眼とか鼻とか色々ヤバいの
ヤツらはそこら中に蔓延っている
「あー」
『どうしたんだい、アヤメ?』
「春かー」
まるで冬眠でもしていたかのような深い眠りから目覚めると、そんな気分になった。
それもそのはず、季節は冬を過ぎて春になっていたから。
寝巻きのままで布団の中がちょうど良い温度というのは素晴らしいもので、包まれるような感覚は身を預けたくもなるのは当然だった。
ただ、
「私この季節あんま好きじゃないんですよねぇ」
『春といえば、命が芽吹く時期だろう? それのなにが嫌なんだい?』
「いや、今だと気にしなくなってきたんですけどね。昔、花粉症だったんですよ」
『花粉症?』
「ええ」
本当に、アレは酷かった……。
春先になれば手放せなくなるのはティッシュ。それもポケットなんてちみっこいのじゃ駄目だ。箱、箱じゃないと本当にアレはアカン。あとは眼とか鼻とかの処理を終えたティッシュをその辺に捨てることも出来ないから袋も必携。面倒だったのは折を見て捨てなきゃいけないことでしてね、えぇ、それを怠ると本当に酷いことになるんですよ。あぁ、ちょっと鳥肌立ってきた。
「ともかく、人間は自分の外敵が身体に侵入してきたらそれを追い出そうとしたりするために勝手に働く機能があるんですよ。それで、多くの人は特定の木から出る花粉が眼や鼻に入るとそれを花粉が外敵だと判断して涙やら何やらと分泌されるわけで、それが酷いと私生活もまともに送れないんですよ」
『不便なものだね、人間は』
「まぁそうですね。不便ですよ、人間は」
まぁそういう意味では、どっちつかずの気候である秋のほうが好きである。ただ、花粉症も春型と秋型があるらしく、秋に発症する人もいるらしいんですがね。
「だからまぁ、ほとんどの人はそういった風になりたくないんで、花粉が出るよりも早いうちに病院いったりして対策をとるんですけどね」
『ふーん』
「まぁ、ポメちゃんには関係の無い話ですし、今の私にも関係の無い話ですので気にすることでもないんですよ。んー、さってっと、こんないい天気ですし、もう一眠りしますかぁ」
『あ、そこは寝るんだ』
えぇ寝ます。何せ眠いんですから。
ぐっすりですよ。
春眠ですよ。
本当に大変な季節です。
心当たりのある人は病院いきましょう。
のみ薬とか点眼薬とか点鼻薬とかが面倒なら、多少は値が張りますが注射とかもあるそうですね。
……くしゃみがとまらないそんな日々