第6話 開拓しよう!
「準備はできましたね! そろそろ出発します!」
僕はそう言うと、開拓班のメンバーと共に四足歩行のゴーレムが引く車に乗って出発する。
四台のゴーレム車にはそれぞれ約十人のメンバーが乗っている。内訳は人間十五人にエルフ二十人。そしてドワーフが四人に神狼のルーナさんが一人。そして子ども神狼もシルクを含め三人ついて来てくれている。
これだけいればどんなことが起きても対応できるはずだ。
「今までどこかに行くことは何回もありましたが、こうして新しい場所を開拓するのは初ですね」
僕の隣に座るレイラがそう言う。
確かに行った先で瘴気を浄化することはあっても、そのままそこを拠点にしたことはない。
こうやって住める場所を増やすのが本当の開拓なんだろう。まあ最初は僕とレイラの二人しかいなかったからしょうがないよね。
「最初は二人だけだったのに、賑やかになったよね」
「そうですね。おかげでこの地の開拓を進めることができるようになりましたが……テオ様と二人きりの時間が減ったのは悲しいですね」
「……確かにレイラといられる時間は少なくなっちゃったね」
城にいた時はレイラしか話し相手がいなかった。
でも今はたくさん仲間や友達がいて、どうしてもレイラと話す時間は減ってしまう。そのせいで寂しい思いをさせちゃっているみたいだ。
一番お世話になってるレイラにそんな思いをさせちゃ駄目だよね。
「じゃあ今やってるのがひと段落ついたら、二人でなにかしようよ。久しぶりに王都に遊びに行くのも楽しそうじゃない?」
「……っ!! それはとても素晴らしい提案ですね、ぜひぜひやりましょう。絶対に、確実に」
「わ、分かったから落ち着いて、近い」
顔がくっついちゃいそうなほど近づいてくるレイラを宥めて、元の位置に戻す。
喜んでくれたみたいで良かった。そう思っていると、僕たちを乗せたゴーレム車が止まる。
「……どうやら着いたみたいですね。行きましょうか」
「うん。頑張ろうね」
こうして僕たちは車を降りて、新たな村を作る予定地に足を踏み入れるのだった。
◇ ◇ ◇
僕たちが来たのは、村から北西に向かった場所だ。
ここは死の大地の中心部から、やや南に位置する。死の大地は中心に行けば行くほど瘴気の汚染が強くなる。つまりここは死の大地の中でも、瘴気がかなり濃い場所となる。
「うわぁ……やっぱり荒れてるね」
「はい。私たちが最初に家を建てた場所よりも悲惨です」
この土地は痩せ細っていて、植物や木は一切生えていない。
土は黒ずんでいて、水分もないのか地面の所々がヒビ割れている。
「空気も澱んでて息も苦しい……こんなんじゃ誰も住めないね」
ここの酷さを再認識した僕は、次元収納から神の鍬を取り出し、それの刃を思い切り地面に振り下ろす。
するとパキィン! という音と共に瘴気が浄化され、大地が正常な状態になる。よし、ここの瘴気にも神の鍬は効果があるみたいだ。
「だけど流石に一人で全てを浄化するのは無理そうだね。みんな、手伝ってくれる?」
「もちろんです。そのために私たちは来たのですから」
レイラがそう答えると、一緒に来た仲間も頷く。
僕は次元収納の中からある枝を取り出し、集中する。
僕が取り出したそれは「世界樹の枝」。
イルミアさんから貰った貴重な物で、その内部には神力が宿っている。これを使えば……
「自動製作、世界樹の鍬!」
僕がスキルを発動させると、その枝は一瞬にして木製の鍬となる。
レイラはそれを受け取ると、まるで剣のように構える。
「――――オルスティン流鍬術、銀耕旋!」
レイラが鍬を振るうと、いくつもの旋風が巻き起こり、一瞬にして土を耕してしまう。
耕された場所は、完璧とまでは言えないけど瘴気が浄化されている。ちゃんと世界樹の鍬でも浄化できているね。
「凄い! 一気にこんなに浄化できるなんて凄いよレイラ!」
「お褒めに預かり光栄です」
得意げに胸を張るレイラ。
まさか剣以外にもこんな特技があったなんて。
「よし、これならマンパワーで一気に浄化できるぞ!」
新しい拠点を作る上で課題となったのが、瘴気の浄化手段だ。
神の道具は強い浄化能力を持つけど、大量生産できない上に僕が使わないと真価は発揮できない。
それじゃあいつまで経ってもこの土地を開拓することなんてできない。だから僕は他の浄化手段を考えた。
そこで思いついたのが、世界樹の木材利用。
世界樹にも伸びすぎて余分となった枝があるとイルミアさんに教えてもらった。その枝には神力が宿っていて、瘴気を浄化する力が備わっていた。
もちろん神金属に比べたらその浄化能力は大きく劣る。
だけどその代わり、これなら大量生産できる。僕は世界樹の鍬を四十本作り、みんなに手渡していく。
「それじゃあみんな、頑張ってこー!」
僕がそう言うと、みんなは「はい!!」と元気よく返事をして浄化作業を始めてくれる。
よーし、頑張るぞ!




