決着は今(リーヴァ視点)
「リーヴァ!やめてぇぇぇぇ!!!」
ルビナ王女のその声が聞こえたが、もう...遅かった。
俺は命を懸けた最期の力を出し切る。
もし、この状態に名前をつけるなら、極限鬼人化。としておこう。
(最優先はエルフ...)
まずはルビナ王女の安全を確保しろ!
俺はエルフを倒すべく先程よりも早く、初代達に向かっていった。しかし、命を懸けた極限鬼人化も代償が大きすぎる。
きっと、この状態を維持できるのは5分もない...そして、動く度に自分の体を破壊していく。肉体がこの力についてこれていない。
師匠は俺に反応して剣を合わせるが、今の俺にはそれに打ち勝つ強さがある。俺の剣圧に師匠は少し飛ばされた。
その隙を狙いエルフを蹴り飛ばして、宮殿の外に出した。
俺はそれに追撃するべく、後ろにシャーロットと師匠がついてきてることを確認しながら、外へと出た。
「なんて威力...本当にお兄ちゃん以上...」
ツタによって守られたエルフはまだ動けるだろう。シャーロットと師匠が来る前に終わらせる。
無数のツタと悪魔10体...ツタを掴みながら悪魔をそれで縛り上げていく、そして縛り上げた5体を一瞬浮かし、その間に再生不能な傷を与えた。
切り分けられた悪魔の体は再生することなく、落ちていく。だが、想定以上に早く、シャーロットと師匠が来てしまった。
「羅刹以上とは本当でしたか」
「こいつエフィから狙って王女を逃がそうとしておる」
俺の目的はバレてしまっている。
「だからと言って、止めれるわけないだろう」
身体能力は完全に俺の方が上になった。純粋な力で押し切ってみせる。
俺は師匠とシャーロットを完全に無視して、エルフへと向かっていく。
「さすがに舐めすぎじゃ。リーヴァ!」
師匠が横から俺を狙ってる。
その振り下ろされた一刀を自身の刀で滑らせ、体を回転させる。進みながら逆方向にいるシャーロットに対して、師匠の剣をぶつけに行く。
「なんじゃと」
「強いですね」
シャーロットは師匠の剣を受け流したが、足が止まった。
そして、それは師匠も同じ、俺はエルフの左前に踏み込み、剣を振るう。
「喰らわない!」
エルフはツタを出して俺の攻撃を防ごうとした。
しかしエルフのツタは全方位を守っているわけじゃない。それで自身より早い相手に視界を遮っているんだ。
「エフィ!後ろじゃ!」
「えっ!?」
師匠は見えていたが、もう遅い。俺はツタでエルフの視界が切られた一瞬で、そのツタを飛び越えて後ろを取っていた。
そして俺の剣はエルフの背中を完璧に切り裂いた。
「まだ浅いか」
「本当に...」
そして師匠が入れ替わるように、エルフの前に出てきた。
「強くなったが、まだ見えておるぞ!」
師匠との剣の打ち合いはさっきやったばかり。
俺の剣筋が見えているなら、さっき見たく完璧に躱されるだろう。だからこそ、師匠に勝てる。俺の一刀を師匠は完全に見切っていた。
そして、師匠は反撃に出ようとして気がついた。師匠の胸が切り裂かれている事に。
「何故...いや、お主!」
師匠はこのからくりに気がついたようだ。
俺は完璧に読まれることを分かって、持ち方を変えていた。
師匠を斬る直前に持ち手のギリギリまで手を下げることで、師匠の見切りより長い攻撃範囲になっていたのだ。
「目が良すぎるとこうなるんだ」
師匠に追撃を飛ばそうとした瞬間、師匠の後ろに隠れて見えなかったシャーロットが一瞬見えた。しかし、気づくのに遅れてしまった。
「貰います」
その長剣の突きは再び俺の腹を貫通してしまった。
「...だから、どうした」
俺はその状態から剣を投げ飛ばして、エルフの心臓へと命中させた。
「嘘...見えて」
エルフのいた場所は俺の右斜め後ろ、右目を失っている俺には見えないはずの場所だった。
「聞こえていた」
「ふふっ、お姉ちゃん、お兄ちゃん、この子強いよ」
そう言ってエルフは動かなくなった。
(これで、ルビナ王女は逃げれる)
ここからは勝ち負けなんて関係ないが、勝っておかなければ、示しがつかないだろう。俺はルビナ王女の専属騎士なんだから。
