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ポーション屋の事情  作者: Rapu
番外編:エリオット様とダンジョン攻略

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番外編:7 階段で野営

57階のフロアは、56階に比べて通路が迷路みたいに複雑で、何度も行き止まりになっては引き返し……やっと、58階への階段が見つかった。


57階で現れたデーモンは1体だけだったけど、他の魔物の数が多かったのもあって、かなり時間が掛かった。


「アルバート、ライオット、セドリック、早いがここで野営にする」


「「「ハッ!」」」


エリオット様の指示で、今日はこの階段で野営をする事になった。


テオが、「このまま先に進んでも、下への階段を見つけるのにどれだけ時間が掛かるか分からないからな」って言う。


宮廷魔術団の皆さんも、マジックポーションを何本か飲んでいたから、MPもないだろうしね。


私なんて『ヒール』を飛ばしただけなので、MPは半部以上残っている。たぶん、タロウもだと思う。


50階からの階段は10階や20階と比べると広い。大人3人が余裕で歩けるほどの幅はあるけど、階段でテントは張れないから雑魚寝(ざこね)になる。


精鋭部隊の皆さんは腰を下ろしていて、もう干し肉を齧っている騎士様もいる。


騎士様達は、かなりの数の魔物を倒して動き回ったから疲れたんじゃないかな? お腹も空きましたよね。ちょっと早いけど、夕食を作ろうかな。


「テオ、シチューを作るね」

「ああ、アリス、頼む」


階段で調理器具を出すと、騎士様達の視線をチラチラと感じる……ちゃんと食事をしたいから皆さんの分も作りますよ。シチュー作りは慣れているし、私達だけでなんて食べられないからね。


大鍋を出して調理器の火をつける。野菜を魔法で切りながら鍋に入れて、肉は……昨日はコカトリス肉のトマトシチューだったから、今日は野菜とオーク肉のシチューにしよう。


手早く野菜と肉を『火魔法』で炒めて水を入れ、隠し味に上質肉の干し肉を細かく切って入れたら、一気に『火魔法』で沸騰させて出来上がり。


長い時間煮込まなくても、スキル『料理A』のお陰で美味しいの。後はシチューが冷めないように調理器の火にかけておく。食べる直前に『火魔法』を掛けるけどね。


それと、コカトリスの肉を一口大に切ってハーブ塩とニンニクで焼く。お好みでバッグに常備してあるトマトソースを掛けてもらおうかな。


テーブルは出せないから椅子を2つ出して、その上に焼いたコカトリス肉の大皿を置いて、トマトソースは小皿に入れて軽く温める。ソース皿にスプーンも出さないとね。よし、出来た!


ふと顔を上げると、えっ……精鋭部隊の皆さんが、もうシチューの大鍋の前に並んでいる。ちょっと待ってくださいね。先にエリオット様達に持って行きますから。


「アリス、俺がエリオット様達の分を運ぶよ」

「タロウ、ありがとう。お願いね」


エリオット様達のシチューとコカトリスの肉はタロウに任せる。あっ、タロウ、テオの分もお願いね。


じゃあ、私は皆さんにシチューを配ろう。


「そっちのコカトリスの肉は1人3個ずつです。食べる方は自分で取ってくださいね。トマトソースはお好みでどうぞ」


「ああ、「分かった」」


先頭には、精鋭部隊リーダーの2人が並んで同時にお皿を出してくる。ん~、困るんですけど……。


更にお皿を付き出して来た精鋭部隊Aのリーダー、ライオット・ウィリアムズ様からシチューを入れる。すみません、精鋭部隊Bのリーダーのセドリック・フォレスター様には、シチューの肉を1個多めに入れますね。


シチューを受け取った後、皆さんは別皿を出してお肉を入れている。


中には真剣な目をしてお肉を見つめる騎士様が……少しでも大きい肉を選んでいるのかな? 騎士様に余ったらおかわりして良いですよと言うと、嬉しそうに「ありがとう!」って言ってくれた。ふふ。


「何だ、このシチューは……アリス、旨いぞ!」

「ああ、本当に……あっさりしているのにコクがあって。美味しいよ、アリス」


精鋭部隊AとBのリーダーが、美味しいと声を掛けてくれた。


「えっと……ウィリアムズ様、フォレスター様、褒めて頂いてありがとうございます」


「ライオットでいいぞ」

「アリス、私もセドリックでよろしく」


「はい……ライオット様、セドリック様、シチューはおかわりがありますよ」


「おっ、それは有難いな!」

「フフ、私もいただくよ」


他の皆さんからも美味しいと言われて、嬉しくてニコニコしてしまう。ふふ、明日のお昼も上質肉の干し肉を出そうかな~。


食事が終わって、テオとタロウに挟まれて座る。近くにエリオット様達がいるので、ネックレスの反応を聞いた。


「ああ、タロウが弱体を受けた後、私も痛みを感じたが、ネックレスが温かくなって直ぐに痛みが消えた。このネックレスが反応して治してくれたようだ」


エリオット様が首元のネックレスを軽く指で持ち上げて教えてくれた。


「良かった。ネックレスの効果があったんですね」


アルバート様が何か思い出したように口を開く。


「温かく……副隊長、私のネックレスも温かくなりましたよ。私もデーモンから弱体を受けたんですね……特に痛みは感じなかったのですが、どんな弱体を受けたのでしょう」


そっか、ネックレスをしていると直ぐに弱体異常を治すから、デーモンがどんな弱体攻撃をするのか分からないのか。分かっているのは『呪い』だけで……でも、治れば良いよね?


「私のネックレスは温かくなりませんでしたよ。デーモンから攻撃を受けていないからですかね」


エリオット様とアルバート様のネックレスがちゃんと発動したなら、ロペス様のネックレスも大丈夫だと思います。


「アリス、このネックレスを買い取りたいのだが、良いかな?」


「エリオット様、そのネックレスはエリオット様達の為に作ったのでお金はいりません。ただ……ネックレスの効果が、どれだけ続くか分からないので気をつけてくださいね」


剣に付けた『聖魔法』と同じで、いつ効果が無くなるか分からないと伝えておく。時間なのか『聖魔法』を発動した回数なのか……。


「アリス、例え1回でも、即座に弱体異常を治せるのは十分な効果だよ。魔物との戦闘中、隙を見せずに攻撃が続けられるからね。アリス、本当にこれを貰ってもいいのかい?」


「はい。エリオット様、いつもお世話になっているのでもらってください」


元のネックレスはバッグに入っていたもので、銀貨数枚で買えるお手頃な値段ですからね。


「そうか……。アリス、ありがとう」


エリオット様と私のやり取りを聞いていたアルバートが、エリオット様に話し掛けた。


「副隊長……」

「何だ、アルバート……」


アルバート様が私達に聞こえないようにエリオット様の耳元で何か話していると、エリオット様が考える様に目を閉じた……大事なお話ですか? 目の前でされると気になります。


「ああ、アルバート、そうだな……」


エリオット様が小さく呟きながら目を開けると、真剣な顔をしてテオの顔をじっと見る。


「テオ殿、実は……近々、試作品の『光魔法』の付加がついた剣が納品される。そこで頼みがあるんだが……アリスに、このネックレスをいくつか作ってもらって、魔道具として第一騎士団で買い取らせて貰う事は出来ないだろうか?」


「試作品の『光魔法』の剣ですか……エリオット様、それは俺に話しても良い話ですか?」


「ああ、剣の話はここにいる3人と、今、話をしたテオ殿しか知らない」


「えっ!」「「!」」


ここにタロウと私もいますよ……。



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