表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/46

第1章 第13話 試合~結希~

結希と守の戦いが、始まるの。

技量の差が、戦力の決定的な違いではないと思い知らせるの!

 いよいよ、教師との戦いが始まる。

 選ばれた環境はアリーナ。

 完全な、実力勝負となるフィールドだ。


「あ、データが更新されている。守の戦闘シーンだ」


 試合前の待機時間に、ギリギリ閲覧可能なタイミングでの送信。

 確かに盾を二枚というだけでは、対応は難しいだろう。


「これは、上手いな。一方は武器だと考えたほうが良いだろう」

「普通、支援型と組んで戦うよね。僕一人で、何とかできるかな……?」


 基本的に、右側の盾を武器として扱い、左側でガードしている。

 盾を叩きつける攻撃、突撃による面攻撃、縁を利用した切り裂きなど。

 攻撃手段は、予想以上に多彩であった。


「お前の全力を出してこい。格上の相手だ、遠慮なく力をぶつけろ。それこそ、父と戦うくらいの気持ちで挑め!」

「うん……最後の部分は、あえて聞き流すよ。負けたくないから」


 確かに、結希はまだ父に勝ったことがない。

 これは、失言であった。

 右腕を上げて合図し、結希はアリーナに向かった。


 なお、俺の試験もこのアリーナで行われるとのことだ。

 俺の戦闘スタイルからすると、相性はかなり悪い。

 加えて、エキシビションマッチのためほとんどのヒーロー見習いが、注目するという状況になっているようだ。

 これはもう、いじめだとしか思えない。


「神崎久郎。次の試験に備え、アリーナの方で準備を行いなさい」


 係員の言葉に従い、俺もステージの方に向かうことにした。

 袖の部分で待機し、結希の試合が終わればすぐに出番となるようだ。


 ステージに立っている守の機体は、俺たちと同じディサイプルである。

 しかし二枚の巨大な盾を構えており、非常に圧迫感を感じるものであった。

 結希の機体は攻撃型であるが、この盾を貫くのはかなり困難であろう。

 俺の対戦相手が舞であることも含め、采配ミスとしか思えない。


「うん? あのシールドは……?」


 構えているシールドを、別のところで目にしたような気がする。

 何かの資料についていたと思うのだが……思い出せなかった。


「それでは、御門結希 対 古賀守、試験開始!」


 審判の宣言により、試合が始まった。


 結希の機体から、音楽が流れ始める。

 シンクロニティが使用できないことは、分かっている。

 だが、音楽に合わせて戦う方が、俺も結希も調子が上がるのだ。


 選んだ曲は、「Believe Your Heart」。

 ゲームのテーマ曲で、戦いの激しさと同時に、切なさを感じさせる名曲だ。

 いかにも、結希らしい選択だと思う。


 最初に動いたのは、結希の方だ。

 シールドに向かって、「百舌」を放つ。

 貫通力のある技であるが、シールドにより完全に弾かれてしまった。


 盾を攻撃するのであれば、突きの方が効率は良い。

 打撃や斬撃では、盾自体の耐久力を削りきらなければ、ダメージは与えられないからだ。

 一方、突きであれば盾を「貫通」することにより、相手にダメージを与えられる可能性が高まる。

 そして最も有効なのが、銃による貫通性の高い攻撃だ。


 しかし、かなりの勢いで繰り出した「百舌」が、簡単に弾かれるほどの堅牢な相手。

 結希の使える技で、有効打を与えるのはかなり難しそうである。

 強いて言うならば、「托卵」ならば十分通用するであろう。

 しかし、それは机上の空論でしかない。


「ゆくぞ。『シールドバッシュ』!」


 お返しとばかりに、守の攻撃が結希を襲う。

 この技は、盾を叩き付けるというシンプルなものである。

 しかし攻撃動作がほとんどないため、非常に回避が難しいのだ。


「百舌」の反動で体勢が崩れた結希にとって、これはかなり厳しい。

 直撃は免れたものの、掠った勢いだけでかなり弾き飛ばされてしまった。


