34 オレは初めて振り袖で初詣に行く
オレは、今自分の部屋の姿見の前で、全裸で立って居る。
姿見に写るオレの身体は、中々の物だと思う。
十六歳の少女の裸身は、やや控え目ながら女性らしく膨よかに盛り上った乳房に、引き締まって括れた腰周りと丸く優美な曲線を描くお尻、僅かな翳りに彩られ両太腿の間に窄まって行く股間…その奥には秘所の陰裂が少し覗いている。
オレの身体は、一見もう女性として完成されて居るかの様に見えるが、良く見るとまだ成熟前の青さや未成熟さの危うさが所々に垣間見えて居る。
そして同時にこの年頃の少女が持つ、独特の艶っぽさをも、其処は彼と無く醸し出して居た。
(フフン、我ながら綺麗な身体だな…男の子だった頃のオレがこんな美少女の裸を見た日には、一日中オナニー三昧をしてしまうだろうな)
等とオレは考えながら、イロイロとセクシーなポーズをとって姿見に写る自分を見て、悦に入ってると。
「真琴ちゃんもう下着を着替えた、あまり時間は無いわよ」
恵美姉ぇがドアの向こうからオレを急かして来る。
「は〜い、もうちょっと待ってーっ」
オレは慌てて返事をした。
今日は元日で…オレは初めて振り袖で初詣に行く…事になって居るんだ。
オレは先ず、ベッドの上に置かれた下着類を身に着け出した。
先ず白く無地で、鼠径部にゴムの入って無いパンツを穿く。
このパンツは、俗にふんどしパンツと呼ばれて居て、穿いた感じ締めつけが無くて、まるでノーパンの様な開放感のある感じがする。
次にカップの無いチューブブラを着ける。
(本当はスポーツブラか和装ブラが良いそうだけど、丁度手持ちの下着類の中にそう云うのが無かったので)
それから足袋を履き、襦袢スリップと言う木綿製の肌着を頭から被る様にして着た。
「恵美姉ぇ、下着を着け終わったよ」
ここでドアの外で待って居る恵美姉ぇに声をかけると、タオルや襦袢に振り袖を持って部屋に入って来た。
恵美姉ぇは、オレが振り袖の着物を着る手伝いを、してくれるんだ。
恵美姉ぇは結構着物好きで、十代の頃からよく着物を着て居たので、今では着物着付けの教室で講師をする位なのだ。
だからオレの初詣の晴れ着の振り袖も、着付けてくれるんだよな。
恵美姉ぇは、襦袢スリップの下にタオルを巻いて、オレの腰周りの括れを無くす様にする。
着物を着るには、ボン・キュッ・ボンな体型だとすぐ気崩れてしまうので、出来るだけ寸胴な体型に、補正しなくちゃいけないらしい。
それから長襦袢と言う桃色の袖の無い着物の様なのを着るのだが、この時襟が背中の中心に来る様に調整して、それから紐で縛る。
その後で…本命の振り袖の着物に手を通すのだが、ここからがまた大変なのだ。
まず着物を肩に羽織って、また襟が背中の中心に来る様に調整する。
それから、着物の左前それから上前の順で着物を着て行って、再び襟を合わせる。
全体の微調整が終わったら、腰骨の少し上辺りで着物を紐で縛って止める。
それから更に着物の袖元に開いてる、身八口と言う開口部から恵美姉ぇが着物の内側に手を入れて入れて、着物のシワを伸ばしながら微調整をする。
(こんなにアッチコッチ微調整しないと着れないんじゃ、着崩れたらオレじゃあ直せ無いから、気を付けないと)
等と思ってオレは不安になった。
着物の襟元をコーリンベルトと言う固定具で固定させながら、胸下で伊達巻き締めを締めて帯を巻く準備をする。
ようやく帯板を挟みつつ帯を着物に巻いて行き、恵美姉ぇは若い娘の晴れ着に合う羽根付き太鼓と云う形に帯を締めてくれた。
最後に防寒用の羽織りとファー生地の襟巻きを巻いて、コレで…ようやく振り袖の着物をオレが着る事が出来たのだが…コレから更に軽くメイクをもしなくちゃいけないらしい。
目元や頬に恵美姉ぇが軽くメイクをしてくれて、淡い色の口紅も挿した。
髪は何時も通りのハーフアップなのだけれど、今日のために買って置いた、西陣織りのリボン状のバレッタを、後で髪を止める用に付ける。
