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追放された転生王子、『自動製作《オートクラフト》』スキルで領地を爆速で開拓し最強の村を作ってしまう 〜最強クラフトスキルで始める、楽々領地開拓スローライフ〜  作者: 熊乃げん骨
第十一章 エルフの里の異変

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第15話 悪夢の終わり

『ギギ……ィ!』


 アナスタシアさんの魔力を感じ取ったブラックウィドウは警戒音を鳴らすと、再び子クモを十数体生み出す。

 度重なる衝突で向こうも消耗しているように見える。これが最後の攻防になりそうだ。


「アンナ、エレナ、我らでテオドルフ様のサポートをするのです。私が先導しますから合わせてください」

「「はい!!」」


 アナスタシアさんは杖を構え、ブラックウィドウを見る。

 するとブラックウィドウは子クモたちと共に駆け出し、僕たちに襲いかかってくる。


 それを確認したアナスタシアさんは、ブラックウィドウと子クモめがけ魔法を発動する。


「――――火よ起これ、風よ舞え。二重魔法ツインマジック炎嵐ヴェルザード!」


 炎の竜巻が出現し、ブラックウィドウと子クモを飲み込む。

 凄い威力だ。距離が離れているのに僕まで熱い。


『ギギ……ィィ!!』


 しかしブラックウィドウは炎の嵐を食らっても止まらず、向かってくる。

 子グモは焼けたけどブラックウィドウは体の表面を焦がすくらいしかできていなかった。


 燃やしても凍らせても、駄目。

 僕は頭を回転させて、ブラックウィドウの攻略方法を考え……ある方法を思いつく。


「アンナさん、さっきの凍らせるやつを撃てますか!?」

大氷結アロガドですか? はい、あと数発なら撃てると思いますが」

「じゃあお願いします! そして凍ったら、またアナスタシアさんが焼いてください!」

「なるほど……そういうことでしたか。アンナ、息を合わせてやりましょう」

「はい、お母さま!」


 僕の狙いを組んでくれた二人は、久しぶりの再会とは思えないほど息のあった連携で魔法を何度もブラックウィドウに撃ち込んでいく。


大氷結アロガド!」

炎嵐ヴェルザード!」


 ブラックウィドウは何度も凍り、そして焼かれる。

 魔法を食らう度にその場に足止めされたブラックウィドウは、子クモを産んだり糸を飛ばしたりしてアンナさんたちを攻撃するが、それらは僕とエレナさん、そしてエルフの戦士のみんなで対処する。


自動製作オートクラフト、壁!」

「母上と姉上には糸一本触れさせん!」

「みんなでアナスタシア様を守るんだ!」


 みんなの尽力でブラックウィドウの攻撃は全て防がれる。

 その間に何度も魔法によって焼かれ、凍らされたブラックウィドウ。足止めされ続け業を煮やしたブラックウィドウは、激しく怒った様子で無理やり突っ込んでくる。


 すると次の瞬間、ブラックウィドウの体にビシッ! と大きな亀裂が走り、その体内の黒いドロドロした瘴気が露わになる。


『ギギィ……!?』

「よし! 狙い通りだ!」


 ブラックウィドウの体は高熱にも低温にも強い。

 だけどその二つを交互に食らえば、次第に耐久力は落ちていく。ブラックウィドウの強靭な体も、その法則からは逃れられなかったみたいだ。


「行くぞテオドルフ!」

「はい!」


 僕とエレナさんは同時に駆け出す。

 ブラックウィドウは僕の神の斧を警戒しているのか、子クモを出して僕たちに差し向ける。だけど、


「今更貴様ら程度で相手になるか!」


 エレナさんは高速の剣技で子クモを一瞬にして切り刻む。

 凄い速さだ。頼りになる。


『ギギギ……ヂチィ!!』


 ブラックウィドウは子クモでは相手にならないと悟ったのか、牙をカチカチと鳴らしながら襲いかかってくる。

 ここまで来れたけど、問題はどうやってブラックウィドウの攻撃をかいくぐるかが問題だ。前に斧で一撃入れられたのは、他に意識が行っていたからだ。今はもう僕から意識を外してくれないだろう。


