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第1章閑話 その5 20XX.3月18日 検査結果~久郎~

主人公たちの、能力の説明回なの。

固有名詞が多いから、覚える必要はあまりないと思うの。

 先日、俺たちの能力を確認するための検査が行われた。

 その結果を聞くため、今日は二人で研究所に向かうところだ。


 家の前に、高級そうな車が止まっている。

 運転席に座っていたのは、舞であった。


「意外だな。運転手を雇わないのか?」

「信頼できる相手が、なかなかいないのよ。守が運転するのなら、安心できるけれどね」


 彼女のような立場だと、敵も多そうである。

 自ら運転する方が安全、という考え方になるのも、仕方ないだろう。


 研究所に到着し、個室に移動する。

 音が漏れないよう、密閉された空間のようだ。

 更に、舞が何らかの器具を作動させ、より機密性を高めている。

 一体、何を言われることか。


「まずは、ヒーロー因子の測定結果を渡すわね」


 ヒーロー因子は、その名のとおりヒーローとしての適性を表すものだ。

 一番下から、C(コモン)(適正無し)、UC(アンコモン)R(レア)HR(ハイレア)SR(スーパーレア)SP(スペシャル)UR(ウルトラレア)LE(レジェンド)の8種類に分別されている。

 これを決めた人物は、間違いなくソシャゲの愛好家であろう。


「僕は、SR! 最高値として、LEまでの成長可能性あり! 凄い結果が出たよ!」

「俺はHR。URまで成長可能とのことだ。限界突破があれば、LEもあり得るらしい」


 この適性は、特にバグとの戦闘において大きく影響する。

 LEは最高レベルであり、両親ですらUR止まりなのだ。

 それでも、ヒーローを率いる組織のトップに立っているということから、LEがどれだけ稀有なものかを想像してもらえると助かる。


「ちなみに私も、URね。さすが神崎家のサラブレッド、凄まじい可能性を秘めているわね」


 なお、一般的なヒーロー見習いはUC、又はR程度のことが多い。

 そういう意味でも、俺たちはかなり突出していると言えるだろう。


「続けて、二人のギフトとギアス、スキルについて測定した結果よ」


 主に先天性の祝福をギフト、逆に不利な特性をギアスと呼んでいる。

 それとは別に、後天性で獲得できるスキルが存在しているという感じだ。


 もっとも、後天的にギフトやギアスを得ることもある。

 ギフト、ギアスとスキルの差は、本人の特性によるものなのか、それとも技術的なものであるかという差で考えたほうが良いかもしれない。


「まずは、俺からだな……うむ。想像以上にツッコミどころの多い結果だ」


 渡されたタブレットには、このように記載されていた。


 神崎久郎、(?)

 人間(G計画タイプX)、(?)

 ギフト:冥属性の適性、天才、美声、タロット:愚者、魔術師、(?)

 ギアス:ADHD傾向、固有名詞の認識障害、囚われた過去、(?)

 スキル:スキルホールド、シンクロニシティ、歌唱、銃、ワイヤー、法律、簿記、プログラミング


 ちなみに、普通はギフト、ギアス共に1つか、多くて2つくらいらしい。

 これだけの数が並ぶのは、それだけでも異常事態のようである。

 しかし、それよりも気になる部分があったため、俺は質問することにした。


「この、(?)というのは一体どういうことだ?」

「それは、あなた自身でも分かっているでしょう。あなたの中にいる、もう一人のことよ」


「あいつ」のことで、間違いないようだ。

 詳細分析を行ったにもかかわらず、このような結果となっている理由はなぜなのだろうか?


「どうやら、(わたし)も覚悟を決めるときが来たようだな。久郎、命名を願いたい」


 このタイミングで「あいつ」が、俺の口を借りて名前をつけるよう願った。

 急な態度の変化に、驚きを隠せない。


「名前と言われても、すぐには決められないが……何か案はないだろうか?」

「可能であれば、冥属性にちなんだ名前が良いと、私は思っている」


 同じ口を共有しているので、独り言で話し合っているように見えてしまう。

 結希や舞は、相当戸惑っているようだ。


「冥属性ね……彼方(かなた)とか、黄泉(よみ)信士(しんじ)なんていうのもあるけれども?」

「舞先生、よくそれだけ案が出せるね。僕は全く、だよ」


 話し合いが続く。

 その中でふと、「荼毘(だび)に付す」という単語が脳裏に浮かんだ。


「荼毘……ダビ。これでどうだ?」

「それが一番、しっくりくるな。分かった。私の名前はダビということで。これからよろしく頼む」


 名前が決定したことで、タブレットの表示が一変した。


神崎久郎、(ダビ)

人間(G計画タイプX)、(フォーリナー)

ギフト:冥属性の適性、天才、美声、タロット:愚者、魔術師 (タロット:節制)

ギアス:ADHD傾向、固有名詞の認識障害、囚われた過去、(精神崩壊の悪夢)

スキル:スキルホールド、シンクロニシティ、歌唱、銃、ワイヤー、法律、簿記、プログラミング


「(?)になっていた部分は、ダビを表していたということか!」


 これで、ある程度はスッキリした。

 とはいえ、疑問がいくつも残るのは事実だ。


 人間の後に記載があるのは、恐らく人造人間であるということだろう。

 フォーリナーについては、あの夢の時に言われたとおりであり、この世界とは別の世界から来た人物を意味していると思われる。

 そして、タロットのところに3種類の記載があり、しかも区切られているところは注目すべきポイントだと思った。


「タロットについては、愚者と魔術師の二つ、そしてダビの方に、節制が観測されたの」


 自分だけで、3種類のアルカナを有している。

 強力なのかもしれないが、不気味さも感じるところだ。


「この、固有名詞の認識障害というのは一体?」

「分かりやすいわよ。ここに、住所を書いてもらえる?」


 言葉に従い、俺は住所を記載する。

 シズオカ県、フジ市……。

 特に問題があるようには、見えないのだが。


「漢字で書かれているのは、結希も分かるでしょう? でも、彼の脳を調べた結果、固有名詞に関してはカタカナで認識しているらしいの」


 説明によると、こういうことらしい。

 目の前に漢字で固有名詞が記載されていれば、それは認識できる。

 そして、自分が固有名詞を書こうとした場合、漢字で記載がされている。


 だが、自分自身の脳は固有名詞を「カタカナ」でしか認識していないらしい。

 変換する部分が、そのカタカナを読み取って翻訳し、漢字で出力している。

 サールの、中国語の部屋という概念に近い状況が発生しているようだ。


「恐らく、あなたを観測している第三者が存在していれば、すぐに分かると思うのだけれども」


 少し不気味ではあるが、あまり問題にはならないだろう。

 また、強いつながりを持つ人物に対しては、このギアスは働かないらしい。

 それよりも、ADHD傾向の方が問題としては大きいのではないだろうか。


「久郎に関しては、こんな感じね。次は結希の方よ」


 俺の方も大概だが、結希も凄いことになると思われる。

 果たして、どんな結果が下されるのだろうか?

今まで地名などがカタカナになっていたのは、このためなの。

これからも、久郎の視点ではこの表記が続くことになるの。

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