい!」」」」


精鋭部隊の皆さんから、先に1階へ行くように言われて、私達3人がワープ・クリスタルに手を振れた。


――クリスタルから流れて来る魔力を感じながら『1階にワープ』――


見慣れた1階のワープ部屋に移動し、ダンジョンの外に出ると、すっかり日が暮れていた。


「テオ殿、今回は助かった。アリスもタロウもありがとう。私達は確認事項があるので、少し話をしてから騎士団に戻る。テオ殿、アルバートから指名依頼達成の書類を受け取ってくれ」


「おう! エリオット様、俺達も良い経験になった。先に失礼する」


アルバート様から書類を受け取って、皆さんとはダンジョン前で別れた。


私達は辻馬車で街まで戻ったんだけど、これは達成感……それともと開放感かな? とても軽い気持ちで冒険者ギルドに向かう。依頼達成の報告に行かないとね。


えっ、テオ……今回の指名依頼は、受けただけでパーティーで白金貨3枚もらえるの? 依頼を達成したら報奨金として白金貨10枚!?


「ええー! 有りえない……1年以上食べていけるよ! 破格の依頼料だよね」


知っていたら豪華な食事を用意したのに……上質肉の干し肉もケチらずに配ったのにな。


「そうか、破格の依頼料だからドロップ品を回収したのか……」


タロウも納得したみたい。でも……テオ、そう言う事は最初に教えてよね~。


久しぶりに店に帰って来た。


「やっと帰って来たな! みんなお疲れ!」

「テオ、「お疲れ!」」


うん。やっぱり家が良いな~。


◇◇◇

その後テオと相談して、誰が作ったかは秘密にしてもらう事を条件にネックレスを作ることにした。


アクセサリーの店で、同じデザインのネックレスを沢山買って、2パーティー分で10個作ったんだけど、テオはネックレス1個を白金貨1枚で売ったって言う。元のネックレスは1つ銀貨2~3枚なのに……。


「テオ、高過ぎるんじゃないかな?」


「アリス、高額で売ったら、もう頼んで来ないだろう」


なるほどね~って、思っていたのに……後日、店に来たエリオット様から、月に1~2個でいいから今後も作って欲しいって言われた。


これって……店を辞めて、ダンジョンに入らなくても、ネックレスとマジックポーションだけで食べていけるよね。


◇◇◇

しばらくして、エリオット様から、騎士様が治療を頼みに教会へ行くことが減って、教会から騎士団に『魔道具の作者』について問い合わせがあったと教えてもらった。


『光魔法』の剣と魔道具のネックレスは機密扱いなのに、どこからか話が漏れたそうで、騎士団は『他国に情報が洩れると困る。軍事機密なので魔道具については何も教えられない』って、答えたそうです……良かった。


それでも教会の司祭が騎士団まで乗り込んできて「この国から教会がなくなってもいいのかー!」とか「聖女を他国に連れて行くぞー!」とか脅したそうです。


その時、たまたま居合わせたリアム様が、


「なんと! 教会がこの国から出て行くのとは嬉しいですね。お祝いをしなければ……ああ、聖女は我が<リッヒ王国>の者ですから、勝手に国外に連れ出したら誘拐ですよ。教会を犯罪組織として手配する事になりますからね。フフ」


と、微笑みながら司祭に言ったとか……更に、リアム様の言葉に真っ赤な顔で(わめ)き出した司祭に、


「司祭、聖女は宮廷魔術団で手厚く保護しますので……フフ、いつでもこの国から出て行って貰って構いませんよ。どうぞ、お引き取り下さい」


と、満面の笑みで司祭を追い返したとか……もしかして、リアム様はスタンピードの中央広場での件を根に持っているんじゃ……。


ネックレスを付けたからと言って、教会の売り上げには関係ないと思うんだけど……今までも、宮廷魔術団の方が騎士様の治療をしていたからね。あっ、一般に売り出されたら困るって事かな?


聖女も、ダンジョンで冒険者活動すれば稼げるから、教会に(こも)ってないで冒険者をすれば良いのに……稼げますよ。


「アリス、タロウ、ちょっと出かけるぞ」


「うん、テオ、いってらっしゃ……い?」


あれ? テオが見たことのないオシャレな服を着ている……。


「テオ、どこに行くんだ? まさか……」

「ええっー! テオ、デートなの? 頑張って~!」


「お前ら、うるさいぞ! 行ってくる……」


うわ~! テオに彼女が出来たの!? いつの間に……ふふ、嬉しいな~。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