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これからの世界

 旧エテロネア帝国領。現革命軍領トゥラグス。


教会の聖堂、そのベランダ部分に3人の英雄が立っていた。


帝国政府の不法統治を打倒し、新たに神の血を継ぐものとして新たな国の建国を宣言する。


集まった群衆は、そんなことを想像している。


世界は動く。


誰かが動かす。


そしてそれを知っている人は限られている。


先頭に立った少女が息を吸って、一歩踏み出す。


群衆の歓喜の声。


みんなの笑顔。


「皆さん。」


少女は、静かな調子で続けた。


「世界の話を、させてください。」


 ♦


そのあと、彼女が語った話を、民衆はどう思ったのだろうか。


教会とは何だ。


神とは何だ。


魔法とは何だ。


沈黙だけが続いた。


リェレンは、その沈黙を破る。


「魔法なんというものは、人の想像の結晶にすぎません。」


民衆の視線は、まだ戸惑いを抱えたまま、こちらに向いている。


「なぜ火と水の魔法だけしか使えないと、そう思ってしまうんですか。」


リェレンは手を前に出した。


「魔法は、想像。それを形にすれば、それが魔法なのです。」


空に、虹がかかった。


人々は声を上げる。


「この力は、世界には負担が大きすぎる。」


騒ぐ民衆をなだめるように、リェレンは言った。


「私から、世界を救う英雄としてのお願いはただ一つ。」


「魔法を、一切使わないでください。」


民衆の間にどよめきが広まる。


「この想像を現実に移す力は、私には説明できない。神がこの力をもたらしたのであれば、あまりに不完全すぎる。」


不完全。


そうだ。


最初から魔法は不完全だった。


僕が使えばひどく体調が狂うし疲れてしまった。


世界もまた同じだった。


「それでも、」


リェレンは続けた。


「それでも、神がいたっていいと思う。この世界にあふれる奇跡は、魔法だけじゃない。あなたの隣にいる人が、どうして隣にいるのかさえ、私たちには説明できない。」


どうやって僕ら三人が集まったのか。


それは、確かに神しか知らない。


「神がいたっていなくたって、あふれる奇跡を忘れないでください。今隣にいる人と、手を取り合って生きてください。」


誰一人として、リェレンから目を離せない。


疑いも、怒りも、憎しみもない。


ただ、彼女の言葉を待っている。


「あなたの思う神に、あなた自身の心で従ってください。私はそうして生きていく。あなたも、あなたで生きてください。」


「世界が望むのは、それだけです。」


彼女はそう言って頭を下げた。


僕とカルラも頭を下げる。


どこかから拍手が上がる。


まばらだったその拍手は、やがて伝播し、教会前の広場を包んだ。


 ♦


 僕らの革命はこれで終わるわけだが、人生が終わるわけではない。


教会勢力とヒラルトスの勢力は実質僕らが握っている。


そこの争いに関しては問題ない。


エデアランドとも仲は良いため、山脈以南の帝国領はそっちに任せている。


僕らが今後しないといけない仕事は大きく分けて三つ。


1つ。


ヒラルトス公国東部からエデアランドとの国境までにかかる革命軍領を、正式な国として成立させる。


必要なのは、国際平和議会における3大国の承認。


エデアランド、ヒラルトス、そして、エデアランド帝国。


革命によりいろいろと情勢は乱れているため議会が開かれるかどうかもわからない。


帝国とは少し難しいがその他の国とは強調する必要がある。


二つ。


革命軍領内の生活指導。


この領内では魔法の使用を制限することにした。


国民は火を起こす方法も、水を得る方法も知らない。


井戸を掘り、木をこすったり火打石を使ったり、何かしらの資源を見つけたり。


いろいろな方法で国民の生活を守らないといけない。


三つ。


この領土の北方。


魔王領と呼ばれる土地。


その土地の調査。


これは新たな資源の有無や植生の可否を調べるため。


とにかく。


これからの世界は、僕らが動かすことになる。


「楽しみだね。」


「うん!」


二人はこんな時でも変わらない。


「そんなに気軽なもんでもないと思うけど…。」


まぁ、どうにかできる。


世界を変える力を、僕らは持っているのだから。

第四章はこれにて終了です。


物語としては第一部の終了です。


第二部は政治編になります。


今後は投稿頻度が少し落ちてしまいますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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