第1章閑話 その6 検査結果~結希~
続けて、結希の能力について説明されるの。
やっぱり固有名詞が多めなのは、許してほしいと言っていたの。
公開日時の設定を誤ったため、書きなおしたの。
申し訳ないの。
「見るのが怖いけれども……お願いします。表示してください」
そして、結希の結果がタブレットに表示された。
御門祐樹
人間(G計画タイプR-3)
ギフト:剣、折れない力、天属性の適性、美声、美貌、タロット:愚者、正義
ギアス:女顔、遠距離攻撃のマイナス適性
スキル:シンクロニシティ、剣術、歌唱
「信じたくない。ギフトとギアスで、こんなことになっているなんて……」
「相当なものだな。これはさすがに、擁護不能だ」
ギフトとして美貌、ギアスとして女顔であることが、宿命づけられているというのか。
いくら筋肉をつけ、運動していても変化がなかったことに、納得する。
「ある意味、俺と同じだな。純粋な人間とは言い難いようだぞ」
「そうね。この際なので、G計画について説明させてもらうわよ」
舞が行った説明は、にわかに信じがたいものであった。
元々、人の手で神を作りだそうという計画があったらしい。
そしてそれは、ある程度成功してしまったそうだ。
その計画は「A計画」と名付けられ、更なる成功を求めて別の計画がなされたとのことである。
そちらが「G計画」であり、結希と俺はそれによって生み出されたとのことであった。
なお「A」はアリスを指しているようであるが、神を生み出そうとしていたのであるから、恐らく本来は他の神の頭文字であろう。
そして「G」の方は、そのまま「God=神」の頭文字である。
ただしA計画は、G計画に統合されたわけではない。
そのため、並行してA計画も続けられていたというのだ。
結果として、G計画で生まれた者の後に生まれた、A計画の人物も存在しているという。
A計画、G計画共に何人もの候補者を作り、その中から神を選ぶという形であったため、こういうことになってしまったようだ。
今では神崎夫妻や舞の活躍もあり、どちらの計画も完全に断たれているのが救いであろう。
「ちなみに、ぶっちゃけると……私も『A計画』で生み出された一人。ある意味お仲間ということね」
この場にいる3人すべてが、純粋な意味での人間とは言えない存在ということになる。
そこで、俺は重大な事実に気が付いてしまった。
「ということは、舞は誠司と血が繋がっていない?!」
「ご名答。まあ、誠司の親から採取した遺伝子が、計画に使われていたみたい。だから、微妙なラインだけれどもね」
相当、重い事実を知ることになってしまった。
舞自身はそのことに対し、ある程度割り切っているようであるが。
「タロットは、俺と同じように二つ持っているようだな。しかし、どちらも他の人物と被っているようだが、これは一体?」
「それについては、恐らく愚者のアルカナが大きいと思われるの。源みなもと裕司ゆうじからは、愚者のアルカナは検出されなかったから」
他の者たちも調べた結果、愚者のアルカナを有する人物は数人存在するようである。
そして、愚者のアルカナは必ず他のアルカナとセットになっており、セットになったアルカナは別の人物が所持する可能性がある、という結果が得られたようだ。
「ところで、ギフトの『剣』って一体?」
それは、俺も気になったところだ。
剣豪、剣神などの表記ならば、ある程度納得できるのだが。
「多分、剣にまつわる様々な要素が統合されているのだと思う。R-3という番号から、他にも物を冠したギフトを有する人が、いるのかもしれないわね」
結希は、実は幼いころの記憶がないらしい。
引き取られた先で、バグにより両親を失った後、神崎家に引き取られるという経緯をたどったようだ。
もしかしたら、生き別れた兄弟姉妹がいるのかもしれない。
「効果は、かなり強力ね。どんな剣でも使いこなせるし、使った剣を作り出すこともできる。更に、剣に関する技能の習得速度にも大きな補正があるようね」
セイラを演じていた時に、大剣を使いこなしていたのも、ギフトが影響していたのかもしれない。
もっとも、ブレイブ&ウィッシュの中で使っていたという前提もあるため、純粋にギフトだけとは考え難いのだが。
「少し、実験させてもらえるかしら。このナイフを持ってもらえる?」
舞が差し出したのは、クリスナイフであった。
機体搭乗時に使っているものであり、試合での苦い思い出がよみがえる。
「うん―――なるほど。こんな感じに使えばいいのか。『ウインドカッター』!」
「おい、馬鹿!」
いきなり、風の刃が目の前に展開される。
舞がシールドを作りだし、何とか被害を出さずに済ませることができた。
「結希には、魔法の素質なんてないはずだろう?! どうなっているんだ!」
「私の愛用品だからね。このナイフに秘められた力を、使っただけだと思うわよ」
人から渡されたナイフの、潜在能力をいきなり開放することができる。
想像以上にこの『剣』というギフトは、強力な力のようだ。
「ただ、ここで足を引っ張るのがギアスの『遠距離攻撃のマイナス適性』ね。とんでもない方向に飛びそうになったから、少し慌てたわよ」
これは、嫌というほど実感している。
学校の運動能力測定で、投げたボールはいつもとんでもない方向に向かっていた。
また、昔行った施設で行われた「手裏剣投げ」でも、危うく俺に突き刺さるところであった。
遠距離攻撃を行うことに対し、とことん不器用というギアスなのだろう。
「唯一使えない剣は、手裏剣というわけね」
「いや、手に持って使う分には十分使いこなしていた。投げると悲惨なことになるが」
今のところ、結希が使える遠距離攻撃は『飛燕』だけ。
魔法でもやはり、遠距離になると悲惨なことになると判明したのは、ある意味良かったと言える。
「折れない力も、強力なギフトよ。心が折れない限りは、武器も機体も致命傷を避けられるという効果があるみたい」
「何というか、戦闘に特化しているように感じられるな。美貌と女顔は、どこから生えたのか分からないが」
「その二つ、封印することはできないの?」
残念ながら、ギフトやギアスを封印した例はほとんど見当たらない。
人物ごと封印するのであれば、まだ可能性がある。
しかし特定の能力だけを封印するのは、一時的な状態異常はともかく、恒常的に行うことは難しいとされている。
ともあれ、これで俺たち二人の情報が得られたのは大きい。
また、結希は舞のナイフを作成し、風のバリアを形成することも可能になったようだ。
彼は一体どこまで成長するのか、末恐ろしい。
結果は、両親にも共有されるとのことであった。
これから部下として働くのであるから、当然だろう。
ともあれ、これである程度自分自身についての理解ができた。
俺たち二人、いや三人で、研究所を後にする。
「ダビ、これからも頼りにしているぞ」
分かった、と一言、返事があった。
考えてみれば「あいつ」のことについて、俺はあまり知らない。
知ろうとしなかったというのが、正しいのかもしれないが。
これからは、ダビとも交流を深めていくことにしよう。
ギアスで女顔になっているのには、ちゃんと理由があると言っていたの。
第2章のところで、明らかになると思うの。




