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60 懐かしい女子高のノリと云うものか

オレは今電車に乗って居る。

車内はかなり押し合い圧し合いに混み合って、ギュウギュウの状態だ。

東京近郊の朝の路線はまぁ大体がこんな物だが…オレとしては混み合う電車は久し振りなので、かなり窮屈に思って居る。

窮屈と言えば、オレは普段と違う制服を着て居るせいもあるだろう。

何と言っても漆黒のセーラー服なのだ。

襟には三本線のセーラーテープが入り、胸当てと胸ポケットに校章のエンブレムが刺繍されて居て、白いスカーフをして、膝丈のプリーツスカートに白いソックスと黒いローファーと云う、今時珍しい程に如何にも女子学生と云う出(い)で立(た)ちだ。

オレはこの制服を丁度一年位前に着ていた事がある…常盤聖心女子高等学校の制服なのだ。

ミッション系の私立の女子高等学校何て、最近では珍しい学校なのだが、一応お嬢様学校との評判のおかげか、少子化の昨今にも関わらず入学希望者は後を絶た無いそうだ。

何故オレが、今更転校した学校の制服を着て居るのかと言うと…等と考えてるうちにお客が来た様だ。

オレのお尻部分に不自然な圧力が感じられる、何か物が当たって居ると云う感じじゃあ無くて、明らかに人の手が触れて居る。

最初は少しやわやわと揉む様に、やがて大胆に撫で擦って来た。

(まだだ…不埒なコイツを社会的に抹殺すためには、もっと確たる行動によって証拠を得てからだ)

オレはそう思い、不快感を覚える手の動きを我慢する。

オレが声を上げ無いで居ると、不埒者はオレが恥ずかしさで固まって居るのかと侮ったらしく、つけ込み易しと思った様で、手の動きが段々と大胆になって来た。

スカートの上から、お尻の双丘から腰骨の辺りまで撫で摩すり、太腿の間に手を滑り込ませようとして来る。

オレは太腿をきつく締めて手の侵入を阻止すると、スカートの裾から中に手を入れて来た。

手でオレの太腿を、直に撫で摩すりながら、上に這い上がって来る。

その感触にオレは怖気(おぞけ)を感じた。

痴漢をする奴が良く言う事に、女も感じてたとか女は嫌がって無かった、なぞと吐(はざ)く輩(やから)が居るが…。

オレは断じて違うと言う、そんな女は居無い!

これはオレが女の子になってわかった事なのだが、男の不遠慮で情欲に塗れた視線を胸や腰周りに感じる時、正直イヤな感じを受けるのだ。

オレもかつて男子だったので、本能的で無意識に女の子のそう云うところに目が行くのは、仕方無いとも思う…。

それでもやはり、女の子も本能的な自己防衛のために、危機感や嫌気を感じてしまうのだ。

己の子種を、兎に角に女に植え付けたい雄の本能を持つ男と、自分の身体で子供を産み育てるため、己の気に入った子種を取捨選択したい雌の本能を持つ女…。

オレは男から女になった事で、男と女の間には…雄と雌の本能に根差した埋めようの無い認識の齟齬がある事を、オレは殊更に感じる。

男が本能で女を求め、女は本能で男を選別して、選ばれ無かった男を排除警戒する。

男達は、本能故に女に惹かれて気付かれ無い様に隠れて覗いて居るつもりだろうが、女の子は日常的にそんな目に晒されて居るため、直ぐに気が付く様になるんだよな。

そんなだから、女の子になってからオレは、何処(いつ)も心の中で常に男を警戒する癖が付いてしまった。

増してや不意に触られる等、気持ち良い筈がない。

そして痴漢とは、そんな男と女の間の齟齬を、己の独善と生殖本能を暴走させて、不遠慮に蹂躙しょうとする者達なのだ。

だから…今、オレを不遠慮に触って来る痴漢野郎には、一切の慈悲を掛ける気は無い。

這い上がって来た痴漢の手は、オレのパンツのところまで来た。

今日のオレは、毛足の長い毛糸のパンツを穿いて居るのだが、別に冷え性だからと穿いてる訳では無い。

痴漢は、温かくなった今頃まで、オレが毛糸のパンツを穿いてる事にちょっと驚いた様だけど、直ぐにお尻の双丘を撫で摩すって来た。

(我慢我慢、まだもうちょっとだ)