 借り物とはいえ、結希向けのセッティングは終えられている。

 ある程度であれば、力技にも対応可能だ。

 しかしこれだけパワーの違いがあると、さすがに不利であることを否めない。


「百舌だとダメ。なら……こういう動きで!」


 結希の機体から、別の技が繰り出された。

 動き自体は「百舌」に近い。

 だが、全力で突撃するのではなく、連続攻撃に変化している。

 一撃の威力は「百舌」に劣るだろうが、手数は大幅に増えており、装甲の薄い相手であればかなり有効であろう。


 ここが、結希の一番恐ろしいところだ。

 きっかけさえあれば、たとえ戦闘中であったとしても、新たな技を編み出すことがある。

 しかも状況に応じて、技の使い分けが可能だ。

 閃いた瞬間に新たな技を使う、だけではなく、ここぞという時まで新技を温存する。

 これに何度、敗北させられただろうか……。


 これに対し、守はシールドの「縁」を利用して切り裂く攻撃で対処してきた。

 剣の動きに近く、攻撃速度は盾であるにもかかわらず、かなりのものだ。

 結希は即座に反応し、一度攻撃をやめてしっかりと回避する。

 動画で流れを知っていたことが、幸いしたようだ。


 その後も、高レベルの応酬が繰り広げられる。

 守が使う技の数は、盾が単なる防具であるという概念を覆すようなものであった。


 攻撃に合わせたカウンターで、攻撃自体を無理やり潰す。

 盾の縁を利用して、連続して斬撃を放つ。

 時には叩き付けるようにして、防御した相手をそのまま吹き飛ばす。

 動画で見ていた動きよりも、更に鋭く、力強いものであった。

 ある時は鈍器、別の時は刃物として使いこなす姿に、付け入る隙は見当たらない。


 対する結希の方は、少しおかしな行動をとっていた。

 突きに固執し、ひたすら盾に阻まれている。

 新たに覚えた「啄木鳥(きつつき)」と命名された技も駆使して、相手を中心として左右に振れながら、何度も攻撃をしていた。

 しかし大型の盾、しかも二枚装備している相手の防御を突破することは、できていない。


「このままだとジリ貧だぞ。どうする?」


 守の言葉通りだろう。

 結希の機体には、数多くの傷がつけられている。

 一方の守は、シールドによって完全にダメージを防ぎきっているのだ。

 時間制限はないが、それだけにこの逆境から、結希が勝つビジョンが思い浮かばない。


「うん、分かっているよ。僕も覚悟を決めないと、ね!」


 結希の機体に装着されている、ブースターの出力が一気に上昇する。

 そのまま結希は、攻勢に出た。


 行動自体は今までと同じだ。

 しかし、そのスピードが段違いである。


 啄木鳥、百舌、更に百舌、そして啄木鳥。

 あまりにも早い連続攻撃に対し、守は的確に防御を続けていた。

 だが、なぜか防御時の音が徐々に変化していく。


 そして、状況が動いた。

 守のシールドに、一気にひび割れが生じた。

 結希はこれを、狙っていたのだろう。


「これでとどめ! 『百舌』!」


 結希が、一気に強烈な突きを繰り出す。

 守はひびが入った盾で防御せざるを得ず、そしてそれは粉々に砕け散った。

 当然、激しい衝撃が腕に走る。

 もう一方の盾を使い、必死に腕をかばう守。

 一気に結希にとって、有利な状況となった。


「そして『隼』! ……あれ?」


 結希の追撃がまさに行われようとしたその時、ブースターが停止してしまう。

 加えて、機体の動きまで停止した。

 非常に、嫌な予感がする。


「エネルギー切れ……あと少し、だったのに……」


 予備の機体であったため、バッテリーが劣化していたのかもしれない。

 静まり返る、会場。

 俺も、ただ見つめることしかできなかった。

何が起きたのかは、次の話で説明されるの。

あと少しだったのに、惜しいの。


選んだ曲は、これまた分かる人なら、大体想像できるものらしいの。

その中のどれを使っているかは、想像に任せるとのことなの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