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追っ手

同盟国に行くために、俺とムツキは東の門に向かって歩き出す。

その門に向かう途中に俺たちは後ろから話しかけられた。


「そこの君。止まりたまえ」


周りに他の人は居らず多分、いや、間違いなく俺達に話しかけられているのが解る。それを無視して、俺は見向きもせず歩く。


「黒髪の少年、君の事だ」


そう言われしかたなく後ろを向く。

そこには金髪の髪をし、気品を感じる貴族が着ていそうな服を着た男が立っていた。腰には左右に三本づつの刀と一本づつの木刀を差している。その横にはその部下と思われる者が一人いる。金髪の男はこちらに爽やかな顔を見せ笑う。


「少年、君は昨日屋敷を放火したそうじゃないか? その事で話がある。私たちと一緒に着いて来てもらえないか?」


男は笑顔のままそう告げる。


「人違いじゃないか?俺たちは兄妹で長いこと旅をしている。ここには今日来たばかりだ」


そう言い、ムツキを連れその場から離れようとする。すると部下らしい男が興奮気味に話す。


「お前たち兄妹と言っても髪色が全然違うじゃないか! それで言い訳したつもりか!」


「兄妹と言っても色々ある、髪色一つで口出ししないで欲しいな」


冷静に俺は話を流す。すると金髪の男が部下に対し話す。


「君、逃亡者は異世界の地から転移されたばかりだという事を忘れたのか? この世界には来たばかりで、家族などいるわけがないじゃないか! これは、大変失礼な事をした部下に代わり詫びる」


俺は金髪の男の謝罪を受ける。


「別に気にすることはない、俺達は先を急ぐので失礼をする」


「……しかし、黒髪の少年君の髪色はこの世界では大変珍しいものだ。まるで異世界から来訪してきた者たちと同じくな。それに銀髪の少女の右手の奴隷契約の魔術痕についても少し尋ねたい。もう一度聞こう、我々と共に来てもらえないか? 出来れば手荒な真似をしたくはない」


 どうやら俺達を逃がすつもりは微塵も無いようだ。俺が転移者という事もこのままいけばすぐにバレるな。それならば、


「ああ、俺はお前達の言う異世界転移者だ」


やはりそう呟くように部下の男が俺を見る。


「だがこの少女は俺とは関係ない、ただのその辺で拾った奴隷だお前達に保護してもらいたい」


ムツキはその言葉を聞くと驚き、そのまま捨てられた子犬のような目でこちらを見つめてくる。俺はそれを無視し金髪の男に返答を聞く。


「……その銀髪の少女の保護は受け入れよう。しかし、君はそれでいいのかい?」


「…………どういう意味だ?」


少女が保護されることは俺にとっては別に構わない。例えそれが少女の望まぬものだとしてもだ。このまま俺と一緒に同盟国に、いや、もしかしたら俺達は同盟国に受け入れられず、そのまま見知らぬ世界で当てのない旅をするかもしれない……。それならここで保護してもらうそれが一番のはずだ。


「この国では、奴隷の主が罪を犯したらその奴隷もその罪を背負うことになる。もちろん、罪に対する罰もだ。放火の罪は死罪となっている。まあ君がその奴隷の持ち主で無ければ何の問題も無いのだがな」


金髪の男は俺にそう告げる。鋭い男だそれに手強い俺はそう感じた。

このままにしていても、俺達は逃げられないのであろう。それに仲間を呼ばれると更に逃げ場は無くなる。


仕方がないか……。


「……保護の件は無かったことにしてもらいたい」


俺がそう言うとムツキは何時もの顔で嬉しそうにする。


「……それでこそだ! 少年!」


金髪の男は俺に向けて腰に差してある木刀を一つ投げ渡す、俺はそれを受け取らない。木刀は地面に音を鳴らし落ちる。金髪の男は腰にあるもう一つの木刀を自身の手に持つ。


「どういうつもりだ?」


俺は訳が分からず聞く、金髪の男は少し嬉しそうに言う。


「少年! 君は剣で戦ったことは有るか?」


「一度もない」


「それでも構わない、その木刀を持ち、構えたまえ」


俺は少し考える。この状況を変えるには仕方ないか……。


「ムツキ少し鞄を持っていてくれ。そのまま隙を見て逃げてもいい……」


小声でムツキに話かける。そのまま鞄を下ろし渡す。


「…………私は……どこまでも……ご主人と」


「わかった」


俺は落ちている木刀を拾い構える。


「……いい。とてもいいぞ! 少年!」


 金髪の男はとても嬉しそうにしている。

それに対し俺は不慣れに木刀を構えながら男に接近した。

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