オレは自分に言い聞かせて、下唇を噛みながら耐える。

尻の双丘の円やかな曲線と、柔らかさを堪能した痴漢は、いよいよ股間に手を差し込んで来た。

そしてパンツ越しにオレの秘所の位置を探ろうと、カリッと指で引っ掻く様に触って来た。

瞬間オレは痴漢の腕を掴み、合気道の四ヶ条と云う掴むだけで痛みを覚えさせる技を掛けつつ、電車内に聞こえる様に言った。

「この人チカンでーす!」

地味なジャケットとスラックスと云う格好で、四十代くらいの凡庸な見た目の痴漢を連れて、オレは次の駅で降りて、駅員が駆け付けて来るのを待った。

四ヶ条から三ヶ条と云う、立って固める技に切り替えて、痴漢が暴れたり逃げ出したり出来ない様にして居ると、押っ取り刀で駅員がやって来た。

「駅員さん、助けてくれ、この娘がワシをチカンだといいがかりを付けて、金を強請(ゆす)ろうとしてんだぁ!」

痴漢は必死に駅員に訴えかけるが、オレは冷静な声で言った。

「警察の鑑識を呼んでください、コイツの手の爪の間には、私が穿いてるパンツの繊維が付着してる筈ですから」

  ∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥∥

「真琴さん、早速に痴漢を一人撃退して成果を上げたそうですね…流石かつて常盤聖心女子校の守護神(ガーディアン)と呼ばれたのは伊達では無いですねぇ」

長いストレートの黒髪を姫カットにして、銀縁メガネを掛けたちょっと見ただけで出来る女だと分かる、中々な美貌の持ち主でもある生徒会長の源秋穂(みなもとあきほ)が、オレを誉めそやす。

常盤聖心女子高等学校の生徒会の部屋は、幾つかの長机と事務机が数脚置かれて在り、壁一面に書類入れのロッカーで埋め尽くされた、実用一点張りの部屋だった。

オレはパイプ椅子に座り、ちょっと大き目の事務机の向こうに居る生徒会長の源秋穂と、面会して居た。

「真琴ちゃんは一年の時に、通学路に屯(たむろ)して居たナンパ目的の男の人達をバッタバッタと薙ぎ払って、一掃した実績がありますものね」

生徒会役員でオレの元クラスメイトだった早瀬里香(はやせりか)が、長机で書類を整理しながら何故か我が事の様に、自慢気に生徒会長に言う。

「貴女に我が校と他校との交流事業として、二週間だけ我が校の生徒と貴女を国内交換留学させると云う体(てい)で、来てもらったのはどうやら上手く行きそうですね」

生徒会長は顔の前で手を組み、メガネのレンズを反射させて目を見えなくさせ、組んだ手で隠しながらニヤリと笑った。

(この生徒会長は碇ゲンドウの親戚か何かかな…)

等とオレは思って、生徒会長を見る。

「あの当校の生徒が通学に使っている路線は、先月だけで38件もの痴漢が報告されてるのよね…」

生徒会長はちょっと溜息を吐きつつ言う。

「去年ネットに、あの路線で痴漢を働いた者がその動画をアップしたため、同類(チカン)どもが集まって来たのよね」

早瀬里香が、同じ様に溜息を吐き言った。

「私は今学期いっぱいで生徒会長を退任して、二学期からは新生徒会長に引き継ぐのだけど、出来ればこの痴漢案件は、私の任期中に解決しときたいんだよ」

生徒会長は、オレを真正面から見て来て、微笑みながら言う。

「そうですね…まぁ、オ…私があの路線の電車に乗りチカンホイホイとなって、チカン共を何人か捕まえたら、あの路線は危ないとチカン共が思って、路線から退去させる事は出来なくは無いでしょうね」

オレも生徒会長を、真正面から見返して言った。

「うん、よろしく頼むよ…小鳥遊真琴くん、いや元常盤聖心女子高等学校の守護神(ガーディアン)!」

そう言って生徒会長は、右手を差し出したので、オレはその手とガッチリと握手した。

キーンコーンカーンコーン…

ココで予鈴が校内に鳴った。

「あ…小鳥遊真琴くんは、早瀬くんのクラスに交換留学生として、入るんだったね」

生徒会長が、長机の席に居た早瀬里香に言うと。

「ハイ、真琴ちゃんは今日から二週間、私のクラスメイトです」

里香はさも嬉しそうに言った。

そして里香はオレの側に来て、手を取ってニコニコしながら言う。

「教室に行きましょう、真琴ちゃん」

   ーーーーーーーーーーーーーーーー

「国内交換留学生として、しばらく皆さんとクラスメイトになる小鳥遊真琴と言います、よろしくお願いします」

オレが早瀬里香のクラスのHRで、自己紹介をすると。

「小鳥遊真琴様って、伝説のマコト様なのですか!?」「卒業されたお姉様から聞いた事があるわ!」「わたくし達、常盤聖心の女生徒に襲いかかる、何十人もの男共(やばんじん)をバッタバッタと蹴散らしたと伝えられてる守護神(ガーディアン)様ですの!」「あぁ、噂に違わず凛々しい御姿、お姉様になってもらいたいわ…」「真琴様とクラスメイトになれるなんて、幸せすぎますぅ〜」

