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無能力の王女の専属騎士は最強の鬼人  作者: もぶだんご


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騎士の覚悟(ルビナ視点)

 シャーレはまだ互角の戦いをしている。


 だけど...


「鈍っていますね」


 少しずつ削られている私は、シャーロット様に追い詰められてしまっている。


 痛みで鈍り出した私の動きはシャーロット様に、簡単に捉えられてしまい、また1つ、また1つと確実に手傷を負わされている。


 しかし、依然リーヴァと羅刹様の勝負は付かない。


「それでも!負けられないの!!」


 私はレイピアに刻まれている力を使って、互角以上の戦いに持っていった。


 それでも、有効打を与えることはできずに、自分に反動が返ってきて、苦しむことになるだけだった。


 そして、私は絶対に避けられない一刀を目の前にしている。反動で動きが止まった一瞬で、私はシャーロット様に勝負を決められそうになった。


「ルビナ様!!!」


 シャーレの声が聞こえたけれど、私にはこの状況がゆっくりと見えていた。

 まるで、死ぬ前というかのように。


(こんな......ところで)


 結局、私は王になれなかった。せっかく付いてきてくれた人達がいるのに、何もさせて貰えなかった。

 私が諦めかけたその時、私とシャーロット様の間にリーヴァが来ていた。


 そしてシャーロット様の長剣は私の目の前で、止まった。その光景は見たくなかった。


 私を救うためにリーヴァの体を貫通した長剣が、反対側の私にまで見えていたのだから。


「リー....ヴァ」


 そしてその長剣が引き抜かれると同時に、傷だらけのリーヴァは私に倒れてきた。


 よく見れば右目が切り裂かれて、見えなくなっている。シャーレも私を救うために走っていて、私達は最悪の形で合流した。


「ルビナ王女...生きて、ますね」


 息も絶え絶えなリーヴァはそんな状態でも、私を心配していた。


「そんな事より!リーヴァが」


「リーヴァさん...」


 シャーレもこの状況を受け入れられていない。いや、受け入れた瞬間、負けが決まってしまう。


「シャーレ様、エルフと互角に戦えるなんて...成長しましたね」

「そんなことより、早く手当てを!」


 それでもリーヴァは言葉を続けた。


「ルビナ王女も見違えるほど、お強くなれました」

「貴方が...鍛えてくれたからよ」


 そしてリーヴァは私達を真っ直ぐに見ていた。


「時間を貰ったのに、勝てなくて申し訳ございません」


 リーヴァが血を吐きながら、言葉を紡ぎ、私たちは理解してしまった。


 もう、負けるんだと。

 結局、リーヴァが居なくなっては勝てるわけも無かったのだ。どれだけ精神的に成長しても、結局リーヴァが私達の強さだった。


「もういいの、喋らなくていいの」

「ルビナ王女、シャーレ様...ユグラスに、すまなかったと伝えてください」

「伝えるも何も...」


 リーヴァはこの状態でも剣をつきながら、立ち上がった。でももう、貴方が傷つくのを見ていたくない。


「ルビナ王女、貴女の夢も、理想も全てを叶えます」

「リーヴァ?」


 その時、リーヴァの後ろ姿は私を守って能力を発動させた時と同じようなものだった。


「私は貴女の専属騎士になれて幸せでした」

「何を言って...」


 そしてリーヴァはその剣をシャーロット様達に向けた。


「リーヴァ、それは無駄な抵抗だと分かっているじゃろう」

「私は貴女方を傷つけなくは無いのですが...」


 シャーロット様たちも分かっている。


 もう、私達には何も出来ないと。だけど、リーヴァだけは無駄な抵抗だと考えていなかった。


「私が、パラシアスの...世界の...ルビナ王女の理想の...礎となろう」


 礎?何を言っているのだろう。リーヴァは何をするんだろう。


「まさかお主!」


 羅刹様が声を上げた瞬間、リーヴァから今まで感じたことの無い圧を感じた。


 そして、リーヴァの額には羅刹様と同じ...いや、羅刹様とは少し違う、赤いツノが生えていた。

 そして深紅の髪へと変化していた。


「シャーロット、エフィ。あいつは...ワシを超える鬼になった。気を抜くなよ」

「羅刹を?」「お兄ちゃんを?」


 この場で状況を理解出来ているのは、羅刹様とリーヴァだけだった。


「ルビナ様も手当てを」


 シャーレは私の傷を破いた服で隠していくが、リーヴァは何を...


「リーヴァ、お主...死ぬぞ」

「分かってますよ。師匠」


 今、羅刹様がリーヴァが死ぬって...

 私はそれを聞いて声を張上げた。


「リーヴァ!やめてぇぇぇぇ!!!」

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