埋め屋さん
始末をするなら埋め屋に限る。
【マニブス・パルビスシリーズとは】
どのお話からでも読める一話完結掌編です。
令和日本に似た箱庭世界、幻想怪異発生特別区──通称「特区」。そこに出現するモンスターや怪異、怪人たちと、そこに住む住人たちとの奇妙な交流、共存──。
箱庭で起こる不思議なできごと、物騒で理不尽な事件、振り回される人間みたいなものの生活を書いています。
ファンタジーに近い少し不思議な表現があります。
R18に至らない成人向け表現、ゴア表現、欠損描写、グロテスクな内容を時折含みます。(成人向けではない商業小説程度の内容です)
創作家さんに100のお題よりお借りしています。
038.埋
人を殺した。衝動的に、背を向けた男の頭を灰皿で殴った。倒れ込んだ後も呻いていたが、しばらくすると動かなくなった。
始末をするなら埋め屋に限る。生きているもの以外ならば何でも埋めてくれる。何を埋めたのか、どういう理由なのかは聞かれない。
「生きているものは埋められないですからね」
雨の中、軽トラックを走らせてきた埋め屋はビニールシートに巻かれた死体を横目に念を押す。依頼書をかいて、代金を払う。
「なぜ、生き物はだめなんです?」
好奇心から聞くと、埋め屋が濡れたフードの下で、戻るかもしれないから、と呟いた。
***
『戻るかもしれないから』
その一言が妙に気になって、背筋が続々とする。人を殺してしまったという実感が後から湧き、戻ってくるのではないかという不安に駆られた。
実際、幽霊や呪い返し、復活の薬などは簡単に手に入る。
本当に埋められているか、確かめに報告された場所を見に行った。
そこにはひと一人分が入る穴があるだけで死体は埋められていなかった。
とんぼ返りをして、埋め屋に抗議する。
「高いかね払ってるんだぞ!」
怒鳴り声に物怖じせず、その声を無視するかのように埋め屋が背後をじっと見つめていた。
後ろを振り向く前に、頭に衝撃が走った。
「あーあ、生き物は駄目って言ったのに」
***
「埋めてもらってもいいかね?」
人を殺して血まみれになった男が聞いた。
死んでいることを確認し、埋め屋が頷く。
「半額で良いですよ。既に穴が開いているので」
読んでいただきありがとうございます☺
読者の皆様に少し不思議な出来事が降り注ぎますように……!
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