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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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意味もなく

フィクションでは、悪役はただただ理不尽で憎らしいだけで合理的な考え方は一切しないという形で描かれることが多い。


『キャラクターがシナリオの都合だけで動かされてる!』


『ただの舞台装置になってる!』


などと言いつつ、その一方で、悪役はただひたすら憎らしくあるべきだなどといわれたりもする。


『悪役らしい悪役として描かれるべき』


などというのは、それこそ、悪役というキャラクターを『シナリオの都合で』、<舞台装置>にしているのではないのだろうか?


というのは余談なので脇に置くとしても、同じ疑問はリセイも抱いていた。


『敵がもし、対話不可能な存在であっても、人間には共感不能なそれだとしても、何らかの道理に従って行動してるんじゃないのかな…? 動物だってそうなんだから。


魔獣や魔人は動物とも確かに違うんだろうけど、意味もなくただ暴れるだけじゃないよね。もしそうならもう暴れてるはずだし……


対話できなくても、共感できなくても、共存できなくても、何らかの行動パターンみたいなのが掴めれば、もしかしたら、防衛の仕方ももっと安全なやり方が見付かるかもしれない。


…なんて、僕が思い付くような程度のことならこれまでにも思い付いた人はいただろうな……』


などと、差し出した自分の手の匂いを嗅ごうとするように鼻を突き出してふんふんと鳴らす<魔人の少女>の様子を見ながら取り留めのない思考を巡らせた。


と同時に、


『あれ? そういえば、魔獣って人間を憎んでるんだよね? なのにこの子はなんでこんなに落ち着いてるんだろう……?』


とも思った。


『ひょっとすると魔獣と魔人とでは、姿以外にも何か違いがあるのかな……?』


大した余裕である。


けれど、見ている方は気が気じゃない。


「リ…リセイ……危ないよ……」


ほとんどまともに声も出せないけれど、何とか話し掛ける。そんなティコナに、リセイは穏やかな微笑を浮かべながら、


「ありがとう。だけど、大丈夫だよ。僕は負けないから」


と応えた。


応えつつ、出入り口に向けてゆっくりと歩き出す。


「ドルフット、後退だ。魔人を刺激しないようにしつつ部隊を下げてくれ」


ライラが告げると、ドルフットは頷き、


「了解……後退だ。落ち着いてな」


第七隊をまず店外に出す。


それを確認して、リセイも、<魔人の少女>の意識が自分の方に向いているのを確かめつつ、そうっと回り込む。


ティコナとファミューレにはもう片方の手を掲げて動かないように指示しながら。


「ティコナさん、今はリセイくんを信じましょう……」


ファミューレも、仮にもティコナよりも人生経験を積んできている大人として、おろおろとする彼女に声を掛けて肩を抱いて、その場にとどまったのだった。



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