 なんとかして接近し、胴体の亀裂に斧を叩き込まなくちゃいけない。


「任せろテオドルフ。お前は私が送り届ける……!」


 エレナさんが僕より前に出て、剣を構える。

 するとブラックウィドウは鋭い脚を突き出してエレナさんを串刺しにしようとする。

 エレナさんがそれを剣で弾こうとしたその瞬間、後ろから声が聞こえてくる。


「光在れ!」


 アンナさんの魔法が発動し、エレナさんの剣をまばゆい光が包み込む。

 光の魔力が宿った剣を見たエレナさんはニッと笑みを浮かべると、その剣でブラックウィドウの脚をキンッ! と弾く。


『ギィ!?』

「我ら姉妹の力を見たかブラックウィドウ! ここが年貢の納め時、貴様に苦しめられたエルフの痛みを知れッ!!」


 鋭い剣閃が走り、ブラックウィドウの体に刻まれた亀裂に命中する。

 エレナさんの剣は亀裂を広げ、ブラックウィドウの体を怯ませてくれる。おかげで僕はブラックウィドウに接近することができた。


「後は任せたぞ、テオドルフ」

「はい。一撃で決めてみせます」


 神の斧を振りかぶり、ブラックウィドウの亀裂に目標を合わせる。

 今まで貰った加護を総動員して、筋力を上げる。ナディアさんに貰った加護は泳ぎが上手くなるだけじゃなくて、筋力を大きく引き上げてくれる。


「食らえブラックウィドウ! 神の戦斬(ゴッド・マキア)!」


 斧をブラックウィドウに振り下ろした瞬間、まばゆい光が洞窟を見たし、斧の刃から激しい衝撃波が放たれる。

 強い神力を持ったその衝撃波は、ブラックウィドウの亀裂からその体内に侵入し、その中の瘴気を浄化し破壊する。


『ギ、ギギィ……ッ!!??!?』


 ブラックウィドウは必死に抵抗し、なんとか逃げようとするが、ウェンディさんたちエルフの戦士がその脚をガッシリ掴んで足止めする。

 そのせいでブラックウィドウは逃げること叶わず、神の斧の攻撃をまともに食らう。

 僕は体内の神力を使い果たす勢いで神の斧に注ぎ、ブラックウィドウにぶつける。絶対に、ここで終わらせる……!


「やあああああっ!!」

『ギ、ギイィィッ!!』


 あと少し、本当にあと少しのはずなんだけどそれが遠い。

 ブラックウィドウは力の全てを肉体を硬くすることに注いでいて、中々倒しきることができない。


「や、ばい……握力が……っ」


 神の斧を握る手の感覚がなくなってくる。

 このままじゃまずい。今倒し切らなきゃ逃げられるかもしれない。


「うぎぎ……!」


 僕が力を振り絞って斧を押していると、突然斧を押す手が楽になる。

 気がつくと僕の右隣にエレナさんが来ていて、斧を一緒に押してくれていた。


「頑張れテオドルフ! お前ならやれる!」

「エレナさん……! はい!」


 頼もしい味方の登場に喜んでいると、今度は左隣にアンナさんがやって来て、一緒に斧を握ってくれる。


「微力ですがお力添えを。共に倒しましょう、旦那さま」


 そして最後に、アナスタシアさんが僕の後ろにやって来て、僕の両肩に手を乗せる。

 その手から温かい力がじんわり僕の中に流れ込んでくる。


「聖樹の巫女にもわずかながら神力が宿っています。私たちの力、あなた様にお渡しします」


 アナスタシアさんだけじゃない。アンナさんとエレナさんの体に宿る神力も僕の中に流れ込んでくる。

 全身に力がみなぎり、消えかけていた握力も復活する。

 これなら、いける!


「はああああっ!!」


 ビシッ、という音と共にブラックウィドウの亀裂が大きく広がっていく。

 そこに神力が大量に流れ込むと、その亀裂が内部から光を放ち……そして爆発する。


「わ!?」


 爆発に吹き飛ばされ、宙に浮く。

 やばい。このままじゃ地面に激突する……と思っていると、むにゅ、とやわらかい物に受け止められて衝撃を全て吸収される。


 なににぶつかったんだろうと顔を上げると、そこには僕を覗き込むアナスタシアさんの顔があった。どうやらアナスタシアさんの胸に受け止められたみたいだ。


「す、すみません!」

「ふふ、いいのですよ」


 謝りながらアナスタシアさんから離れ、ブラックウィドウに視線を移す。


 体内の瘴気を全て浄化されたブラックウィドウは、その硬い体皮以外は消し飛んでいた。それでも赤い目を光らせながらなんとか立っていたけど、最後に『ギ……ィ……』と鳴くと、その場に崩れ、動かなくなる。

 そしてその硬い体はサラサラと砂のように崩れていき……そして、数秒後には跡形もなく、消え去った。


 それと同時に瘴気の嫌な気配は完全に消え去る。

 どうやら完全に倒すことができたみたいだ。


「よか……った……」


 ほっとした瞬間、足に力が入らなくなる。

 少し力を使いすぎたみたいだ。立っていられなくなって前のめりに倒れると、再びアナスタシアさんに受け止められる。


「お疲れ様でした、テオドルフ様。今はお休みください」

「は……い……」


 アナスタシアさんに抱かれると、なんだか安心して母上のことを思い出す。

 僕は懐かしい気持ちになりながら、そのまま眠るように意識を失うのだった。

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