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ポーション屋の事情  作者: Rapu
番外編:エリオット様とダンジョン攻略

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136/138

番外編:9 59階フロア


休憩が終わって59階に下りると、このフロアも右壁沿いに進んで行く。


このフロアは、他の階とは違って通路が迷路になっているんじゃなくて、部屋と部屋を通路で(つな)いでいる感じの造りになっている。


部屋の大きさは、小さい部屋で学園の教室が2~3教室入って、大きな部屋だと学園の競技場が4つ以上入るんじゃないかな……広すぎる。


通路の広さや暗さは上の階と同じだけど、部屋の中に入ると少し明るい部屋もある。


部屋の中は、壁や床が剥き出しの岩だったり、積み上げられた岩壁だったり色々で、その部屋から他の部屋に続く通路が1本だけじゃなくて、3~4本あったりするの。


その場合も、右壁沿いにある1つめの通路を選んで進むけど、どの部屋にも必ず魔物がいて、勿論、通路にもいる。


大きな部屋に入ると前を歩いていた精鋭部隊Aの騎士様が声を上げた。


「マンティコア、6体確認!」

「「「了解!」」」


えっ、6体も……さっきまでの部屋では2~3体しかいなかったのに。


『ガアアッー!』『ガオオォォー!』


手前にいる2体のマンティコアがこっちに気が付いた。マンティコアの唸り声に、中央と奥にいるマンティコア達もこっちに向かって来る!


「奥の3体を引き受ける。アルバート、ロペス!」

「「ハッ!」」


精鋭部隊A・Bの騎士様達が、襲い掛かって来た2体のマンティコアにそれぞれ『挑発』を入れて戦い始めた。


『ガオオォォー!』


雄叫びを上げて襲い掛かって来た3体目のマンティコアに、セドリック様が『スリープ』を掛けて寝かせると、宮廷魔術団のオースティン様も前に出て、そのマンティコアに『スリープ』を上掛けした。


エリオット様達も前に出て、奥から来た残り3体のマンティコア達に『挑発』を入れ、それぞれが1体ずつ対峙すると、テオとタロウはロペス様が向かい合っているマンティコアに突っ込む。


「『雷』行けー!」


タロウが、マンティコアが口を開いた瞬間に魔法ぶつけると、マンティコアの顔が黒焦げになって一瞬動きが止まる――ロペス様とテオはその"一瞬"を見逃さず、マンティコアを袈裟切りにした。


『ガアアッー……』


ロペス様達がマンティコアを倒すと、ロペス様はエリオット様が対峙しているマンティコアへ走って行き、テオとタロウはアルバート様が対峙しているマンティコアへ突っ込んで行く。


「『雷』行けー!」


挨拶代わりにタロウが魔法を飛ばすと、アルバート様がニヤリとするのが見えた。


みんな頑張っているな……私も『ヒール』を飛ばそう。


通路にいる魔物の数は上の階と同じくらいだけど、進むにつれて……部屋の中にいる魔物の数が多くなってきた。


さっき入った大部屋には、4体のオークキングとジェネラルオークを合わせて12体もいた。


前衛が、精鋭部隊の騎士様6人+エリオット様達3人+テオとタロウで11人いるから、数体寝かして問題なく倒したんだけど……タロウが攻撃したオークキングがスキル書をドロップしたの。


それを見たタロウが、目を逸らしてちょっと落ち込んでいたから「次は3人で来ようね」って声を掛けたら、


「うん! アリス、来週来よう!」


って、言われて約束してしまった。


通路を進んで行くと、部屋に入った先頭の精鋭部隊Aの皆さんの声が聞こえてきた。


「ん? この部屋は……」

「ライオット様、魔物がいませんね……あっ、あっちにオークの武器が落ちていますよ」


部屋に入ると、部屋の中央や左手の床に大きな片手剣が見える……ジェネラルオークがドロップするゴミ武器だ。


「「「……」」」

「先ほど通過した部屋に戻ってきたのか……」「そのようです……」


行き止まりになっている部屋もあるんだけど、こうやって元の部屋に戻って来たりするの。


又、部屋の右壁沿いに進んで次の通路に入って行くんだけど、地図を書いている人は大変だろうな……どの部屋に戻って来たか分からないもんね。


先頭を歩いている精鋭部隊Aが部屋に入ると、ライオット様の声が聞こえた。


「副隊長! 部屋の中央、デーモン2体確認!」


えっ、デーモンが2体もいるの!? この59階では初めてのデーモン……。


「……アルバートとロペスで1体任せる。テオ殿は私と、タロウはアルバートについて魔法を止めてくれ」


「「ハッ!」」「分かった!」「はい!」


エリオット様達が部屋に入ると、精鋭部隊の皆さんが後ろに下がった。広いけど薄暗い部屋……。


「宮廷魔術団は『ダークアロー』に備えてくれ」


「エリオット副隊長「「「はい!」」」」


部屋の真ん中辺りに、2体のデーモンが(たたず)んでいる……同じ顔を持つイケメンの双子。まあ、魔物だから同じ顔をしているのは当たり前か。


エリオット様達がデーモンに突っ込み、私も少し距離を開けて走った。


宮廷魔術団の4人も私に追いついて、横に並んで走る。


あっ、ほぼ同時に2体のデーモンがこっちを見てニヤリと笑ったように見えた。真っ赤な目を細めて、口が弧を描いている……物語に出てくる魔王みたい。


『『……』』


「『風』の壁ー!」


黒い矢が見えた瞬間タロウの声が響き、横からも詠唱が聞こえた。


「『ウオーターウォール』!」「「『ファイアウォール』!」」「『ウインドウォール』!」


シュシュシュシュッ! ヒューー、シュトトトッ!!


いくつも重ねられた魔法の壁が、黒い矢を弾き飛ばした。


誰にも矢は当たっていないけど、怖いからエリオット様を中心に『エリアヒール』!


「アリスは『エリアヒール』が使えるのですか……」「惜しげもなく『回復魔法B』の範囲魔法……」「僕はまだ使えないよ……」「先輩、MP100以上でしたよね……」「ああ、「(勿体ない)」」


何か隣から聞こえたけどスルーして、私は2体のデーモンとエリオット様達の動きをじっと見る。


エリオット様とアルバート様が、デーモン1体ずつに『挑発』を入れ、2体のデーモンを引き離すように左右に離れた。


左側のアルバート様達には、タロウがいるからデーモンの魔法を止めてくれるはず。私は右側のデーモンと対峙したエリオット様とテオに集中しよう。




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