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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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こういう時には

とにかくティコナとしてはリセイのことが心配なのであれこれ詮索してしまうものの、当のリセイには思い当たる節がなく、


「ありがとう。でも大丈夫だから」


と笑顔で返すしかなかった。


けれど、そうするとますますティコナは疑心暗鬼に陥っていく。


『そんなに必死に隠さなきゃいけないくらい……?』


彼女なりにリセイのことを心配してのこととはいえ、少々困りものだ。


が、実はこれも、リセイの<能力>がおかしな形で作用を及ぼしている可能性もある。


『こういう時にはヒロインとの間ですれ違いが起こるもの』


などと、リセイが思ってしまっているのかもしれない。


しかも、彼自身が気付かないうちに。でないと、いくらティコナがまだ人生経験が少なくて未熟だからといってもここまでしつこいというのも少々不自然とも思えるし。


いやはや、実に厄介な能力である。


いずれにせよ、リセイからは具体的なことが何も訊き出せなかったので、自分の部屋に戻ったティコナは、


「こうなったら私が直接出向いて確認する…! 隊長さんに……!!」


拳を握り締め、一人そう呟いた。




そして翌日。リセイが出掛けた後で、


「お父さん、お母さん、ごめん! 私やっぱりリセイが心配だから、確かめてくる!」


と言って店を出て行ってしまった。二人のことを『お父さん』『お母さん』と言っているので、彼女としては大真面目なのが分かる。甘えている時や狼狽えている時なんかには『パパ』『ママ』と言ってしまいがちなのが、そうではなかったから。


するとミコナは、


「若いわねえ……」


感慨深げにそう声を漏らし、シンは、


「ミコナにそっくりだよ。僕が馬糞拾いばっかりさせられてたことで役所にまで抗議に行った時と同じだ」


少し苦笑いを浮かべながら、けれどどこか嬉しそうに応えた。




が、そんなこんなで意気込んで役所にまで出向いたティコナだったが、


「ライラは本日、部隊を率いて訓練に出ています」


と受け付けで言われてしまい、


「……はい……?」


完全に空回りの独り相撲を演じてしまっていた。


『無駄足か~……』


気負ってきた分だけ拍子抜けしてしまい。かつて軍に入りたいとルブセンに直訴したリセイも座った場所に腰掛け、両手で顔を覆って落ち込んだ。


こうして冷静になってみると、自分が何をしようとしたのかが察せられて、さらに落ち込む。


シンとミコナは何も言わずに送り出してくれたものの、下手をすれば二人にも迷惑を掛けるところだった。そこに思い至ってしまったのだ。


まったくもってゾッとする。


と、そこに、


「どうされましたか~? なにかお困りですか~?」


と声が掛けられた。


「!」


ハッと顔を上げたティコナの視界を、巨大な<塊>が占拠したのだった。



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