こうして延々と支度に一時間半ほどかかり、オレの初詣の為の戦闘準備が完了した。
振り袖を着た感想は、想像してたよりは軽くて動きもそれ程は制限される様には、思えなかった。
まあ…帯や何かで、イロイロと締め付けられてる、感じはするけど。
それに振り袖を着て、全力疾走をしょうとは、さすがのオレでも思わ無いしなあ。
振り袖姿で、シャナリシャナリと歩くオレの姿を鏡で見てたら、何処ぞのお嬢様と云う感じで、ちょっと良い気分だった。
「真琴ちゃん、振り袖で混み合ったバスに乗るのは大変でしょう、私が車を出してお友達の待ち合わせ場所まで送るわよ」
恵美姉ぇがそう言ってくれたので、オレはお言葉に甘える事にした。
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「マコちゃ〜ん、コッチコッチ!」
恵美姉ぇが運転する車で送ってもらい、車から降りたオレを見つけて、明里が手を振っている。
恵美姉ぇは、二時間位したらまたここに迎えに来ると言って、車で帰って行った。
待ち合わせ場所の八幡神社の入口は、神社と言うのとは違って鳥居では無くて、まるでお寺の山門の様な造りの所だった。
振り袖姿のオレは、小走りで皆のところに行った。
オレの振り袖姿を見て、俊と遊馬は息を呑んでそれからボーっと浮かされた様に、オレを見て来る。
そんな男二人を明里が半ば呆れ半ば面白そうに見ていた。
「師匠、スゴイです、綺麗ですぅ」
千葉美波が目をキラキラさせて、オレを誉めて来る。
オレから見ると、オレと同じ振り袖の晴れ着を着た千葉美波も、中々に綺麗で可愛く思う…特に帯から溢れ出すかの様な、胸の部分は圧巻だった。
「マーちゃんキレイ…本当にお姫様見たいだよ」
森谷千秋もオレを誉めてくれた。
森谷千秋の振り袖の晴れ着姿も綺麗だとオレは思った…ただ彼女は背が些か低いので、七五三とは言わないけど…小学高学年位の女の子が、精一杯にオシャレした晴れ着姿、の様な印象をうけてしまうのは仕方無い所だ。
「おお~、マコちゃんの振り袖姿は眼福だねえ…」
明里は晴れ着こそ着て無かったが、臙脂色のマフラーにクリーム色のセーターを着て、ファーの襟が付いた、ダウンコートを羽織っている、そして細身のジーンズに黒いブーツと云う暖かそうな出で立ちだ。
明里はオレの振り袖姿を見て、感嘆の声を上げた後、イタズラぽく笑って俊や遊馬の方を見て、言った。
「こんな綺麗な美少女のマコちゃんを、何処ぞに連れ込んで昆布巻でイタしたいとか、思ってんじゃ無いの」
「バッ…バカを言うなよ!そんな事思う訳…ない……」
俊は最初こそ大声で否定したが、後は尻すぼみに声が小さくなって行った。
「嫌だなあ由田明里さん、そんな事おくびにも出さないですよ…心の中ではどう妄想してるかは置いておいて…」
遊馬は太々(ふてぶて)しく笑って言った。
「明里さん、昆布巻でヤリたいとはどう言う事ですか?」
千葉美波が、明里のコートの袖を引っ張りつつ聞いて来て、森谷千秋も興味深そうに明里の前に行く。
「昆布巻と言うのはね…着物が着崩れしない様に帯を解かずに、下の袖だけを捲り上げて、後からSEXをするやり方の事なのよね」
女の子三人が顔を寄せ合って、ヒソヒソ声でオレをチラチラ見ながら話し合って居た。
「オイ!」
オレはさすがにちょっと怒って、明里達を見る。
「「「ゴメン、マコちゃん」マーちゃん」師匠」
三人揃って、それぞれのオレの呼び方で、謝罪して来た。
オレ達は初詣のために神社の境内に入る。
地方都市の神社とはいえ、初詣となるとそれなりの人出で結構混み合っている。
境内には雪も積もって居たが、下は玉砂利だったので、一応ビニールのカバーを付けてはいるけど足袋に草履は汚れる事は無かった。
参拝する拝殿前まで行くのに三十分近く掛かったけど、無事にお参りは出来た。
