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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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相談

『でかっ!?』


突然それが視界を占拠したことで思わずそう思ってしまったものの、何とか口には出さずに済んだ。


視界を埋め尽くす<塊>からさらに上へと頭を動かし、ようやくそこに、上半身を屈ませて自分を見詰める、どこかおっとりした感じの、けれど何とも言えない色香を放つ女性の顔を確認することができた。


ファミューレだった。


登庁してきたところに、來庁者がなにやら深刻そうな様子で佇んでいるので気になって声を掛けたのである。


「あ…いえ、だ、大丈夫です……っ!」


ティコナは慌ててそう応えた。


けれど、客観的に見てあまり『大丈夫』そうには見えない。なのでファミューレも、


「そうですか? 何かお困りなことがありましたら、お気軽にご相談ください」


改めてなるべく穏やかな表情を意識しながらそう告げた。


それ自体は、いわば<マニュアル>そのままの対応だったけれど、しかもティコナとしてはライラに会えなかったことで用件そのものは済んでしまっていたけれど、どこか母親のミコナにも通ずる雰囲気を持つ女性に、ホッとするものを感じてしまったのも事実だった。


だからつい、


「実は、リセイっていう男の子が軍に勤めてるんですけど、彼がもしかしたらイジメられてるんじゃないかって心配になって……」


と打ち明けてしまった。けれどその話に、ファミューレは、


「……はい…?」


呆気に取られた様子になり、


「リセイって、最近、軍に入隊した男の子のことですか?」


確認する。それに対してティコナは、


「はい。他所から来て、マルムの森で私をベルフから守ってくれて、ルブセン様の前でライラ様を負かした男の子です」


丁寧に答えたことで、


『ああ、やっぱり彼のことか。この()、リセイくんの居候先の()だ。


そっか。なにか誤解があったんだな……』


と察することができた。


なにしろ、ファミューレもあの一件については目にしていたし、しかも今ではリセイのことが気になって注意深く見守っていたから、彼が部隊に馴染んでとても大切にされていることも分かっていたし。


なので、


「リセイくんのことでしたら、大丈夫ですよ。彼はとても人気者で、皆から大切にされています」


笑顔で応えた。


「本当ですか……?」


縋るように訊いてくるティコナに、


「はい、本当です♡」


弾むような声で返す。


しかしそれでも、ティコナからするとファミューレは役所の人間であり、自分よりは軍に近い立場のはずなので、正直、その言葉を鵜呑みにはできなかった。


するとファミューレも、ティコナが自分の言葉を素直に信じられていないことを悟って、


「今日は、リセイくんは外に訓練に出てますけど、明日はここで訓練しますから、もし良かったら一緒に見学しませんか? 申請は私が出しますから」


と言ってくれたのだった。



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