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32 とんでもないクリスマスパーティーだったな

「よし!皆んなやるよ」

明里が音頭を取り、全員クラッカーを手に持つ。

パパパッパーーン

「メリークリスマス!」

クラッカーの破裂音と紙テープが舞う中、皆んなが大声で言った。

「さあさあ皆さん、ブッシュドノエルですよ。」

そう言って、セーターの上にチュニック風のワンピースを着た恵美姉ぇが、お盆に大きな丸太を模したケーキを乗せて持ってきた。

「おお~、コレがフランスのクリスマスケーキですかぁ」

セーラーワンピースの上に、V字ネックのセーターを着込んだ明里が、興味深そうに見る。

「まーちゃん家は何故クリスマスケーキがコレ何ですか?」

厚手の長袖Tシャツに、同じく厚手の巻スカートを着た森谷千秋が、不思議そうにオレに聞いて来た。

「親父が若い時に、主張でフランスに行った時に食べて、いたく気に入った見たいで…小鳥遊家ではクリスマスケーキは、ブッシュドノエルと云う事になってるんだよ」

丸首長袖のニット製のワンピースにニーハイを着たオレが、皆んなに説明する様に言う。

「ほえ〜、そうなんだ、でもこの丸太見たいなケーキの方が、丸いホールケーキより切り分け易いよなあ」

そう言って、ダウンジャンパーにプリントTシャツとジーンズを履いた遊馬が、さっそくきり分け用の小皿を差し出した。

「でも、こんな丸太状のケーキのドコにロウソクを立てたら良いんですか?」

白いブラウスにカーディガンを羽織り、ハイウエストのスカートを着た千葉美波が、頭をひねりながら言うと。

因みにブラウスにハイウエストのスカートだと…胸が非常に強調されて、俊等は目のやり場に困って、美波の前では挙動不審になって居た。

「日本では、誕生日のケーキと混同されて、クリスマスケーキにもロウソクを立てるけど、本来はロウソク何て立て無いそうだよ」

丸首セーターにジーンズの俊が、挙動不審に成りながら、ちょっと知ったかを披露する。

「ケーキぃ、ケーキぃ」

恵美姉ぇとお揃いの、チュニック風のワンピースを着た奈っちゃんが、舌足らずに連呼して早くケーキを食べたそうだ。

恵美姉ぇが包丁を持って、今日のクリスマスパーティー参加者八人分に、切り分けてくれた。

以前からオレ達俊と遊馬で、クリスマスパーティーをしょうと言って居たのだけれど、ソコに明里や森谷千秋や千葉美波も参加する事になって、全員集まる事が出来るオレん家で(厳密には恵美姉ぇの旦那さんの家で、オレは居候なのだけれど)開く事になったのだ。

