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カルテット、4/10000。  作者: 三香


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21/82

10000人レース ー21

いつも誤字報告ありがとうございます。

とても助かっています。

誤字報告は返信欄がないので、この場でお礼申しあげます。

 美味しい、と思うものは人それぞれである。

 本場の味、珍味とされる味、一般的に好まれる味、その個人が好きな味、様々な味があるが、理々の料理はそれらを越えていた。 


 個人の趣味嗜好も味覚の差も問題にならない。

 美味しいから美味しい、その一言につきた。

 

 ゆえに。

「お魚はポイントに交換しなかった分がたくさんあるから、おかわりしてね。スープもあるよ、ご飯も」

 という理々の言葉に、高広とスライムとオーブと動く机がビシリと並んだのも無理はない、と祐也と彩乃は理解できるのだが。


「壁にあった机が自分で動くって……。ポルターガイストかよ……」

「異世界だもん……、異世界だもん……。動く机がいたって異世界だから特異現象も不思議ではないのよ、たぶん、きっと、おそらく。でも、ひとりで真夜中には絶対に見たくないわ」

「理々の平常心が図太い……。高広は食欲優先だからわかるが、家が人外魔境になりつつあるのに泰然としている……」

「ああ、そうか……。理々は祐也の恋人だもんね、執着の煮凝りのような祐也を相手にしているんだもん、動く机なんてチョロイ相手だよね」

「彩乃、それ、どういう意味かな?」

「祐也、自覚ないの? 祐也は理々限定で天元突破でヤバイ人なのよ」

「高広だって似たようなものだろ?」

「確かに同類だけど、高広は祐也の足元にも及ばないわよ」

 会話する内容がだんだんと酷くなっていく祐也と彩乃であった。


 しかしそこで理々に声をかけられ、

「祐也と彩乃はおかわりがいらないの? なくなっちゃうよ?」

「「いるっ!!」」

 と、あわてて列にくわわる。


「高広とスライムちゃんはお魚の皮が焦げたのが好きで、祐也はお魚の身が少しかたくなるまで焼いたのが好き、机さんはお塩、彩乃はお醤油」

 と理々は、各自の好みを把握して絶妙の火加減でもって魚を焼くので、ただでさえ美味しいのにさらに美味しく。調味料の配分も水の量も煮込み時間も火を止めるタイミングもあらゆるものが完璧なスープも、ふっくら炊き上げられたご飯も、極上の絶品であった。


「「「「美味しい~!!」」」」

 美味しいくて美味しいくて、争うようにおかわりを繰り返す人間とスライムとオーブと机は感激に身を震わせたのだった。


「さて」

 戦い済んでならぬ食事が終わって、コホンと咳払いした祐也は満腹の面々を見回した。

「食後のお楽しみのガチャをしようか」


「「「わぁーい」」」

「ミー、ミー!!」

 カタカタ!


 シレッ、と混ざっている机に祐也は内心で毒づく。オーブは定位置の末端の傍らに戻っているのに、何故! 机は壁側に戻らないんだ!! もしかしてナニカが憑依しているのか!? こめかみに青筋を立てる祐也であったが、机は幸運様への直通のホットラインの可能性もあるので苛立ちは根性で喉奥へと流し込む。


「昨日のポイントの残りが少しと今日の69648ポイントがあるから、50000ポイントの11連ガチャと10000ポイントの11連ガチャ、1000ポイントの11連ガチャを2回と考えているんだが、どうだろう? それとも欲しいスキルを優先するか?」


「「「ガチャがいい!」」」

「ミー、ミー!!」

 カタカタ!


 祐也は机への追求は諦めて、笑顔を浮かべた。正体不明な相手と喧嘩をするのは馬鹿のすることだ。祐也は目を細めて机を見た。理々はあっさりと受け入れているのだ。祐也も追随の精神で右に倣うことにした、今のところは。


「じゃあ、まず1000ポイントのガチャから。理々、頼む」


「はい」

 前に進み出た理々は手をあわせた。

「幸運様、お願いいたします」


 ぽち。


〈おめでとうございます。10パーセント魔力増強オーブ、5万ポイントです〉

〈おめでとうございます。10パーセント魔力増強オーブ、5万ポイントです〉

〈おめでとうございます。10パーセント魔力増強オーブ、5万ポイントです〉

〈おめでとうございます。土槍魔法レベル1、2万ポイントです〉

〈おめでとうございます。身体強化レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。身体強化レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。身体強化レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。水刃魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。水弾魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。火弾魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。火弾魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。風刃魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。風弾魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。土弾魔法レベル1、1万ポイントです〉

〈おめでとうございます。魔力制御レベル1、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます。魔力制御レベル1、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます。魔力制御レベル1、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます。10パーセント瞬発力増強オーブ、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます。10パーセントバランス力増強オーブ、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます。10パーセント体力増強オーブ、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます。10パーセント体力増強オーブ、1000ポイントです〉

〈おめでとうございます10パーセント体力増強オーブ、1000ポイントです〉


「おお、やった! この各種の増強オーブはポイントだとひとり1個しか交換できないんだよ。理々と彩乃の強化にもっと当たって欲しいな」

 と祐也が嬉しげに言った。

「まず増強オーブについてだが、高広が魔力と瞬発力とバランス、彩乃が魔力と体力、理々も魔力と体力、僕が体力でどうだろうか?」


「「「異議なし。魔法は新しいものは祐也で、祐也がすでに所有している魔法は3人で分けるのはどうかな?」」」


「では、高広が魔力制御と火弾、彩乃が身体強化と魔力制御と水弾、理々が身体強化と魔力制御と風弾、僕が残りの魔法と身体強化を貰ってもいいだろうか?」


 うんうんと高広と彩乃と理々が頷く。


「次は、1万ポイントガチャだ」

読んで下さりありがとうございました。

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