クラス内が騒然となって、HR後には隣のクラスからも見物人がやって来た。

オレは里香の席の隣の席になったので、里香にこの騒ぎの事を聞いて見たら…。

「真琴ちゃんは、常盤聖心(うち)では神格化されてんのよね〜」

里香はちょっと困った様に言った。

「神格化ぁ~?」

オレはちょっと素っ頓狂な声で聞き返した。

里香の説明によると…オレは入学当初から通学路に屯(たむろ)するナンパ目的の男達を、一顧だにもせず無視して切って捨て、しつこく言い寄って来たり付き纏ったりして来た男達は、実力を持って排除した。

(まぁその辺の事は、一応はオレにも覚えはある…)

それに他の生徒やお姉様方(じょうきゅうせい)が、やはりナンパ目的の男に付き纏われた時も、颯爽(さっそう)とやって来てナンパ男達を蹴散らしてくれたとか。

(うん…颯爽(さっそう)とかは分から無いが、そんな事をした覚えもある)

当時の学校内で一番と二番人気のお姉様だった、西園寺玲子様と天羽凛子様の御二人から、エンジェル制度の妹にならないかと求められたとか。

(あ~、レイちゃんとリンちゃんかぁ~懐かしいなぁ、エンジェルの姉妹と云うより二人共よい友達って感じだったなぁ…二人とも今は大学かな)

[エンジェル制度…実際に某ミッション系女子高で行われて居た制度、上級生が下級生を勉強や生活指導する制度で、指導する上級生を“お姉様と”呼び、指導される下級生を“妹”と呼び習わして居た]

それから、校内に入って来た猛犬に生徒が襲われそうになった時にも、真琴ちゃんが単身で立ち向かって、犬を保健所に引き渡したとか。

(んん~猛犬に襲われそうになった?…確か…どこかで飼われて居た大型犬が校内に入り込んで来た事があって、生徒に戯(じゃ)れ付いて居たんだけれど、結構強面な感じの犬だったので、皆んなに怖がられて籐巻きにされてたのをオレが構って遊んでやったんだよな…犬も猛犬と言う獰猛な感じじゃあ無くて、人懐っこい善い犬だったし、飼い主の人が来るまでオレが保護した事はあったな)

他にも、ヤクザに車に押し込められて、誘拐されそうになった生徒を、単身追跡してヤクザ事務所から救い出したとか。

(オイオイ、ヤクザって…オレはそんな事した事何て無いぞ、それにヤクザに誘拐されたって云う様な事件が起きた何て、オレは聞いた事無いぞ)

裏山の廃神社に出没する妖怪を、真言(マントラ)とお札で封印したとか。

(オレはドコの式部神道の退魔巫女なんだよ、真言(マントラ)何てオレは知らないよ)

果てはタキシードにシルクハットを被り、マスクをして口に赤い薔薇を咥え、生徒が何かしらの危機に陥ったら駆け付けてくれるだとか、そんな風に噂されて居る…。

(オレはセー○ームーンのタキシー○仮面かよ!?)

オレが二年の一学期でこの学校を転校してから、噂(うわさ)にどうも何処からか突っ込んで良いのか分から無い様な尾鰭(おひれ)が付いて、伝説上の英雄見たいに神格化された様だ。

正直オレはイヤな予感で目眩がして来た。

   ーーーーーーーーーーーーーーーー

案の定…オレの下駄箱や机の上には、手紙やらプレゼントやらがギュウギュウ詰めになり。

エンジェル制度の妹になりたいと云う志願者が、引きも切らずにやって来た。

そしてオレが校内の廊下を歩けば、女生徒達がキャッキャッと喜んだり、頬を染めたりして、遠巻きにして見て来る。

男に注目されるのとは違う…何とも恥ずかしい様な擽(くすぐ)ったい様な、ちょっと落ち着かない気分になった。

(ああ~そう言えば、オレがこの学校に在学中だった頃も、下級生や同級生に憧れられたりしてた上級生(おねえさま)が居たなぁ、リンちゃんとかレイちゃんとか、コレが…懐かしい女子高のノリと云うものか…)