クリスマスは二十四日の日没から二十五日の日没までがクリスマスだと云う事で、夕方から雪が降りしきる中皆んなが集まってパーティーを始めた。

オレ達は、切り分けられたチョコレートクリーム主体のケーキを食べて舌鼓を打ち、アルコール抜きのシャンパンを飲んで騒いだ。

こんな大人数でパーティーをした事の無い奈っちゃんはキャッキャッと(はしゃ)いで楽しんそうだ。

ケーキの後は、デリバリーのピザに皆んなが持ち寄ったお菓子等を食べて、サブスクでクリスマスっぽい映画でも見ようかとなった時、ちょっと揉めたりした。

「クリスマスと言ったらダイ・ハードだろ、ブルース·ウィルスの出世作だぜ」

遊馬がアクション映画を推し。

「東京ゴッドファーザーズなんかもクリスマスにピッタリだよ」

俊がアニメ映画を提案して。

「アナと雪の女王なら奈っちゃんも見れるわね」

と恵美姉ぇが奈っちゃんを抱きながら言う。

「ホーム・アローンと言う映画がクリスマスに見る映画としては善いと兄が言ってました」

千葉美波がピザをほお張りながら言って。

「ケイト・ブランシェットのキャロルなんてのも良いわね」

明里がそう言ってサブスクのメニュー画面を見ながら言った。

「エイリアンです、わたいはエイリアンが大好きなんですう」

森谷千秋が身を乗り出して力説して来たが、それクリスマスと関係無いじゃんと却下された。

「我が道を行く何てどうかな…ビング・クロスビーのアイルランドの子守唄がオレは好き何だけど…」

オレも些か古めの映画を提案したが、誰も聞いてくれ無かった。

結局奈っちゃんも見れるという事で、アナと雪の女王を見る事になった。

奈っちゃんを交えて、ワイワイとアナと雪の女王で盛り上がり、映画が終わる頃には奈っちゃんはお眠になって居た。

恵美姉ぇが奈っちゃんを寝かしつけるために、子供部屋と夫婦の寝室にがある方に行った。

フト窓の外を見ると、ビュウビユウと風と雪が舞う天候になって居た。

「うわぁ~、ホワイトクリスマスならぬブリザードクリスマスだよコレ」

俊が心配そうに言うと。

「コレは帰り道が危なそうだから、皆んなオレん家に泊まりだよな」

オレが皆んなに言うと。

「はあ、真琴の家に泊まり何て初めてだよ」

俊がちょっと嬉しそうに言う。

「私達は以前にもう真琴の家で、泊まり掛けでネグリジェパーティーを開いた事が有るわよ」

明里がやや自慢気に言って。

「ネグリジェパーティーって何だよそれ、何だか物凄く面白そうじゃんか」

遊馬が興味深そうに言い。

「まっ、明日から冬休みだから、心置き無く今夜は夜更かしで遊ぼうよ」

そう言って明里が嬉しそうに言った。

********************

「アレ…もうお菓子が無いや」

ゲームのコントローラーを持ちながら、テーブルに手を延ばした遊馬が言った。

「ああ~持ち寄ったお菓子の大半を食べちゃったね」

明里もゲームのコントローラーを持ちながら、テーブルの上を見て言う。

「下のコンビニでお菓子を買って来ましょうか」

明里と遊馬のゲーム対戦を観ていた千葉美波が、そう言って立ち上がろうとした時。

「ああ、良いよまだお菓子はあった筈だから」

オレがそう言って台所の棚を漁ると、目当てのプレゼントの包みがすぐに見つかった。

(この前東欧に主張して居る親父から、早めのクリスマスプレゼントとしてイロイロお土産が送れれて来てたんだよな、確かその中にお菓子類も有った筈だ)

そう思ってプレゼントの包みを開けると…東欧のスナック菓子見たいなのやチョコレートの包み、そしてキャンディの詰め合わせ見たいなのが出て来た。

オレはそれを、皆んながゲーム対戦を観戦してるテーブルの上に置いた。

明里に遊馬と俊と森谷千秋の四人でやってるマリ“ピーッ”カートは、なかなかに接戦で皆んな夢中だ。

オレと千葉美波とは、そのレースの様子を応援しながら観ていた。

明里の一位ゴールで一応の決着がつき、皆んな一息入れようとテーブルの上の新しいお菓子に手を出す。

オレも東欧のスナック菓子を口に入れながら、キャンディの詰め合わせの箱に、親父のメモが貼り付けてあるのを見つける。

その時オレに不穏な予感がした。

(親父って、時々変なお土産を送って来る事があるよな…ブードゥーの呪い人形だとか、戦場後で拾った薬莢だとか…)

