第33話
「これで、帝都で活動していた暗部で敵対していた勢力は一掃できました。
殿下には、ご協力頂き、誠にありがとうございました」
帝都宮殿のジークフリートの寝所で、ジークフリートに臣下の礼を取っているのは、帝都警備団長を務める、シャイデマン子爵。
前内務卿の配下で、諜報組織“暗部”の幹部であったが、ジークフリートに見出され、現在の地位に就いた彼は、同じく抜擢されて近衛騎士団長に就いたハウザー子爵と共に、宮殿内で暗躍する勢力の炙り出しを行っていた。
帝都制圧時に暗部の主要メンバーの大部分を拘束することに成功していたが、残存勢力がなかなか尻尾を掴ませず、膠着状態となっていた。
残存勢力にある程度の目星はついていたが、証拠となる決定力に欠けていたこともあり、ここ1ヵ月程は、ジークフリートからの指示もあり、わざと寝所の警備に穴がある状態で放置していた。
「いや、なかなかの奴らだった。手際も良く、私でも危うかった」
「それで、いかがなさいますか?」
「まあ、処分するには惜しい。
最終判断を誤ったことを再教育して、よく自覚させておけ。
その後は、国外で、それなりの実績を挙げさせ、禊を済まさせる。
半年後くらいには、一部を交代で卿の下に加えさせよう」
「それは、とてもありがたいことでございます。
なお、雇い主の首謀者の御方は、当初の予定通りに放置で?」
「ああ、それで良い。教会領は安全だと思わせておくのだ。
そのうち、未だに隠れている雑魚共も、直轄領周辺に点在する教会領のいずれかに逃げ込むはずだ。
これ以上、いちいち個別に捕まえるのは手間だし、事を起こす時に、一網打尽にしたい。
これも半年後くらいになりそうだ」
「承知いたしました」
「とは言え、卿とハウザーは、今の地位のままでは、今後も有力諸侯を抑えるのは難しかろう。
これまでの働きに報い、今の実戦部隊の役職を保持したまま、さらに上位の政務側の職責にも任じる。
卿には、空位の内務卿を、ハウザーには近衛卿を内示する。
ハウザーには、卿から伝えよ」
「御意。謹んで御受けいたします」
「正式には、1ヶ月後とする。発表後、即時就任とする。合わせて、伯爵に叙し、宮中伯と称することを許す。
また、特に見どころのあった卿の嫡男にも、新たに子爵位を与え、私の直臣としたい。
そう、案ずるな。分家して独立させよとは言っておらん。
将来は、卿の跡を継いでもらわねばならんからな」
「な、なんと……、過分なご配慮くださり、ありがとうございます」
「その代わり、卿の嫡男に、“暗部”を統括させる。良いな?」
「それこそ、なんと恐れ多いことでございます。
愚息をそこまでご評価いただけるとは……」
「バーデンのところのイーセンブルクと共に励めと、よく申し伝えておけ。
それから、イーセンブルクは陪臣だが、侮らぬように、ともな」




