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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第4章

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タロウのつぶやき③

 ◆◆◆◆◆


 ある日、学園から帰って来たアリスが慌てている。何でも、ダンジョンの18階に20階から出て来るハイオークがいたとか……?


 テオが「不味いな、スタンピードが起きる兆候だ」って言う。


 スタンピードが起きると、ダンジョンから興奮した魔物が大量に溢れ出て、近くの村や街を襲うんだって……そんなことが起きるのか?


 テオは、騎士団や宮廷魔術団がダンジョンに入って魔物を間引いても、スタンピードを止めることは出来ないって言う。だから俺達は、スタンピードに備える為にポーションを沢山作ることにした。


 夕方、ロペス様が来て、店にある自家製ポーションとダンジョン産ポーションを全部買ったのに、もっと自家製ポーションが欲しい。作っただけ買い取りたいって言う……本当にスタンピードが来るんだ。


 ◆◆◆


 ブーー! ブーーーー!!


 ん……サイレン……?


「起きろー! アリス! タロウ! スタンピードが始まったぞ!」


 テオ……、始まった……?


 何が……スタンピードが!! 飛び起きると、外はまだ暗い。


 慌てて台所に下りると、アリスは制服を着ていて、今から学園に行くって言う。スタンピードが始まったら学園に集合らしい……そう言えば、学園の生徒は街の見回りをするって言っていたな。


「アリス、何かあったら呼んで……」


 思わず声が出た。


「うん。タロウも気をつけてね」


 俺は未成年だからスタンピードの討伐に参加は出来ないらしい。それでも、雑用とか手伝えることがあるから、テオと一緒にギルドで待機するんだって。


 テオと詰所に運ばれた荷物の積み下ろしを手伝っていたら、街の外では魔物との戦闘が始まっていて、壁の向こうから魔物の雄叫びが聞こえてくる。俺でも、ハイオークやコカトリスなら倒せるのに参加出来ないのが悔しい……。


 テオに俺の考えていることが分かったのか、「街の中を守ることも大事だぞ」と頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。テオも、俺がいなかったら参加できるのにね。


 ◆◆

 スタンピード2日目。ロペス様が俺達を探しに来て、エリオット様から自家製ポーション作りの指名依頼が出たって言う。魔物の数が多くて、ポーションの在庫が足りなくなりそうだとか。


 自家製ポーションを作るならアリスを探さないと……アリスが作るポーションの回復量は凄いからね。


「テオ殿、これが依頼書です。既に、学園にも連絡していますが、今、アリスはパーティーで見回りに出ているそうです」


「ロペス殿、分かった。アリスを迎えに行く」


 その後、アリスと合流して、スタンピード前に集めた薬草を全部ポーションにした。ポーションを作ったのはアリスで、俺は薬草を洗って束にしただけだけど……。


◆◆

 ポーションの納品が終わってギルドに向かおうとしたら、中央広場にある救護施設のテント近くで人が溢れていた。


 どうやら治癒士と聖女のMP切れで治療が追い付かないらしい。えっ? 教会でお金を払ったら治すだって!?


「何よ、それー!? 今はスタンピードで大変なのに、信じられない!」

「何だよ、それ! 教会は金儲けのことしか考えてないのか!?」


 アリスと俺の声が大きくなった。俺の『回復魔法』はDまで上がったけど、俺が『回復魔法A』か『聖魔法』を使えたら……『石化』も治せるのに。


 アリスが「街を守ろうとした人達を……治したい!」って言うから俺も手伝う! 俺が治せない弱体異常は、アリスが治せるから大丈夫なんだ。


 ◆

 アリスと弱体を受けた人を治していると、白いローブを着た小太りの男がやって来た。怒ってわめいているけど意味が分からない……こいつ何を言っているんだ!?


「ふざけるな! 騎士様や宮廷魔術団、冒険者のみんながこの街を守っているんだよ! 魔物が入って来たら、街の人達やあなた達だって怪我をするかも知れないのに……死んじゃうかも知れないんだよ!?」


 怒ったアリスに続いて俺も言ってやる!


「アリスの言う通りだ! 命を懸けて、この街を守ろうとしてくれている人達から金を取ろうなんて、それでも神に仕える聖女か! 金のことしか考えてない教会の神なんて、俺は絶対に信じないからな!」


 何故か、レオおじいちゃんと、機嫌の良いリアム様が現れて、治療の続きが出来たのは良かったけど、白いローブのヤツに詰め寄るリアム様の言葉を聞いたら……この人を怒らせたらダメだと思った。


「そうじゃ、アリス。明日、わしが魔物を一掃するのを見学するか? タロウも連れて行ってやろう。アリスの護衛は、リアムとテオ殿に任せるからな」


 レオおじいちゃんの一言で、スタンピードの見学が出来ることになった。


 見学だと言われたけど、「俺もスタンピードの魔物を狩りたいです!」って言ってしまったよ。


 ◆◆

 翌朝、北門の広場に行くと、白い鎧を身に付けた騎士団と真っ黒いローブ姿の魔術団が出撃の準備をしていた。カッコイイな!


 えっ、レオおじいちゃんのパーティーは、前衛にエリオット様とアルバート様にロペス様……。後衛にレオおじいちゃんとリアム様……!


 もしかして、この国で最強のパーティーメンバーじゃないのか!? アリスを見ると、目をキラキラさせている。やっぱり、そうなのか!


 北門が開くと、その向こうは……前に父さんが話してくれた(いくさ)みたいだった。あちこちでみんなが魔物と戦っていて、倒しても、倒しても魔物が減らない。


 その中を、エリオット様達は最前線に向かって進み、俺達はその後ろから付いて行く。


 前方で見たことない白い蛇の魔物がコカトリスを頭から丸呑みしていた……うわっ。


「ダンジョンから出て来たばかりなのに……これは不味いですね」


 リアム様がそう言って、他の宮廷魔術師を呼んで指示していると、レオおじいちゃんがさっさと倒そうと魔法を撃った。


 アルバート様とロペス様が慌てて剣を抜いて、白い蛇に突っ込んだ。エリオット様も攻撃に加わったけど、エリオット様が強い! アルバート様やロペス様も強いけど、エリオット様が1番だ! 無駄のない動きで、目が釘付けになる。


 その後、俺も魔物の討伐に加わった。エリオット様達の邪魔をしない様によく周りの動きを見る。


 最後に現れたデーモンという魔物に、アリスが『聖魔法』を付加してくれたキラキラの剣でダメージを与えることが出来た。あいつに、俺の『雷魔法』は通用したけど、『聖魔法』の付加がなければ……2体同時に現れたデーモンを倒せなかったと思う。


 レオおじいちゃんの魔法を初めて見た。いつも話には聞いていたけど、魔法の威力が凄くて、リアム様も強い魔法を平然と撃っていたよ。俺も撃てるようになるかな?


 デーモンとの闘いが終わって、2人が魔法を撃ちながら最前線を歩く姿は、凄くカッコよくて、ずっと見ていたいと思ったよ!



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