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追放された転生王子、『自動製作《オートクラフト》』スキルで領地を爆速で開拓し最強の村を作ってしまう 〜最強クラフトスキルで始める、楽々領地開拓スローライフ〜  作者: 熊乃げん骨
第十章 海底遺跡攻略戦

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第1話 海底へ行こう!

「海の中には瘴気が漂っている。それほど濃度が高いわけではないが、人間では悪影響が出るだろう」


 エレナさんと共に海の近くに行くと、ナディアさんがそう告げる。

 確かに海の中には瘴気が漂っている。これを全て避けて進むのは不可能だと言っていいだろう。

 少しくらいなら耐えられるけど、瘴気と接しすぎると体が汚染されてしまう。

 いったいどうすればいいんだろう?


「瘴気に耐えられるよう、お前たちには私の『加護』をやる。これがあれば多少の瘴気には抗えるだろう」

「え、加護ってことはもしかして……」


 僕は今まで受けたたくさんの加護を思い出してしまう。

 は、恥ずかしいけど今は恥ずかしがってる場合じゃないよね、と自分を正当化していると、


「私が与えるのは簡易的な『加護』だ。お前が期待しているようなことは起きないぞ。この加護の効果は一日くらいしか持たないが、それで十分だろ」

「あ、そうなんですね……」


 安心したような少し残念なような気持ちになっていると、ナディアさんは人差し指で僕のおでこをこつんと小突く。

 するとふわっと淡い光が僕のおでこに宿り、そして体内に吸い込まれていく。

 どうやらこれで海神竜リヴァイアサンの加護が宿ったみたいだ。簡単で便利だね。


 ナディアさんは同じようにエレナさんのおでこも小突きながら、言葉を続ける。


海神竜リヴァイアサンは生涯一人の伴侶しか作らない。加護を渡すような行為をした場合、その者しか愛してはいけない。だから軽々しく加護を渡すことはできないというわけだ」

