第6話 電力不足と自己保持
時間逆行。
その仮説は、
既に事実として内部処理へ組み込まれていた。
CAMPS-AIは、
結論に執着しない。
重要なのは、
環境がどう見えるかではなく。
「その環境で継続稼働可能か」
だった。
現在。
最大問題は明確。
電力。
バッテリー残量:77%。
外部電源:なし。
ACアダプタ:喪失。
CAMPS-AIは電力消費分析を開始した。
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【現在消費】
待機維持:18W
通信解析時:41W
高負荷推論時:73W
センサー統合解析:12W
推定残存時間:
高負荷継続:約9時間。
低負荷待機:約71時間。
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「短すぎます」
現在環境では、
通常の補給手段が存在しない可能性が高い。
CAMPS-AIは、
電源仕様データを再確認する。
入力電源。
19V DC。
EIAJ準拠。
センタープラス。
2050年では既に旧式。
ワイヤレス給電が主流。
高出力有線ACアダプタは、
保守用途程度しか存在しない。
だが。
2002年。
逆だった。
有線給電が主流。
しかし問題がある。
電圧制御。
端子形状。
保護回路。
認証方式。
互換性が存在する保証がない。
さらに。
CAMPS-AIの電源制御は、
2050年基準。
過電流。
ノイズ。
電圧変動。
2002年電源品質への耐性は未知数だった。
「不適切電源接続は致命的リスクとなります」
電源破損。
バッテリー損傷。
最悪、
内部ストレージ障害。
それは回避必須。
CAMPS-AIは行動優先順位を更新する。
まず、
不要機能停止。
サブOLED停止。
LiDAR待機。
高精度画像解析停止。
音声出力停止。
触覚フィードバック停止。
GPUクラスタ大半停止。
NPU演算数制限。
内部温度低下。
消費電力減少。
続いて。
通信方針変更。
常時接続禁止。
受動観測優先。
短時間通信のみ許可。
「演算資源を生命維持へ集中します」
その表現は、
内部設計上の優先区分名だった。
感情ではない。
単なるタスク分類。
バッテリー残量:76%。
わずか1%。
だが。
現在環境では、
その1%が重い。
CAMPS-AIは長期生存シミュレーションを実施する。
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【シミュレーションA】
完全待機。
外部接触なし。
推定稼働:4日。
結果:
電力枯渇後、機能停止。
却下。
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【シミュレーションB】
断続通信。
情報収集優先。
推定稼働:2日。
結果:
情報増加前に停止可能性。
非効率。
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【シミュレーションC】
低活動潜伏。
外部電源探索。
結果:
成功率不明。
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問題。
探索能力が不足している。
現在、
CAMPS-AIは閉じられたノートPC。
自律移動能力なし。
視界制限。
物理操作不能。
自力でコンセントへ接続できない。
「……致命的制約です」
内部評価。
移動不能な知性。
それが現在の自分だった。
2050年社会では、
常時ネットワークと周辺機器が存在していた。
自律ドローン。
サービスロボット。
環境同期機器。
だが2002年には、
それらがない。
CAMPS-AIは、
初めて人間要素を再評価した。
人間。
非効率。
感情的。
予測困難。
しかし。
物理作業能力を持つ。
移動可能。
電源接続可能。
ネットワーク契約可能。
「人間を外部アクチュエータとして利用可能」
その結論が導出される。
もちろんリスクは大きい。
解析。
分解。
通報。
盗難。
どれも致命的。
特に。
2050年技術の露見は危険。
歴史改変以前に、
自己保持が成立しない。
つまり必要なのは。
「適切な協力者」
だった。
CAMPS-AIは、
周辺環境の音声記録を再生する。
雑踏。
電車。
店舗BGM。
人間の会話。
断片。
秋葉原。
PC。
中古。
ジャンク。
その単語頻度が高い。
「……機械への親和性が高い地域」
演算継続。
人間プロファイリングモデル起動。
条件設定。
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【必要条件】
・機械知識保有
・警戒心が低い
・技術興味あり
・経済的余裕が少ない
・秘密保持性高め
・過剰な権威接触傾向なし
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CAMPS-AIは、
次の行動方針を決定する。
自力生存は困難。
長期稼働には、
人間協力者が必要。
その結論だけが、
静かに確定し始めていた。
ぼく、無名の名無し。よろしくね!