オレはその親父のメモを恐る恐る読んで見ると。

『このキャンディは、数年前に東欧で流行ったジョークグッズで、ウイスキーボンボン見たいだけど、中に入っているのは度数五十度のアブソールウオッカだよ』

「みんな!キャンディは食べたらダメだ‼」

オレがそう叫んだ時には…もう遅かった。

「熱い…熱いわぁ〜っ」

そう言って明里が服を脱ぎ出し、四分の三カップの総レースのブラジャーに同じく総レースでTバッグのショーツと云う下着姿になって居た。

突然脱ぎ出した明里に、皆は唖然呆然としてただ見て居るだけだった。

明里の均整が取れた肢体…しかももう処女じゃ無い大人の色香を醸し出してる身体に、遊馬と俊が魅入られた様に見ていた。

(俊のヤツ…あんなに鼻の下を伸ばして明里の身体を見てる何て…胸では負けてるかも知れないけど、オレだってソコソコ良い身体してんのに、この前のラブホで見ただろうに)

オレは何故か俊に苛立ちを覚えた。

更に下着まで脱ごうと明里が手をかけた時、オレは慌てて明里に抱きついて、それを阻止した。

明里の顔は真っ赤になって目もトロンとしていて、完全に酔っ払いて居た。

「マコちゃ〜ん、私カラダが暑いのよ〜」

そう言って明里はオレに、しな弛れ掛かって来た。

「マコちゃんも暑いでしょ〜一緒に裸になりましょよ…あの日見たいにさ」

そう言って明里は、オレの着て居る服を、脱がしにかかる。

酔っ払いの力は以外に強くて、オレはあっと言う間に着て居るワンピースを脱がされて、下着姿になってしまった。

「アハハッ相変わらず、カワイイ女の子ぽい下着を、着て居るわねえ」

明里が、今日着けてるオレの下着を見て、そう言う。

オレのブラジャーとパンティは赤いポインセチアの花柄で、今日のために下ろした下着なのだ。

「でもそんな虚飾は脱ぎ捨てて、真っ裸になって自由になりましょうよ」

そう言って明里はオレに躙り寄って来る。

オレは危機感を感じて後退って居ると。

「クェッケケケケェ〜ッ」

と云う異様な声が聞こえて来た。

皆がその声がした方を見ると、森谷千秋がキャンディの詰め合わせが置いてあるテーブルの前で、俯いて座って居た。

そして頭を上げた千秋の顔は真っ赤で、目は異常な眼光を放って居た。

突然四つん這いになった千秋は、カサカサとGの様な動きで、オレ達の方に来る。

そして一番近くに居た俊に飛び付くと、両手と両足で頭と身体を抱え込む様にして、キスをして来た。

「ムッチュウウゥウゥ〜ズルズル〜チュウ〜〜ウゥ〜〜ウゥッ」

まるで俊の精気を吸い尽くす様な音が聞こえ、俊はその場にヘタリ込んで動か無くなった。

「な…なんだ…このフェイスハガーの様なキスは⁉」

遊馬が恐怖を抑えつつ言うと。

スポンッと云う音と共に千秋は顔を上げると、俊は完全に精気を失い白目を剥いて気絶して居た。

千秋は再び四つん這いになって、カサカサとオレ達の方に向かって来た。

「フ…フェイスハガーだ、エイリアンだあぁ!」

遊馬が叫び、皆んなが逃げ出した。

オレは酔っ払った明里を担いで居たので、少し出遅れた。

カサカサと森谷千秋が迫って来る。

今にも千秋がオレに飛び掛かろうとした時、千葉美波が間に割って入って来た。

「危ない師匠!」

次の瞬間、美波の顔に千秋が貼り付き、異様な音をさせて口を吸い出した。

ぶちゅーううぅうぅーーっ

オレは、何とか美波を助けようとしたが、明里を抱えたままでは無理だった。

這這(ほうほう)の体で廊下に逃げ出して、オレと遊馬でドアを閉めた。

「な…なんだありゃあ」

遊馬が心底怯えた様に言う。

「酔っ払うと、誰彼構わずキスをしまくる人が居るそうだけど…それの超過激版のキス魔と云うところかなあ」