だが、予想以上の攻撃と動きに俺の体は悲鳴を上げ続けている。師匠を蹴り飛ばし、一旦後退する。
先程刺された腹の傷のせいで血が逆流し始めてしまった。俺は血を吐き捨てながら、エルフへと突き刺した剣を取り、残っている二人を見た。
師匠を倒せれば勝ちだが...師匠は俺の技をもう見切るだろう。
ならば狙うべきはシャーロットだ。あの能力さえなければ、師匠にも今より楽に勝てるはず。やっと1対2...まだ勝てる。
さっきから心臓が張り裂けるような鼓動が鳴り止まない。全身が溶けていくような感覚.......限界が近い。
俺は剣の持ち方を変えて、シャーロットに向かっていった。
もちろん、それを許す師匠では無いだろう。だが、俺はあえてそれを完全に無視した。俺の目的はあくまでもシャーロット。
俺は全力をかけた斜めからの一刀をシャーロットに振り下ろした。
しかし、そんな単純な攻撃をシャーロットも許すわけじゃない。振るった一刀に長剣を間に入れることで、防がれた。
そしたら師匠の攻撃が飛んでくるはずだ。
「後ろががら空きじゃ」
「わざとですよ。師匠」
俺はそれを分かっていたからこそ、躱しやすいように攻撃をしかかけていた。
それを躱せば、師匠の剣の先にいるのはシャーロット。当てはしない。
だからこそ、生まれる隙を俺は見逃さない!
剣が止まり、全ての動きが止まるこの一瞬!
俺はシャーロットの首を両断するために、再度両手で全力の横なぎをした。だけど、分かってる。
俺があれを使えるように、師匠があれを使うことくらい。
俺の剣がシャーロットの首を捉える直前、師匠の剣はいきなりその軌道を変えた。
「すまんな、リーヴァ。これで...終わりじゃ」
そして、師匠の剣は俺の右腕を綺麗に切り落とした....
(ははっ、やっぱり強いなぁ師匠...でも)
「両腕切断できなかったですね、師匠ぉぉぉ!」
俺はあの時、剣の持ち方を変えていた。右手は添えていただけ!だからこそ、左腕を切られなかったから、この剣は止まらない!
「羅刹さえも出し抜くとは....お見事です」
そう言い残して、シャーロットの首は地面へと落ちた。
「まさか...斬られる前提で」
「師匠相手に...無傷なんて...無理に決まっているでしょう」
たとえ、身体能力で師匠に勝とうとも、師匠に技術で勝てるわけ無いんだよ。だって俺の技は...師匠のものなんだから。
(これ以上の出血は動けなくなる...)
流石に血を流しすぎている俺は、満身創痍と言っても差し支えない。
「これで終わりです...師匠!」
俺は師匠の命脈を経つべく、最期の勝負を仕掛けた。
師匠との打ち合いはこの状態でやっと互角...どちらも傷を負いながら、俺はあえて隙を見せた。
「わざとじゃろう?」
「どうでしょうね」
このわかり易い罠にかかる師匠では無い。だからこそ、少し前に倒れかけた状態から師匠に斜め下からの一閃。
これは師匠の意識外のはずだ。
だってこの状態じゃあ、俺は師匠の攻撃を...躱せないから。俺の予想通り師匠は俺に対して斬撃を仕掛ける。
それと寸分違わず同時、全く同じ攻撃を俺は師匠にすることで、お互いの胸がバッサリと切られた。だけど、俺の方が深く切り裂けた。
それにお互い血を吐きながら、膝を地に着けた。
「お主...本気で」
「これが...俺の最期の一刀...」
(ルビナ王女、貴方の世界に私のような人間は要らないでしょう。貴方が作るのは平和な世界だ。その世界に武力なんて...いらない)
俺は師匠と最期の剣を合わせた。お互いがすれ違った瞬間に放った横なぎによって、お互いの腹は裂けて、地面にころがった。
「見事じゃった...リーヴァ」
「ここまでして...やっとです...ごふっ」
血が口から出ていく。身体が軽くなっていくような感覚、何も感じなくなっていく。
それでも感じれることと言えば...
(寒い....)
もう死ぬという事だけだった。
それでもやっと...師匠を打ち倒せた。
これで、パラシアスは取り戻せた。




