表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おしかけ!メリーさん  作者: 隆頭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/47

三十五話 顔合わせ

 アタシは、暗い夜道を全力で走っていた。息を切らして家めがけて走るものの、どうしても遠く感じてしまい足が止まる。

 そしてまたも着信が入り、出たくない電話を出てしまう。


 相手はメリーを名乗る女の声。どこか聞き覚えのある名前と声だけど、思い出そうとすると思考に(もや)が掛かってしまい、答えはでないまま恐怖に襲われる。

 それからも家に向かって走り続けて十分ほどしたところで、ようやく自宅が目に入った。

 とはいえ、住み慣れた我が家も古びたアパートであるならば、今の恐怖心に拍車をかけてしまう。だから家に帰りたくなかったのに、なぜか帰らなければならないと考えてしまった。


 重い足取りで階段を登り、一番奥の部屋の玄関から家に入ると、いつもなら家にいるはずの父親がいなかった。それだって普段ならば気にならないけど、心細い今はそれも苦痛だった。


 自室に閉じ籠って身を隠すものの、暗い部屋では恐怖が増幅するため電灯をつける。恐怖が身体を震わせて、僅かな隙間が気になって仕方ない。

 机と壁の隙間、ベッドと床の隙間、ドアの隙間やカーテンの隙間。もしかしたらどこかに眼でもあるのではないかと、見たくないのに視線が向かう。


 繰り返される着信、意味のないブロック機能。八方塞がりの状況に、ついにその時はやってしまったんだ。

 ベッドの下から伸びてきた手が足を掴み、アタシを引きずり込んだ。そこからの記憶(こと)はすっぽりと抜け落ちたように思い出せず、恐怖心だけが残った。



 ──────────



 芽凛衣(めりい)が帰宅したあと夜ご飯を食べて、二人で風呂に入り身体を重ねて翌朝を迎えた。両親が帰ってくるのは今日の夕方である。


 芽凛衣(めりい)と二人で学校に向かうと、青崎(あおざき)とそのツレ、そして御天原(みてばら)が先にいた。御天原(みてばら)芽凛衣(めりい)にこっぴどくやられたのか、すっかり怯えてしまっていた。

 なにせ、芽凛衣(めりい)を見た瞬間恐怖に染まった表情をしていたのだから。青崎たちのように明確な加害を受けたわけじゃないので、ほんの少しだけ同情してしまう。


「私たちの時間を邪魔したんだから、当然だよね」


 そう言い放つ芽凛衣(めりい)に、俺は素直に頷いた。人の恋路を邪魔するヤツは、ひどい目に遭うということだ。俺も迷惑していたし、小さな同情の域を出ないな。



 すっかり様変わりした彼らに周囲は困惑していた。この前までクラスの中心的存在だったのだから、そのひっくり返るような変化には誰だって首を傾げるだろう。

 彩斗(さいと)もさすがに異変を感じ取っていたようだが、彼らの過去の……というか、俺に対する行いから深く入り込むつもりはないようだ。

 果たして平穏を取り戻した学校生活なわけだが、代わりに変な噂が立つようになった。


"紫崎(ゆかりざき)に関わると心を壊される"


 芽凛衣(めりい)と積極的に関わろうとしていた青崎(あおざき)たち三人がすっかり怯えてしまっていたことで、もしかしたら芽凛衣(めりい)に無視やり関わろうとすると災いが訪れるという説がまことしやかに囁かれるようになったのだ。いや間違ってねぇわ。

 曰く付きどころか曰くそのものなので、彼らの考えは的中である。


 なにせ芽凛衣(めりい)はかの "メリーさん" であり、そんな彼女が本気で手を下すとなれば、それこそ俺に接触を図ってきたあの時のやり方で来るに違いない。

 あの方法は俺でも怖かったからな、それが過激になったとすれば暗闇から襲われたって不思議じゃない。どんなやり方かは知りたくないので、考えることはやめておく。



 芽凛衣(めりい)が転校して以来の、静かな時間を終えて帰路に着いたした。ずいぶんと快適だったのでこれからはずっと、余計な連中に絡まれない日々であってほしいものだ。

 芽凛衣(めりい)と手を繋ぎながら帰宅すると、家には出張から帰ってきた両親がいて、芽凛衣(めりい)はすぐさま二人に頭を下げた。


「お久しぶりです、お義父さんお義母さん!先にお邪魔しています!」


「久しぶりだね芽凛衣(めりい)さん、お義父さんだなんて照れるじゃないか。更斗(さらと)と仲良くしてくれてありがとね」


更斗(さらと)が迷惑かけてないかしら?お付き合いしてくれるのは嬉しいけど、この子で本当に良かったのかしら?」


「とっても幸せです!私こそたくさん更斗(さらと)くんに愛してもらって、感謝しっぱなしです」


 揃いも揃って恥ずかしいことを言って盛り上がっている。迷惑だの幸せだの、色々言いやがってこのやろう。


更斗(さらと)は覚えてる?小さい頃にアンタが仲良くしてた(あかね)ちゃんの妹さんよ」


「え、妹?」


 紫崎(ゆかりざき) (あかね)、長らく忘れていたがその名前は、俺の幼馴染の名前だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