お参りが終わった後は、参道に出ている屋台出店を皆んなで覗いて周る。
「何だか甘いお酒の匂いがするよ」
森谷千秋が言った。
「本当だ…甘酒を売って居るんだ」
俊が甘酒売りの屋台を見つけて言う。
それを見た明里と森谷千秋が、甘酒を飲もうと言い出しが…クリスマスの時の騒ぎを皆が思い出して、明里と森谷千秋を全力で止めた。
(まあ、この前のは…度数五十度のアブソールウオッカと度数九十七度のスピリタスウオッカの入ったボンボンだったからだろうが、それでもこんな往来で、裸になられたりキス魔になられたりしたら、目も充てられないからなぁ)
明里と森谷千秋は何やら不満そうにブチブチ言って居た。
出店のレパートリーは夏の種類と大体同じだったが、冷したジュース類やかき氷店はさすがに無かった。
オレ達はイロイロ飲み食いして、そぞろ歩いて居ると…オレはちょっともよおして来た。
「ゴメン、ちょっとお手洗いに行って来るね」
そう言ってオレは近くのコンビニに飛び込む。
カウンターの店員さんに一声掛けてトイレに行くと、幸い誰も使って無かった。
トイレに入りカギを閉めた所で…いよいよ一仕事が始まる。
先ず両振り袖を持って身体の前で結ぶ、ソレから着物の裾を一枚ずつ捲り上げる事になる。
着物、襦袢、和装スリップ、と捲り上げて手で確っかりと持つ。
ソレからようやくトイレの蓋を上げて、パンツを下ろして便器に座る。
トイレでの手順は、恵美姉ぇに教えてもらって何度かシュミレーションもして居たので、何とかなった。
便器に座った後、上体をやや前傾させる…コレが女子の排尿の姿勢なのだ。
そうしないと尿が小陰唇に必要以上にかかって仕舞い、アチコチに飛び散ってしまうのだ。
最初にオレが女子として、初めてトイレに入った時は…この世の物とは思え無かった、世も末だと思った。
用を足した後、トイレットペーパーで擦るのでは無く、軽く押し当てる様にして水分を拭く。
そして入った時の逆の手順で着物を戻して、おはしょりや裾に襟元を確かめてから、トイレを出る。
トイレからオレが出て来ると、皆はコンビニ前で待って居てくれた。
そしてまたオレ達は屋台や出店を見て周った。
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恵美姉ぇの迎えの車でマンションに帰って来て、オレはリビングのソファーに倒れ込様に座り、足を投げ出した。
「なぁに、そんな格好で…折角の着物がシワになるわよ」
恵美姉ぇが呆れた様に言う。
「イヤ…だって、振り袖ってけっこうしんどいね、もう脱ぎたいよ」
オレが泣き言の様に言うと。
「折角のお正月の晴れ着何んだから、今日はその格好で居たら?」
「イヤもう初詣に行ったからいいよ、脱がしよ恵美姉ぇ」
オレが、辛抱堪らんと言わんばかりに、言うと。
「もう、しょうが無いわね」
そう言って恵美姉ぇはオレの振り袖を脱ぐ手伝いをしてくれた。
セーターとミニスカとニーハイと云う普段の格好になって、オレは一息付いてソファーに座った。
「それでどうだった…女の子になって初めて振り袖を着た感想は」
恵美姉ぇがちょっと興味深そうに聞いて来る。
オレは少し考えて、ソレからこう言った。
「女の子になって…着飾って初詣何かに行くと、何だか楽しい様な嬉しい様な、とっても高揚したよ」
オレは頬を赤らめてそう言うと。
「うん、ますます女の子らしくなって来たわね、真琴」
恵美姉ぇが顔を綻ばせながら言う。
「もっとも、ソコはまだまだ女の子ぽくは無いわね」
そう言って恵美姉ぇは、座って居るオレの足元を指差す。
オレはミニスカで胡座を掻いて居て、パンツが丸見えだったのだ。
またちょっと蛇足を書きます。
このお話を書き始めた時、幾つかのテーマを決めて居て、今回はその一つの回でした。
その決めて居たテーマと云うのが…女の子の生活のシュミレートで、振り袖を着ると言うのが今回のテーマでした。




