19-3 キムジョン帝国の壊滅と戦後処理3
朝食後、『天の使徒アラバス公国』軍の上官たちとキムジョン帝国から天の使徒の国に連れてきた各都市や市町村の代表者と旧コリル公国の跡地と旧アラバス公国跡地に関する話し合いの場がもたれた。司会進行は、馬場哲矢に一任した。
「それでは、キムジョン帝国の各都市や市町村の代表者に集約した意見を述べてもらいたいと思います。発表する順序は、人口の多い規模の順番で進行する。では、ピョンヤムル都市からお願いします。」
「はい。ピョンヤムルの市民総括責任者をしているぺ・ドンゴンです。私の話が最も長くなることをお許しください。実は、私の発表の内容は、全ての国民に係る内容が多く含まれているからです。私たち国民が戦争に加担し、敵を殺す行動を取ったのには理由があります。それは、キムジョン・ヘンナカリアゲスミダⅠ世たち大幹部から『18歳以上の男子を持つ各家庭は、必ずその男子全てを徴兵する。断れば、徴兵する男子に家族全員を殺害すると通知している。また、国民であっても、敵を殺さなければならない。もし、殺すことを放棄した場合、徴兵した息子を斬首することを忘れるな。』という通知により、キムジョン・ヘンナカリアゲスミダⅠ世ら大幹部から脅迫をされていました。中には、『敵兵といえど、同じ人間です。一方的に侵略戦争を起こして、コリル公国とアラバス公国の国民の大虐殺を始めたのは我が国なのです。だから、我が国の方が完全に悪いことをしている』と全ての国民は認識していました。その話し合いの内容が諜報員によって録音され、裏切る国民が出る可能性が高いという理由で、2年前から大麻を吸引する法律が制定され、大麻を吸引しなければ斬首するという通知が全家庭に届きました。大麻による健康被害と意識不明の症状は、皆知っていました。しかし、大麻を吸わなければ、息子たちが殺されるのです、首をはねられるのです。それが大麻を吸った理由です。私は、この会議に参加する前に、各市町村の代表者たちと話し合いをし、意見を集約しました。私の言っていることは、全国民がそのような状況におかれ、止む負えず戦争に加担してしまいました。私たちは、大和晶人元帥様によって大麻中毒を治していただいた御恩を決して忘れません。そして、本来なら、私たち国民も殺されるはずなのに、大和晶人元帥様は我々を殺さずに受け入れて下さいました。私たちは決心しました。もう、私たちは旧キムジョン帝国の国民であり、今日から『天の使徒アラバス公国』の国民になることを決意しました。しかし、故郷に帰りたいという結論に達しました。キムジョン帝国の大地は肥沃で農作物が良く育ちます。復興も私たちが努力して成し遂げたいと思っています。どうか、キムジョン帝国の国民であった我々を『天の使徒アラバス公国』国民にして下さい。そして、本国に帰り、瓦礫を片付け、家を建てて、畑を耕したいと思います。どうぞ、我々の気持ちを察していただきますようよろしくお願い申し上げます。」
「え~、ピョンヤムルの市民総括責任者をしているぺ・ドンゴンさんの説明では、既に各市町村の代表者として話し合いをし、決定した内容を申し伝えたということでしたが、それでよろしいでしょうか。何か他の意見はありませんか?」
「ありません。」
「ありません。」
「分かりました。では、この意見に対しての回答を大和晶人元帥にお答えいただきます。」
「ぺ・ドンゴンさん、根回しをして下さったことに感謝申し上げます。ぺ・ドンゴンさんの説明でキムジョン帝国の状況が良く理解できました。キムジョン帝国の国民全てを『天の使徒アラバス公国』の国民として迎え入れます。それから、瓦礫の撤去については、本国の第1大隊、第2大隊、第3大隊、第4大隊の軍隊も協力することを約束しましょう。それから、雨風を凌ぐための家や食料などが必要になります。これは、私が責任を持って、全国民が共に暮らせる集合マンションという近代的な建物を、サイコキネシス・インフィニティーを用いて創りましょう。どうぞ、家族別に住んでください。その割り当ては、各都市や市町村の代表者の方と話し合って決めて下さい。上下水道もトイレもお風呂も完備します。そして、畑を耕すための機械や農具もお譲りいたします。食料も1年間は無償でプレゼントいたします。また、ロジア帝国の攻撃から守るため、私がサイコキネシス・インフィニティーを用いて国全体を守る最強のバリアを張りますので安心して暮らしてください。最後に、旧キムジョン帝国の国土の周囲にも敵の攻撃に備えて城壁を創ります。私からは以上です。」