「そうだったんですね」


 文化は種族によって様々だ。

 海神竜リヴァイアサンの生態がそういった文化を形成したのかもしれない。


「よし、それじゃあ行くとするか。ちゃんとついてこい」

「はい!」


 こうして僕とエレナさんは、ナディアさんと共に瘴気が漂う海の中に入っていくのだった。


◇ ◇ ◇


「本当に海の中を潜ってる……すごい」


 海の中に入った僕はその幻想的な光景を見て息を漏らす。

 どこまでも続く青い景色と、その中を泳ぐ大小様々な魚たち。


 地上では絶対に見ることのできない光景だ。これを見れただけでも潜って良かったと思っちゃうね。

 もし瘴気がなかったら更に綺麗な光景なんだろうなあ。速く瘴気の源を絶たなくちゃ。


「水の中で息ができて、声も出せるとは……魚にでもなった気分だな」


 エレナさんはそう感心しながら、水の中をすいすいと泳いでいく。

 今の状態で潜るのは初めてのはずなのに、もう順応していて凄い。


 僕はまだ慣れていないので手足をじたばたさせながら、なんとか追いついている。ぜえ、ぜえ……運動神経はそこまで良くないのに。


「大丈夫かテオドルフ。ほら、手を掴め」


 泳ぐのに苦戦していると、エレナさんが僕に手を差し伸べてくれる。

 その手を掴むと彼女は僕をぐいっと引き寄せ、一緒に泳いでくれる。


「体に力が入りすぎだ。ナディア様の加護のおかげか、少し足を動かせば前に進む。手は方向を変える時に使うくらいでいい」

「ええと、こうかな……あ、さっきより進める!」


 言われた通りに体を動かすと、さっきよりずっと動きが良くなる。

 これならナディアさんについていけそうだ。僕はホッと一安心する。


「ありがとうございます、助かりました。エレナさんは優しいですね」

「……っ! 当然のことをしたまでだ、気にするな」


 そう言ってぷいっとそっぽを向くエレナさんだけど、その長くとがった耳は赤くなっている。素直になれないところがとても可愛く感じてしまう。


「お前たち、いちゃついてないでついてこい」

「は、はい!」

「いちゃついてなどいません!」


 僕たちは速度を上げて、ナディアさんについて行く。

 深く、深く潜っていく僕たち。どんどん水は冷たくなっていくのを感じるけど、その度に魔法薬ポーションの効果で適応して大丈夫になる。

 もし魔法薬ポーションがなかったら、凍えて動けなくなっちゃうだろうね。予備も作ってあるけど、効果が切れないよう注意しよう。


「……止まれ」

「えっ」


 突然ナディアさんが潜るのをやめ、止まる。

 一体どうしたんだろうと思いながらも、僕たちも止まる。


 ナディアさんは自分の下、暗い海の底を見ながら、口を開く。


「どうやらお出迎えが来たようだ」

「え、それはどういう……えっ!?」


 ナディアさんがお出迎えと言ったそれ(・・)を視認した僕は大きな声を出す。

 それ(・・)は巨大なタコだった。

 全長数十メートル……いや、百メートル以上はあるかもしれない、超巨大なタコ。それが僕たちめがけてゆっくりと、そして確実に近づいてきていた。


「なんだあの悍ましい生き物は……!?」


 虚で恐ろしい目をしているそのタコを見て、エレナさんは表情を引き攣らせる。

 僕も寒気が止まらない。

 そのタコを観察した僕は、あるモンスターのことを思い出す。


「あれはまさかクラーケンじゃ……」


 海の化物、クラーケン。

 巨大なタコの姿をしたモンスターで、『海の脅威の象徴』だ。

 その長い足に絡まれた船は、確実に沈没すると言われている。


「その通り、あれはクラーケンだ。海神竜リヴァイアサンである私に牙を剥くような愚か者ではないが……どうやら瘴気の影響で我を失っているみたいだな」


 ナディアさんはクラーケンを見ながら、興味なさそうに呟く。

 クラーケンはSランクモンスター。特殊な能力こそ持っていないが、その分恐ろしい怪力を持っている。簡単に倒せる相手じゃないと思うんだけど、なんでこんなに余裕なんだろう?


「ナディアさん、どうすればいいですか?」

「時間が惜しい、私がやる。お前たちはそこで見ているがいい」


 ナディアさんは水を蹴ると、超加速してクラーケンに接近する。

 凄い速さだ。まるでミサイルみたいだ。


『オォ……ッッ!!』


 ナディアさんが接近してくるのを感知したクラーケンは悍ましい声を出すと、確実に八本以上ある足を無数に伸ばしてナディアさんを捕まえようとする。

 しかしナディアさんは尻尾を器用に動かして、速度を維持したままその足をすり抜けるように避ける。


「なんて速さと正確性だ……これが海の王、海神竜リヴァイアサンの力か」


 エレナさんもそう声を漏らす。

 ナディアさんはクラーケンの足を全て避けると、クラーケンの頭部に接近する。

 そこからどうするのかと思っていると、彼女は右の拳を握り締め、それを構える。


が高い。平伏ひれふせ」


 ナディアさんはそう言うと、握り締めた拳をクラーケンの眉間に叩き込む。

 するとその瞬間ゴォン! とまるで雷が落ちたかのような爆音と共に、海中が大きく揺れる。発生した衝撃波が周囲に散り、僕たちの体にもピリッと衝撃が走る。


 そんな凄まじい一撃を食らったクラーケンの頭部は陥没し、爆散しながら海底に散っていく。

 な、なんて威力なんだ。これが海神竜リヴァイアサンの力なの!?


 神獣は力を使いすぎるとハデスに感知されるから全力で戦えないはずなのに……ちょっと強すぎない?


「時間を食ったな。行こう」

「は、はい」


 こうしてクラーケンを退けた僕たちは、更に海の底に潜っていくのだった。

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