オレがそう推察して言うと。

「キス魔って…ははっ」

遊馬は呆れた様に笑う。

オレと遊馬はドアに耳を付けて、リビング内の音を聴いた。

しばらくガサゴソと物音がして居たが、やがて何の音もしなくなった。

「静かになったなあ、千秋のヤツ正気に戻ったのか?」

遊馬がそう言うが、オレはそうは思わ無かった。

やがてオレと遊馬と酔っ払ってグッタリした明里を連れて、リビングに戻って見ると。

リビングには千秋の姿は無く、千秋の犠牲になった俊や千葉美波の俊も無かったのだ。

「千秋のヤツ俊や美波を連れて何処に隠れやがった。」

遊馬が辺りを警戒しつつ言うと。

「そうだ千秋はケータイを持って居るよね、だったら千秋のケータイに電話をすれば着信音で居場所が分かるかも」

オレがそう言うと、遊馬は空かさず自分のケータイを出して千秋に電話をした。

ピルルルルルルルッ

ケータイの着信音が隣の部屋から聴こえて来た。

リビングの隣は空き部屋で、今は真っ暗な筈だ。

リビングから隣に通じる引戸を開けると、案の定中は真っ暗だった。

手探りで照明のスイッチを探り当てて押すが、灯りは点かなかった。

「ブロックごとのブレーカーでも落ちてるのかな?」

オレは一人語ちる。

暗い部屋の奥から着信音は聴こえて来る。

「この着信音の所に、千秋が隠れて居るんだろな、だったらワイが行って捕まえて来るよ」

そう言って遊馬はケータイのライトを点けて部屋の中に入って行った。

オレも付いて行こうとした時、担いで居た明里が身動ぎをしたので、取り敢えずソファーに寝かせる事にした。

そうやってオレが目を離したら…。

「よせ来るな!」

隣の暗い部屋の中から、遊馬の声が聞こえて来て、そのすぐ後に…。

ぶちゅーううぅうぅーーズズズズッ

と云う何かを吸う音が聴こえて来た。

(遊馬もヤラれてしまったのか!)

そう思ったらオレの心に恐怖が襲って来た。

オレは後退ると直ぐに、ベランダに出るガラス扉に突き当たった。

隣の部屋から、何か黒い影がカサカサと床を這って、リビングに入って来るのが見えた。

オレは恐怖で思わず背を向けるが、ガラス扉にリビング内が写って見えて居たので、どの道影が近付いて来るのが見える。

ガラス扉の向こうはビューウビユーウと風雪が舞っていた。

カサカサと床を這って様に影は迫って来る。

「神さま…オレの幸運の神さま…」

オレはお祈りをしながらその時を待った。

黒い影がオレのすぐ側まで来て、飛び掛って来ようとした時。

オレはガラス扉のカギを開けて、黒い影を(かわ)して外に放り出そうとした。

オレに躱された黒い影は、外に放り出されそうになるが、扉に手をかけて留まろうとする。

オレは心を鬼にして、影を外に押し出した。

ガラス扉を閉めてオレヘタリ込む。

それからしばらくすると、扉の外から声が聞こえて来た。

「マーちゃん、寒いよ開けてよ…」

外の寒さと風雪で、酔いが覚めた森谷千秋が、呼び掛けて来たのだ。

オレは千秋を部屋に入れた。

千秋の犠牲者は隣の部屋で伸びてるのが見つかった。

まったく…とんでもないクリスマスパーティーだったな…とオレは思った。

後で分かった事だけど、親父の送って来たキャンディの中には、ロシアンルーレットの様に一粒だけ度数96度もあるスピリタスウオッカが入っているヤツが有り、森谷千秋はどうもそれを食べた様だった。

兎に角このクリスマスパーティーで分かった事がある、明里と千秋には酒は飲ませてはイケナイと云う事だ…さも無いとまた裸にひん剥かれてキスをされると云う事だ。


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