「おおー、何ということだ、さらにこのようなご恩を頂いて我々は幸せです。」
「ぺ・ドンゴンさん、共に力を合わせて平和な世界を築き上げていきましょう。」
「ハハーッ。」
「次に、旧コリル公国と旧アラバス公国の国民の件について話し合いたいと思いますが、実はすでにコリル公国国王陛下とアラバス公国上皇様によって、意見が集約されているようなので、その内容を発表します。」
「旧コリル国と旧アラバス公国の国民たちは、先祖代々の地を離れようとは思いません。元の国に戻って国を再建したいと存じます。天の使徒の国によって、大量の肥料が撒かれ、大地が肥えてきました。今までの御恩は決して忘れません。これからも同じ国民として共に歩んで参りましょう。」
「今読み上げた文書は、コリル公国国王陛下とアラバス公国上皇様の共同宣言です。では、大和晶人元帥にこの内容に係る回答をお願いいたします。」
「はい、旧コリル国と旧アラバス公国は、同盟国から始まり今や一つの国家になりました。先祖代々の地に戻りたいという念願を叶えたいと思います。また、復興についても、軍の大隊を派遣し、がれきの撤去を致します。そして、集合住宅マンションも新たに建設します。復興内容は、旧キムジョン帝国の国民の皆さんに説明した内容と同一です。既に、サイコキネシス・インフィニティーを用いて国全体を守る完全防衛バリアを張っておりますので安全に暮らすことができます。これからも共に歩んで参りましょう。以上です。
かくして、旧キムジョン帝国の国民たちは新たに『天の使徒アラバス公国』の国民となり、軍の支援を受けながら復興に汗を流し必死になって働いた。また、旧コリル公国と旧アラバス公国もまた先祖代々の地に帰り、軍の支援を受けながら汗を流しながら一生懸命に働いた。
それから1年の歳月が経った。
旧キムジョン帝国城は『天の使徒アラバス公国』の軍事基地に生まれ変わり、同様に、旧コリル公国城も旧アラバス公国城も同じように『天の使徒アラバス公国』の軍事基地に生まれ変わった。その間、長期に及んだキムジョン・ヘンナカリアゲスムニダⅠ世人民軍武力最高司令官やサイ・リュウカイナ・カㇺニダ人民軍武力副司令官、キム・チュウガク・シュッセスムニダ人民軍総政治局長、チョン・ドンチョル・ランコウスルニダ人民軍副政治局長、キムヨジョン・イジワルナカオイムニダ扇動部長の取り調べが終わり、全員斬首の刑に処せられた。取り調べで明らかになったことは、①キムジョン帝国は、ジャイナ帝国とロジア帝国と軍事同盟を締結しており、機関銃や長距離大砲を地下トンネルを通じて供与されていることが判明。②さらにロジア帝国はベラルシ帝国と軍事同盟を締結しており、現在も隣国のウクライルに侵略戦争と大量虐殺を行っていることも判明。併せて、③ジャイナ帝国はヒンドと国境付近で度々戦闘状態が続いており、両国に緊張状態が続いていることも判明した。加えて、驚くべきことに④民主国家を標榜するアメリル合衆国がイスラルドと軍事同盟を締結しており、アメリル合衆国からイスラルドへ多額のミサイルを提供し、そのミサイルをイスラルドが使用してパレスチナンで大量虐殺が行われているという世界情勢まで判明したのだった。
その間、晶人とぼっけもんずのメンバーは軍事研究と軍事対策に余念がなかった。1年の歳月を無駄にすまいと、アカダニのリーダーである『アカダニ中将』に依頼し、全世界に仲間たちを送り込ませた。また、蚊の一種であるカメレオンフライのリーダーである『スパイカメレオンフライ中将』には、隣国になっているロジア帝国とジャイナ帝国に多くの仲間たちを送り込んでもらった。さらに、モグラの一種である地下モルグのリーダーである『スパイ地下モグル』には、隣国のロジア帝国とジャイナ帝国の地下トンネル攻撃に備えて、地下深くまで潜り込ませていた。
一方、復興が済んだ1年後のある内政会議の場において、ソフィアの提案によって、旧3か国が国土となったことを契機に、国名を『天の使徒公国』とすることが満場一致で可決された。加えて、新たに200万の新兵が試験に合格したことを契機に、正当な理由がない場合を除き、毎朝5時から7時までの2時間と夕方4時から6時までの2時間は、薩摩示現流の稽古を課すことが軍律に加えられ、軍隊の増強を図ることになった。これにより各10個大隊の兵員は各120万になったのである。
キムジョン帝国との戦争による敗戦処理を完遂した大和晶人とぼっけもんずのメンバーたち。一方で、キムジョン帝国の幹部から世界情勢を聞き出したところ、世界中で様々な問題が山積していることが明らかとなった。




