第11話 川を引こう!
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「自動製作、川!」
村の中に新たなが川が生まれ、そこに水が流れ出す。
ふう、大変だったけど無事完成した。
この川は村の近くを流れていた川から引いている。自動製作の力で地形ごと変えて、支流を作ったんだ。
この川はルカ村を通り、そして元の川に戻り合流する。つまり下流はそのまま海に繋がっている。この川を泳げばルカ村と海底都市アトランタを行き来することができるってわけだ。
「完成したか! さすがテオドルフ、仕事が早いな」
「レオニス! 来てたんだね」
僕は村にやって来ていたレオニスと握手する。
海底遺跡での戦いから一週間の時が過ぎた。僕とレオニスは何度もやり取りして、いつの間にか呼び捨てで呼び合う仲になっていた。
レオニスは海底都市の復興の傍ら、頻繁に会いに来てくれていた。
僕はまだ見れてないけど、復興はかなり順調なようだ。手が空いたら見に行きたいけど、やることはたくさんある。
「見事な川だ。これなら魚人も行き来できるだろう」
「水質も問題なさそうで良かったです。海も綺麗になりましたか?」
「ああ。アトランタ周辺はもう完全に綺麗になった。同胞が少しずつ戻って来ているぞ」
「それは良かったです」
川も綺麗になって水問題も解決したし、全て順調だ。
大変だったけど頑張って良かった。
気になることがあるとすれば……あれ以来一度もナディアさんと会えていないということ。
せめてお礼くらい言いたいんだけど、村に来てくれてすらいない。
どうしたんだろう。嫌われるようなことはしてないと思うんだけど。
「どうしたテオドルフ。腹でも空いたか? 美味い魚を持って来たから一緒に食べようじゃないか!」
レオニスの厚意に甘え、僕はそれをいただくことにする。
その魚を使った料理はとても美味しくて、お腹は満足したけど……僕はもやもやを抱えたままだった。
◇ ◇ ◇
「ふう……お腹いっぱいだ」
夜。
レオニスさんが持ってきた大量の魚を食べてお腹が膨れ上がった僕は、ドサっとベッドに横たわる。
途中から他の魚人も混ざってきて、軽いお祭りが始まってしまった。
魚人は賑やかなのが大好きみたいで、いいことがあるとすぐに宴を開いてしまうらしい。
レオニスは村で作ったお酒が気に入ったみたいで、浴びるように飲んで倒れていた。
彼らが楽しんでくれていると、僕も嬉しい。
今まで大変だった分、楽しんでほしいな。
「ふあ……ねむい」
お腹がいっぱいなせいで、眠気が押し寄せてくる。
食べてすぐ寝るのは良くないけど、たまにはいいよね。僕は心地よい眠気に身を任せ、目を閉じる。
「すー……」
体がふわふわし、意識が薄れていく。
このまま寝れそうだ……と思った瞬間、どさっと体になにかが乗る感覚がして、僕は目を覚ます。
「んん……?」
「寝ているところ悪いな。入らせてもらったぞ」
レイラかルーナさんが来たのかと思って目を開けたけど、そこにいたのはどちらでもなかった。
「え、ナディアさん……!?」
窓から漏れる月明かりに照らされ見えたのは、海神竜のナディアさんだった。
まさかこんなところで再会すると思っていなかった僕は、凄く驚く。
「なんでここにいるんですか!? アトランタにいるはずじゃ……」
「そこでの仕事を終わらせたから来たんじゃないか。私はここに住むことになるんだからな」
「え!? ここに住むんですか!?」
てっきりアトランタに住むものだと思っていた僕は、再び驚く。
なんでそうすることにしたんだろう?
「なにをそんなに驚くことがある。私が番と一緒に住むことは驚くことじゃないだろう」
「え、番?」
番って人間で言う夫婦のことだよね?
その相手がこの村にいるの? どういうこと?
「その番って誰なんですか……?」
「決まっているだろ。お前のことだ、テオドルフ」
「ええ!?」
ナディアさんに指差された僕は今日一番大きな声を出す。
いったいどういうこと!? なんで僕がナディアさんと結婚することになってるの!?
魔法薬を口移しで飲ませてもらったりはしたけど、それだから結婚するなんて飛躍しすぎじゃない!?
「言っただろう? 海神竜は生涯一人の伴侶しか作らない。加護を与えるような行為をした場合、その者しか愛してはいけないと」
「あ」
確かに言っていた。
だから僕とエレナさんは簡易的な加護だけ貰って、海底に行ったんだ。
「で、でも。あの時のアレは、僕を救うためで事故みたいなものじゃないですか。それなのに結婚なんてしていいんですか?」
「ふむ、一理あるな。確かにアレ一回で決めるのは早計かもしれない」
ナディアさんはあっさりそれを認める。
少し残念な気もするけど、これでいいんだ。こういうのはちゃんと納得して決めないといけないからね。
「だったら、今度はちゃんとするとしよう」
「そうそう、ちゃんとし……へ?」
どういうことですか。そう口にする前に、僕はナディアさんに唇を奪われる。
強引で荒々しいのに、どこか優しくて愛を感じるキス。
「――――っ!?!?!??!!?」
突然のことに驚き慌てる僕。
ナディアさんのキスはとっても刺激的で脳がビリっと痺れる感覚がする。
ナディアさんはその鋭い目で僕のことをジッと見ながら、味わい尽くすかのように何十秒もキスをして口を離す。
「ちゅ……ぷはっ。ふふ、これでもう事故とは言えないな」
「な、ナディアさん……? な、なんで」
「決まっている。私はお前が気に入ったんだよテオドルフ。お前ほど優しく、勇猛なオスを私は他に知らない。お前のことを考えると胸の奥が熱くなり、会えないとずっとチリチリと痛むんだ」
ナディアさんはそう言うと、右手で僕の顎をくいっと持ち上げる。
彼女のとても整った顔が近くに来て、僕は緊張する。
「愛しているぞ、テオドルフ。私と番になってくれ。一生お前だけを愛することを誓おう」
ナディアさんの熱い告白を受けた僕は、思わず「は、はい」とそれを受けてしまう。
それを聞いたナディアさんは嬉しそうに微笑むと、僕を押し倒す。
そして自分の唇をペロっと舐めた後、口を開く。
「悪いが手加減できる余裕はない。朝まで付き合ってもらうぞ……♡」
こうして僕は、ナディアさんに朝まで食べ尽くされてしまったのだった。




