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僕がこの世界で生きるワケ  作者: 京衛武百十
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『リセイに何の用だろう…この人達……』


彼を取り囲んだ女性三人組について、ティコナはそんなことを考えながらも取り敢えずは様子を見ることにした。


すると女性達は、


「単刀直入に申し上げます。リセイ。明日、ライラ様とお食事をご一緒してください」


と、声を揃えてリセイに告げた。


「……はい…?」


脈絡のない申し出にリセイは意味がすぐには呑み込めず、少しの間、呆然となった。しかし数瞬をおいて言葉の意味が頭に届いて、


「あ…明日ですか……?」


ようやくそれだけ口にする。


その上で、思わず助けを求めるようにティコナやミコナやシンに視線を向けてしまう。


するとティコナが、


「騎士様がリセイに何の御用ですか?」


怪訝そうに尋ねてくれた。


けれど女性達は、そんな彼女に対して、


「なんですか? あなたは?」


とやはり怪訝そうに問い返した。


それに対してティコナは、一瞬、言葉を詰まらせたものの、すぐに、


「リセイの、家族みたいなものです…!」


と返した。リセイは、今、ティコナの家の居候なので、あながち間違ってはいないだろう。


だけど女性達は逆に、「ああ…」と安心したように声を漏らした。


その上で、


「騎士様からの食事のお誘いです。断るのは失礼に当ります。邪魔はしない方がいいですよ」


明らかに牽制するような言い方でティコナにそう告げた。


「……っ!」


『断るのは失礼に当ります』と言われ、言葉を失う。自分はともかく、両親に迷惑が掛かるかもと頭によぎって、怯んでしまったのだ。


そんなティコナの様子を見て、リセイは、


『これは断っちゃ駄目なやつだ……』


そう察してしまった。


リセイがいた元の世界では、上司からの誘いを断ることも近頃はできるようになりつつあるものの、ここではまだ、いろいろと難しい部分もあるようだと感じる。


「分かりました…明日ですね」


とにかく今のところは承諾しておいた方がいいと考えて、素直に応じた。


すると女性達も途端にホッとした表情になって、出されたルアダを食べ、それから、


「じゃあ、明日。必ずですよ……!」


念を押し、会計を終えて出て行ってしまったのだった。


「なんなの? あれ……?」


ティコナは納得がいかなかったらしく、不機嫌そうに眉を寄せて三人が出て行ったドアを睨み付けていた。


シンは、さすがに大人だけあって冷静に成り行きを見守り、ミコナは、


「あらあら、まあまあ…!」


右手を頬に当てて少し驚いた様子も見せていた。


そんな中、当事者であるリセイが一番、戸惑っていただろう。


騎士や役人や貴族など、平民より上の立場の人間が一方的に用件を押し付けてくること自体は必ずしも珍しいことじゃないので、ティコナ達はある意味では慣れていたのだから。


とは言え、ここまでいきなりで一方的なのは珍しいけれど。





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