等と考えながらオレは生徒会室に向かった。

「そうか、今日の獲物…もといチカンは一人も引っ掛から無かったのか、出来れば真琴さんが居る間に10人以上は捕まえたいところなのだが」

生徒会長はちょっと落胆した様に言う。

「すいません、オ…私がチカンホイホイの囮(デコイ)として、チカンを引き付ける程には魅力的では無かった様で…」

生徒会長の落胆を見て、オレはちょっと済まない様な気になり言うと。

「真琴さんが魅力的じゃあ無い何て事は、断じて無いわよ!」

生徒会長が些か慌てた様に言った。

「私もそう思います…ただ」

生徒会室に同じ様に詰めて居た里香が、ちょっと言い籠って言う。

「何?…言いたい事があるなら言ってちょうだい、早瀬里香さん」

生徒会室が言い籠った事を、里香に言う様にを促した。

「その…うちの制服って、清楚でキチッとして居て如何にもお嬢様と云う様な固い感じがして…真琴ちゃんがそう云う格好をすると、近寄り難い高嶺の華見たいで…それでちょっとチカンも躊躇してるのかなと思って」

里香がそう言うと、生徒会長はオレの制服姿を上から下までじっくりと観て、それから暫し考えた後で言った。

「真琴さん、生徒会の特例として制服の着崩しを容認します…セーラー服の襟の胸当てを取り、胸元の谷間が見える様にして、プリーツスカートも巻き込んで裾を上げて、出来ればパンチラするくらいのミニにする事」

「はいぃぃい??」

オレは素っ頓狂な声を上げた。

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オレは交換留学で常盤聖心に通うために、早瀬里香の家に居候して居るのだった。

オレは、里香の家のオレに供された部屋で、明日の登校時に着てゆく下着を姿見の前で見繕って居た。

「真琴ちゃん入るわよ」

「えっあっうん、どうぞ」

里香が、部屋の外から声を掛けてきたので、オレは入る事を承諾する。

「へぇっ…その下着を着て明日通学するの、ちょっと過激ね」

部屋に入るなり里香は、姿見の前に居るオレの下着姿を見て言った。

オレの辛うじてCカップのオッパイでは、中々に胸の谷間は作り辛いので、寄せて上げる補正の強いブラジャーを着ける。

しかもそのブラジャーは、前身頃が殆ど透けたレース状の生地で…乳首も透け生地越しに丸見えなのだ。

そしてパンティも同じ透け生地の総レース仕立てで、お尻の割れ目はもちろん前の方はオレの薄い陰毛まで透け見えしていて、辛うじてクロッチ部分が二重なって居て、秘所だけは何とか隠れて居ると云うデザインなのだった。

「痴漢達を引き付ける艶っぽさを醸し出には、オレ自身がこう云う下着を着けて…ちょっと気分を艶っぽく盛り上げないとと思ってね」

オレがそう言うと。

「そうよね、勝負下着ってそう云う事なのよね!」

里香はオレの言う事にかなり食い付いて来た。

「試験だとか面接だとかの、ここ一番と気合いを入れる時には、一番高くてお洒落な下着を着けて行くし…ライブコンサートだとかで気分をアゲアゲにしたい時には、真っ赤な下着を着けて見たり…そして彼とそう云う事をする時には、自分もそう云う気分になる様に、ちょっと大胆な下着を着けたりするよね」

里香は最後の方で、ちょっとモジモジしながら言う。

(あぁ~そう言えば、里香は彼氏持ちで去年の夏休み中に、初体験を済ませて居たんだだっけ…)

なんて事を思い出して、オレは少し嘆息した。

それからオレは、制服のセーラー服を着て胸当て部分を取り、プリーツスカートのウエスト部分を巻き込む様にして、スカート丈を短くして行く。

パンチラさせる程には流石に出来なかったが、それでも膝上15センチ位は有るだろう程にスカートの丈を短くした。

そしてそんな格好の制服姿を姿見で見ると、黒い禁欲的なセーラー服の胸元からちょっと胸の谷間が覗いて居て、短いスカートから覗く若くピチピチとした太腿は、健康的な魅力を見せ付けて居た。

しかし全体的には、お嬢様が無理して着崩して居る様な不自然さが見えるのだった。

それでも、それまでの高嶺の華感は、大分軽減された様に思える。

オレは明日、この格好で通学用の満員電車に乗り込んで、チカン共をバンバンと誘い出してやろうと思った。

蛇足です。今回ノクターンノベルに載せたのは、真琴が女の子で在る事を受け入れる様にし始めた頃…つまり自分の女体を初めてじっくりと観察して、女の子の快感を得る方法を覚えるまでの話です。本編では流石にR-15には収まら無いと思い割愛したエピソードです。紳士諸兄の実用には些か物足りない物でしょうが、本編主人公の真琴の在りし日の話として御一読下さいな。それとOSS(オリジナルショートストーリー)の“処女も童貞を居ない島”は不定期で載せる予定ですし、OSSはコレからも色々と載せる予定ですのでよろしくお願いします。

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