3 この胸のトキメキは
ピンポーン
オレはバスの降車ボタンを押した。
「次止まりまーす」と言う自動アナウンスがバスの中に流れる。
バス停にバスが着くとオレはバスから降りて周囲を見回す。
辺りには田んぼや畑それにこんもりとした鎮守の森に囲まれた神社が在る何とも長閑な田舎風景だ、しかしその中に不釣り合いな真新しい七階建てのマンションが建って居るのが見えた。
オレはそのマンションに入り最上階にエレベーターで上る。
最上階はペントハウスになって居てマンションのオーナーが住んでいる。
オレはそのペントハウスのドアを開けて中に入ると。
「お帰りなさい」
と言って髪をボブカットにした二十代後半位の女性が奥から出てきた。
「ただいま、恵美姉ぇ」
オレは親しげな笑顔で言う。
「マコちゃんどうだった、昔のお友達に会えたの?」
恵美姉ぇはオレに笑顔で聞いて来る。
「うん会えたよ、アイツ等の高校は今日は一学期の終業式だから校門を見張っていたら出て来るだろうと思って待ってたら、案の定2人一緒に出てきたよ」
オレは広いリビングのソファーに座って言う。
「どうだった、三年ぶりに会ったお友達は?」
恵美姉ぇはオレの前のテーブルに冷たい麦茶を出しながら聞いて来た。
「全然…昔と一緒だったよ…」
オレは麦茶に口を付けながら言う。
「身体は以前より大きくなっては居たけど、俊は相変わらずオタクだったし、遊馬も変わらずバカだったよ…」
オレは苦笑混じりに一つため息を吐く。
「凄く変わったのは…オレだけだったよ」
恵美姉ぇはオレの隣に座ってポンポンと背中をたたいてくれる。
「それで…そのお友達の男の子達とでマコちゃんの例の計画は叶えられそう」
恵美姉ぇは少し微笑んでオレを見て聞いて来た。
「うん、アイツ等となら…出来そうだよ」
オレが確信ありげの表情で言うと。
「良かったじゃない、それでコレからどうするの」
恵美姉ぇが興味深そうに聞いて来る。
「モチロン、この夏休み中にオレの事を昔の男友達じゃ無くて、異性として認識してもらう様に頑張るつもりだよ」
オレが小さくガッツポーズをしながら言うと。
「マコちゃんを見たら殆んどの男の子は可愛い女の子だと思うんじゃ無いの?」
恵美姉ぇが少し訝しがる様に言うと。
「イヤ…どうだろう、アイツ等はオレが男子だった頃を知っているからなあ…」
オレは少し悩む様に言う。
「そう、なら今はマコちゃんはとっても魅力的な女の子だと思わせないとね、可愛いい私の弟……いいえ、妹のタメだもの私で良ければ幾らでも協力するわよ」
恵美姉ぇがオレを応援する様に笑ってガッツポーズをしてくれた。
「ママァ〜」
その時、隣の部屋から小さな子供の声が聞こえて来る。
「あら、奈っちゃんが起きた見たいね」
そう言って恵美姉ぇは隣の部屋に入って行く。
オレも続いてその部屋に入ると、2歳位の女児が子供用ベッドから起き上がって居た。
恵美姉ぇがその女児を抱き上げてあやす様にしてオレの方に来ると。
「あ~っマーちゃん」
オレを見付けて女児が嬉しそうに手を延ばして来たので、オレは満面の笑みでその女児の手を握ってフルフルと揺らす。
「奈美ちゃん起きたんだ」
「マコちゃんしばらく奈っちゃんを見ててくれる、そろそろ夕飯の用意しないといけないから」
そう言って恵美姉ぇはオレに奈っちゃんを抱かせ様として渡して来る。
2歳でぷくぷくした女児の奈ちゃんをオレが抱くと、幼児特有の高い体温とフワッとした匂いが鼻腔を満たして来る。
すると何とも言え無い愛し気で焦れったい様な感情がオレの胸に去来する。
(ああっ…この感じ…この胸のトキメキは…何度味わってもたまら無い)
オレは2歳児の女児を抱いて身悶える…完全に危ない人だった。
「マーちゃん、マーちゃんあそぼ」
そう言って奈っちゃんはオレの顔や胸をペタペタ触って来る。
「うん、遊ぼう!」
そう言って奈っちゃんを下におろして、おもちゃが置いて有る方に一緒に行く。
暫く後マーちゃんと絵本やヌイグルミで遊んで居たオレの所に恵美姉ぇが食事が出来たと告げて来た。
恵美姉ぇと奈っちゃんとオレとで食卓を囲む。
奈っちゃんのご飯の食べ方は、まだまだ拙いので恵美姉ぇが色々手伝っている。
そしてそれをオレは羨ましく思って見ている。
「そう言えば今日は義兄さんはどうしたの?」
オレがこのペントハウスの主の事を聞くと。
「私のハズは今夜は救急外来の当直だから、帰って来るのは早くても明日のお昼頃ね」
恵美姉ぇがちょっと寂し気に言う。
「そっかぁ、大きな病院の医者は大変だねぇ」
知ったかの様にオレが言うと。
「それで、マコちゃんはお友達に異性だと意識してもらうために、コレからどうするつもりなの?」
恵美姉ぇが急に話題を変えてニコニコしながら聞いて来た。
「えっと…早速明日にアイツ等と県営のプールに行く約束をしているよ」
オレはちょっとご飯を詰まらせそうになりながら言うと。
「へぇ、明日はマコちゃんの瑞々しい水着姿を見せてDT男子達を前屈みにさせ様と云うわけね」
恵美姉ぇが食卓の下でオレの足をウリウリと突付きながら言って来る。
夕飯後にオレは明日の用意をして風呂に入ることにする。
脱衣所で着衣を脱ぎ姿見に写る自分の裸体を観る。
三年前は自分の裸が見れ無かった…自分の身体が変わってしまった事が受け入れられ無くて、鏡を見る事を避けて居た。
だけど今は、鏡に写る自分を受け入れている、この円やかな双丘もキュッと締まったお腹に優美な曲線を描く腰回りも…そして隆としたモノの代わりに密やかな渓谷が刻まれた股間も…。
浴室に入って明日のために念入りに自分の身体を磨き上げる、そして湯船に入りお湯で上気した自分の身体を見てオレは思った。
「明日はあのDT男子達を前屈みにしてやるぜ!」




