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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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誰も犠牲にしない!

『主人公の力が及ばずに仲間を失い、打ちひしがれる』


リセイがこれまで読んだり見たりして来た漫画やアニメでは、主人公の成長や覚醒を促すためのステップとしてそういう展開が見られることも珍しくなかった。


だから、無意識のうちにそういう展開を頭に思い浮かべてしまっていたことも事実。


しかし同時に、それとは矛盾する<完全勝利>も思い浮かべていたので、そのどちらが実現してしまうかは、完全にリセイ次第になってしまっていた。


彼が流れを掴み、どちらの結果をより強く意識できるかという状態だと言える。


ライラ達は、完全に成り行きを見守るしかできない。


と同時に、


『やっぱりリセイが新しい<勇者>なんじゃないか?』


という想いが広まっていく。


そもそもこんな常軌を逸した戦い方ができる時点で、


<普通の兵士>


の枠に収まるはずがない。


<騎士>どころでもない。


伝承にある<勇者>以外の何者にも当てはまらない。


そしてリセイ自身も、自分が完全に人間の常識から外れた戦い方をしているのも分かっていた。


それができるのなら、いや、それができなければこの<魔人>という存在とは互角に戦えないのなら、自分がやるしかないと素直に思えた。


その上で、


『みんなを守ってみせる……! 犠牲者なんか出すものか……っ!!』


強く思えた。


この瞬間、どちらの展開に進もうかと揺れ動いていた針は、完全に指す方向を決めていた。


『誰も犠牲にしない! 僕達の完全勝利だっ!!』


すると、それまでまったくの互角に見えていたぶつかり合いが、僅かに変化し始める。


「……っ!?」


<少女の姿をした怪物>の表情にも、それまでと異なるものが覗く。


困惑だ。明らかに<少女の姿をした怪物>の顔に困惑の色が浮かんできているのだ。


自分が置かれている状況が信じられなくて、戸惑っているのだろう。


しかも、じりじりと下がり始めていく。


<少女の姿をした怪物>が。


「っ!!」


そして次の瞬間、<少女の姿をした怪物>は後ろに飛び跳ねた。間合いを取って立て直そうとしたのかもしれない。


けれど、たぶん、それが致命的だった。自分が圧し負けたことを少女自身が認めてしまったのだから。


リセイの頭に浮かんだ<完全勝利>を、彼女自身が決定付けてしまった。


そこに、リセイの追撃。


蟷螂拳における<崩歩>という動きだった。カマキリの鎌をイメージした手の形から、流れるように掌打に変わり、少女の胸の中心を正確に打ち抜いた。


掌打を打ち出すために踏みしめた両足は、すさまじい反動で地面を穿っている。


それが生み出した威力のすべてが、少女へと叩き込まれたのだった。



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