第63話 守秘義務
注意!!
この回も前半は前回の続きです。
不適切な可能性がありますので、そちら系が苦手な方は飛ばしてください。
「歯ブラシはあんのか?」
「あります、あります」
洗面所は脱衣所にあるため、歯を磨いていると浴室内の声が響いて聞こえる。
「ここはね…こう」
「あっ…」
美香の色っぽい声に、思わず歯磨き粉を吹き出しそうになって、口をおさえた。
『ぶふっ!』
盗み聞きがばれるとまずい。
そ~と脱衣所を脱出して、台所で磨いた。
「ふ~ 」
「そろそろ出るわよ~」
お姐さんの声が響く。
あ~ 何だかどきどきする。
「お兄さんは、寝室で電気を消して待っててね~」
それって、普通は逆じゃないのか?俺がベッドで待つの?
そんな疑問に答えない竹内が、俺を寝室に押し込んだ。
「いいですか? 電気を消しますよ? いいですか?」
「くどい!」
そう言って、ベッドに入ったが、俺は女性の右側に身を置きたい。
だが、このままでは逆になるな~と考えていたら、バスタオルに身を包んだ美香がドアが開けて入って来た。
ドアが閉まり、再び部屋が暗くなった。
俺はベッドから出て、彼女を迎えにいった。
「大丈夫? 見える?」
そばに行って、彼女の差し出す両手に俺の体が当たったところで止まった。
一瞬引っ込んだ手が、再び俺を探しあて、ゆっくりと抱き合った。
「あたたかい」
「高橋くんも…」
そして、美香を包むバスタオルをはぎ取った。
今度は彼女のお胸が、俺の胸に直接当たる。
「ああ、気持ちいい」
そう言って、彼女のおしりを撫でる手を、徐々に上に。
左手だけ彼女の後頭部を支えるように手を添えて、初めてのキスをした。
そのあと、ふたりでベッドに入り、上から順番にキスをする。
口、首、鎖骨、脇、そして左胸、右胸…。
彼女の全身にキスをしまくった。
さすがに格闘家か?と思わせる腹筋であった。
真っ暗のままの抱擁だった事もあり、彼女とはゴム無しだったが、既に2回暴発していて、きちんと制御できる圧力だった。
外に出した直後でも萎える事がない…また彼女の中にそっと入れた。
寝室には誰も来なかったのだが、翌朝、この部屋に誰もいない事に気が付いた。
そしてもうひとつ、朝から彼女を抱き締めて、体中が傷だらけな事に気がついた。
ほぼ、切り傷なのだろう。
彼女は小さな頃から拳法を習っていたそうだが、京極家に出入りしている父に連れられて、彩花のそばにいることが普通の事だった。
そんな12歳、小学校からの下校時に、中学生らしき人達に、近所の空き地に連れて行かれた事があったそうだ。
彩花はおとなしくしていたが、美香は立ち向かった。
その時は、本当にボコボコにされたそうだ。
そして、そのうちの一人が持っていた小刀で、美香の身体を切り付け、痛がる姿を見て喜ぶ変態趣味の男の子だった。
まるで何かの映画を真似るように、お腹や太ももなど外からは見えにくい所を浅く3㎝ほど切られ、血まみれになった。
おそらくだが、故意に傷跡が残るように、真皮細胞まで届くように切られたのだろう。
彩花は、リーダーらしき少年から手紙を預かっていた。
その事が切っ掛けで、彩花は美香を大事にして、美香も彩花を大事にしてきた。
後に、勝田の父の働きで、変態少年は足が不自由になるほどの目に会い、殴り込みの抗争に発展して決着したのだ。
今日で終わりだとでも思っているのか、美香は泣けるだけ泣いて、俺に抱きついていた。
「な~ 俺の愛人にならないか?」
「えっ 愛人って、都合のいい女って事?」
「そうだ。最初から結婚なんてしてないなら、分かれる必要もないし、気の合った時には、いつでも会える。どうせ美香は彩花から離れられないだろう?でも自由な時間が出来たら、俺に会いに来ればいい」
「俺は、美香が好きだ」
また泣きそうな顔をしたが
「俺は腹が減った~ カップ麺でも食べたいんだ」
「あ~ 私も」
まだ朝7時前だ。
電気ポットにお水を入れて、スイッチON。
おにぎりが1個あったので、ふたりで交互にかじる。
歯を磨き、髪を整えて、昨日の制服のまま、学校に行くことになる。
準備が終わったところで、再びキスをする。
美香のおしりは本当に俺の好みの大きさだ。
「あ~ だめ~ したくなっちゃう」
「そうだな、学校へ行こう。でもここってどこ?」
「大丈夫。私電車で来たから」
美香と一緒に学校へ行った。
学校に入る前までは、引っ付いて電車に乗り、手をつないで歩いた。
朝早かったので、他に生徒の姿はなく、当然、教室には1番乗りだった。
この姿を監視カメラで見た郷田課長は、勝田美香の表情から、俺たちの事を察したらしい。
この日、理事長室の昼食会に呼ばれてしまった。
最初は稲葉設備建設の工事日程表の確認だったのだが、最後に
「郷田課長から勝田美香さんとの2ショット映像の件、報告を受けました。恋愛に関して干渉するつもりはありませんが、校内では高校生にふさわしい行いを心掛けてくださいね」
「あっ!干渉はしないが、鑑賞はするという事か… 郷田、覚えてろよ!」
「ええ? 俺はただ…」
「いいか、上司と理事長との中立を破ると、その代償は高くつくぞ! それとな、監視カメラ映像は犯罪抑止の目的でのみ、利用されるべきものだ。警備保障の講習会をもう一度受け直せ。これは業務命令だ」
「高橋くん、これは単なる冗談なのに、郷田さんが可哀想よ」
「まだ分かっていないようですね。例えば、この学園に通う政治家の息子や、京進証券の嵯峨里美のプライベート映像が週刊誌に載ったらと…想像してみてください!とんでもない事になりますよ!」
「えっ…」
「これから郷田課長に部下を付けようと話をしていた矢先にこれだ。郷田課長!要するに、あなたは脇が甘いんだよ。逆に言えば、上司である理事長や俺から聞かれても、『防犯上の情報以外は何も話せない』ときっぱりと言い切るぐらいでないと、簡単に罠にはまるぞ!」
「なんなら今日と同じく、誰もいない早朝に、俺が誰かと手を繋いで登校しようか? 万一、その情報が俺の耳に届いたら、郷田課長、あんたは管理不足と守秘義務違反として解雇処分になる」
「理解できました、すみません。肝に銘じます!」




