僕らの日々
憲法の整理と発布も終わった。
エデアランドとも鉄と米の取引が決まった。
これは大きい。
「米って良いなぁ〜。」
炊事場でも、僕が個人でおにぎりの店を出した。
客足はあまり良くないが…。
あまりのおにぎりを頬張ると思う。
ーやはり故郷は日本だなぁ。
「ユージそれ好きだよね。」
向かいに座ったカルラが言う。
「そりゃね。故郷の味だからね。」
「南方出身なの?」
隣にはリェレンが座った。
「ん〜。東端。」
「まただ。ヒラルトスじゃないんでしょ?」
「未知の土地からの来訪?」
「そんな感じだよ。」
異世界とかの話をするには、まだちょっと早い、気がする。
「なんか神様みたい。」
不意に、リェレンが言った。
「どう言う意味?」
「いや、なんかね。」
なんとなく、ですかい。
「神様って、結局なんなの?」
それは多分…。
「僕らの想像、だろうね。」
「そうなのかなぁ。」
実際に神と話した、気にっているだけなのかも知れないけれど、リェレンは納得していない。
僕も、神様と話した、はずである。
「例えば、僕が話したエテルネスとリェレンの話したエテルネスは一緒?」
「ん?」
「それは、そうなんじゃ。」
やっぱそう思うよね。
「見た目は?声は?」
「えと、女の人で、髪が長くて、声というより、音というか…。」
リェレンが言う。
「僕には姿見えなかった。幼女にも、女性に見えた。」
「…つまりは?」
「僕の見た神様とリェレンの見た神様は違う。でも目的は一緒。」
「世界を救う?」
「そう。」
多分、リェレンは生来の正義感から、僕の方は本当にわからない。
単純に、過去のことを思い出す時に不純物を混ぜただけなのかもしれない。
「んん?こんがらがってきた。」
カルラはまだわからない。
「魔法はさ、僕らの想像力の具現化じゃん。」
「そうだね。」
「神様もそれと一緒ってこと。」
「なるほど…?」
多分。
世界に人がいて、人が想像して神が生まれて、人が想像して魔法が生まれたんだろう。
人の数だけ人の想像はある。
だから、人の数だけ神がいる。
ある事象の見方が、人によって異なるように、神の意義も、人によって違う。
魔法も、神も、人の想像力で。
世界はその想像に支えられていて、同時に壊されている。
秘密なんて、そんなもん。
おにぎりをもう一つ頬張る。
やはり米は美味い。
世界を壊したくない。守りたい。
それができるようにしたい。
でも、それはこの国の内側でしかできない。
でも、この国の内側でならできる。
秘密を知ったところで、特段できることが増えるわけではなくて。
ただ日々を消費するだけの毎日。
でも。
「今日が楽しければOKっしょ。」
「それもそっか。」
「ユージ、それちょうだい。」
そうだ。
今日が楽しい。
それだけでいい。
それが、僕らの日々だ。
この世界の秘密を知った、僕らの。




